日本共産党江東区議団を代表して大綱3点について伺います。
- 区民の暮らしと行財政運営について
- 防災対策について
- 医療・介護、福祉の充実について
大綱の第1は、区民の暮らしと行財政運営について伺います。
2024年度決算についてです。
物価高騰のもとで、区民の暮らしは住民税の高額納税者が増加する一方、納税義務者の4割は年収200万円以下で、住民税非課税者は12万人を超えています。生活保護受給者は8,000人を超えて高止まりし、中学生の2割が就学援助を受けているなど、格差と貧困が拡大しています。地域経済も深刻で、この3年間で120件を超える区内中小企業が倒産に追い込まれています。
このような中、2024年度の区の一般会計決算は、約77億円の黒字となりました。基金は、1年間として過去最高額の約185億円を積み増し、その結果、基金残高は過去最高の2191億円に上っています。中でも、年度間調整を目的とする財政調整基金の440億円は、ため込み過ぎです。物価高騰対策について補正予算も組まれましたが、その多くは国や都の施策と財源によるもので、区独自財源によるきめ細やかな具体施策は不十分だったと言わざるを得ません。
税金を不用額として使わず余らせ、基金にため込むやり方ではなく、物価高騰から区民の暮らしと営業を支える積極的な税金の使い方ができたのではないでしょうか。伺います。
来年度予算の編成についてです。
帝国データバンクによると、主要食品メーカー195社が9月に飲食料品1422品目の値上げを発表、今年の値上げ品目数は累計2万品以上に上るとしています。物価高騰で実質賃金の減少が続いています。本区の来年度予算編成方針の中で、「物価高騰対策や子育て支援策など、区民生活の安心感を一層高める」としています。そうであれば、もっと区民の暮らしに寄り添うべきではありませんか。生活支援として、現金給付やお米券配布、子育て・教育支援として学用品や制服、修学旅行費等の無償化、中小業者支援として物価高騰対策資金融資の創設、小規模企業特別融資への利子補助引き上げ、家賃・リース等への補助など、区民生活最優先の予算を求めますが、見解を伺います。
公契約条例についてです。
物価高騰を上回る賃上げが求められています。区の官公需で働く人の処遇改善や事業者の経営環境改善、産業振興と地域経済活性化をめざす公契約条例は、23区中15区で制定され、2区で実施に向けた検討が行われています。
私たち会派は先日、世田谷区の取組みを視察してきました。同区は、公契約条例に基づき、公共工事や業務委託を受注する企業に対し、今年の労働者報酬下限額を時給1,460円に引き上げました。月給にして約2万3千円のベースアップです。担当課長さんは、「地域にあるコンビニの従業員募集の賃金額、また障害者雇用でも条例に定める労働報酬下限額となっている」など、公共発注の賃金相場が「地域経済に大きな役割を果たし、人材不足の解消にもつながっている」と話していました。
8月27日、連合東京、全建総連東京都連共催の「公契約条例学習会」が江東区文化センター開かれ、建設職人の労働組合はじめ、建設業協会、江東区等関係者が一堂に会した学習会となりました。そこでは、多摩市公契約条例について講演した同市の契約課長さんは「公共工事やサービスの質の向上、地域経済の活性化が条例の重要なところ」と強調し、事業者アンケートでも74%が地域経済・地域社会の活性化に「つながった」「今後つながる」との回答があったと説明されました。区は、この学習会の意義についてどのように捉えているのでしょうか。公契約条例制定に向け、さっそく公契約のあり方についての検討組織を立ち上げるべきと考えますが、見解を伺います。
会計年度任用職員の処遇についてです。
江東区で働く会計年度任用職員の最低賃金は現在1341円であり、低賃金のためダブルワークをせざるを得ない人もおり、「暮らしが厳しい」との声が上がっています。会計年度任用職員の最低賃金を1500円以上に引き上げるべきと思いますが、伺います。
現在、江東区のスクールソーシャルワーカーや女性相談支援員、日本語講師などの専門職は、賃上げから外されています。しかし、総務省の会計年度任用職員制度の事務処理マニュアルでは、これら専門職種についても賃上げが可能としています。これを踏まえ、賃上げを行うべきです。伺います。
新庁舎建設についてです。
本区では、概算総工費690億円で新庁舎の建設を進めています。この半分の350億円を、10年間にわたり毎年35億円を建設基金に積み立ていくとしています。しかしながら、新庁舎建設事業費には駐車場機能や物販・飲食機能などの費用が含まれておらず、また庁舎と一体で整備する文化センター機能については一切議論されていません。未確定な要素が極めて多い中で、基金の積み立てを先行させるのは財政規律上も問題です。
先月、庁舎建設工事中の世田谷区を視察してきました。世田谷区は本区と同様、現敷地内での建て替えで総工費430億円。同区が重視したことは、総事業費を極力抑え、区民生活に影響を及ぼさないこと。「住民参加と合意形成」を基本に、原則公開の公募・プロポーザルによる設計者、工事管理者を選定し、住民意見の反映に努めたとのことです。1平方メートル当たりの単価は、世田谷の約60万円に対し、本区は約3倍の170万円です。北区は76万円、品川区は100万円など建設費の縮減に努めています。本区においても、豪華庁舎でなくシンプルでコンパクトな計画とすべきです。また、築19年、十分な防災機能を持つ防災センターを継続活用するなど、総工費とランニングコストの縮減を図るべきです。合わせて伺います。
また、各地で庁舎建設を後押しする大規模再開発事業は、建築資材の高騰だけでなく、「民間の力で整備費を安く抑える」という事業のあり方そのものが暗礁に乗り上げています。事業手法については、設計・施工の一括発注や包括発注ではなく、基本設計に区や住民の意向を柔軟に取り入れやすく、区内の中小企業が参画しやすい分離発注とすべきと考えますが、伺います。
大綱の第2は、防災対策について伺います。
近年、地震だけでなく気候変動の影響による異常気象などで大型台風、大雨、洪水、山火事など自然災害が頻発化、激甚化し、日常的な防災、減災対策の強化が急務です。
荒川堤防の液状化・耐震対策についてです。
私は、昨年2月の本会議質問で、東砂地区の荒川堤防河川敷道路から葛西橋への接続坂路200m部分について、液状化対策、耐震化が未整備であることを指摘し、早急な耐震化を国に働きかけるよう求めました。しかしながら、未だに放置されたままです。
荒川下流河川事務所によれば、現状では大地震が発生した場合、地盤が液状化し、堤防が60cm沈下する危険があります。沈下した堤防から越水し大規模浸水が想定されます。荒川堤防は、本区の水防計画の最重要施設です。国に対し、荒川堤防の液状化対策と耐震化を急ぐよう強く求めるべきです。伺います。
備蓄倉庫についてです。
本区には、区内25か所の備蓄倉庫があります。浸水リスクの高い場所にある防災倉庫については、止水板の設置や備蓄物資を他の倉庫に移動するなど浸水対策を講じるべきです。伺います。
災害用ボートについてです。
現在、潮見、東大島、新木場の各防災倉庫と冬木艇庫の4ヵ所に、合計32隻の災害用ボートが配備されています。江戸川区では荒川の氾濫など大規模水害時の救援体制強化として手漕ぎボートと船外機を105か所の拠点避難所に配備しています。大規模水害の際、小・中学校等の拠点避難所に避難した区民が、長期間の浸水時に移動手段を確保するため、災害用救助ボートを浸水リスクの高い拠点避難所に配備すべきと思いますが、伺います。
また、災害用ボートの訓練について、操縦訓練、物資輸送訓練や車椅子など要配慮者の移送訓練など、大規模水害を想定した訓練を実施し、様々な課題を解決していくべきと考えますが、伺います。
災害時要配慮者が参加しやすい防災訓練についてです。
私たち会派は7月、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮古市田老地区の復興と災害対策を視察しました。市の防災関係者は、「逃げる途中の階段で車椅子の方が立ち往生し、詰まって、詰まって後ろの方まで亡くなった。歩いてみないと見えてこないものがある」と話されました。私は、本年2月の予算委員会で、障害者の方に防災訓練に参加してもらい、当事者の目線で課題を洗い出し、双方向で必要なことを決めていく取り組みを求めました。障害を持っている方が防災訓練等に参加するには、多くの課題があります。障害者施設・事業所や災害協力隊、町会・自治会、民生委員などに呼びかけて、障害者も参加しやすい防災訓練のあり方、環境づくりを進めていくべきです。また、個別避難計画にもつなげていくべきと考えますが、伺います。
また、災害発生等により避難所等で生活する障害者児とその家族への支援については、障害特性等による配慮が必要です。一次避難所での受け入れ体制とともに福祉避難所体制の構築について、最重点課題として長期計画に位置付けるべきと思いますが、伺います。
帰宅困難者対策についてです。
首都直下地震等による被害想定では、江東区内での帰宅困難者数は、前回の被害想定より約6万人増の23万7千人と想定されています。これを踏まえ、本区の地域防災計画では、駅周辺に多くの滞留者が発生した場合に備え、あらかじめ駅ごとに、鉄道、都、区、警察・消防、駅周辺の関連事業者等で構成する駅前滞留者対策協議会の設置を検討するとしています。早急に対策協議会を設置し、避難誘導指針を策定するなど帰宅困難者対策を進めるべきです。伺います。
マンションの耐震化についてです。
本区には現在、旧耐震のマンションが約600棟あると推測されており、耐震化改修が急がれます。しかしながら、耐震化費用が高額に上り、耐震化が進んでいないのが実態です。本区の耐震化助成はマンション1棟当たり2000万円ですが、千代田区は築30年以上の分譲マンションに対する耐震改修の助成率を10分の9へ引き上げ、1棟あたりの助成限度額を2億5099万円に引き上げました。建築資材や人件費等の高騰もあり、耐震化助成額を大幅引き上げるべきです。また、マンションの大規模修繕費に対する財政的支援を求めますが、合わせて伺います。
土木現業職員についてです。
近年の大規模災害などを経験し、自治体職員の不足による対応の遅れが全国各地で大きな問題となっています。本区では、災害があったときに現場へ急行する土木職員が、退職しても補充されず、この10年間で25名から12名に半減しています。これでは、区民の安全は守れません。土木現業職員の退職不補充方針を改め、増員を図るべきです。伺います。
大綱の第3は、医療・介護、福祉の充実について伺います。
医療問題についてです。
日本病院会など病院6団体の「このままではある日突然、病院がなくなります」との訴えが各界に衝撃を与えています。国の診療報酬が、物価高も賃金上昇もまともに反映せずに低く抑えられているためです。診療科の休止、入院患者受け入れの制限、救急医療の廃止が全国に広がり、独立行政法人化した墨東病院ではベッド77床が休止状態です。区は、このような事態をどう認識しているのでしょうか。国に対し、診療報酬の引き上げ求めるべきです。合わせて伺います。
こうした中、政府は〝国の医療費削減〟を口実に11万床の病床削減やOTC類似薬を保険から外そうとしています。
OTC類似薬が保険から除外された場合、患者本人の負担額は今の20~70倍に跳ね上がります。特に全額公費助成されている乳幼児に対する影響は大きく、子育て支援に逆行するものです。難病・慢性疾患やその団体、アレルギー性疾患やアトピー皮膚炎の子どものいる保護者などから抗議の声が上がっています。日本医師会や全国保険医団体連合会は、保険外しに反対しています。これら医療改悪で区民の命と健康は守れません。区はどのように考えているのか伺います。
区長会として、国に対し、OTC類似医薬品の保険給付外しなど、保険外医療を拡大して患者負担増と医療の市場化を進める改悪の中止を求めるべきです。伺います。
介護事業所への支援についてです。
介護現場では、ホームヘルパーなどの介護人材の不足と経営悪化による介護事業所の撤退、廃業、倒産が続いており、区内でこの1年間に3件の訪問介護事業所が閉鎖となっています。国が2024年度から訪問介護の基本報酬を削減したことが大きな打撃となっており、特に小規模な事業所の経営が厳しくなっています。区内の訪問介護事業所に話を聞くと、「人材確保が一番困難で、この3年間、募集しても応募ゼロ」「介護職員の高齢化で、車椅子からベッドへの移動や掃除、長い距離・重たい買物ができないなど、利用者ニーズが受けられない」といいます。区は「報酬改定の影響については、介護事業所からの意見や、区民からの声は寄せられていない」と答弁していますが、基本報酬引き下げの訪問介護事業所と介護職員への影響について、介護保険者として実態を把握することは必要不可欠ではありませんか。伺います。
品川区では、国が介護報酬を改定するまでの臨時的な措置として、引き下げられた報酬分を独自に補填しています。区民への介護サービスを維持するため、引き下げられた報酬分を独自に補填し、給付金として訪問介護事業所に支給するべきと思いますが、伺います。
介護職員宿舎借り上げ支援制度は、介護事業所で働く職員の住宅費負担を軽減することで、介護人材の確保定着を図ること、また事業所による地域防災の迅速な対応を推進するものです。しかしながら、実績は2つの法人の6戸だけです。制度が知られていません。介護事業所を回って制度の周知を図るなど、積極的な活用を進めるべきです。
また、離職介護人材の再就職に対する支援金支給など人材確保への支援策を検討すべきと考えますが、合わせて伺います。
熱中症対策についてです。
熱中症から命を守るためには、エアコンの使用が不可欠です。
区は、私たち会派が繰り返し提案した高齢者世帯等への上限10万円のエアコン購入費助成を実施しましたが、申し込み期間が3か月足らずで、猛暑最中の7月で事業が終了しました。災害級の猛暑は来年も予想されます。秋口になればエアコンの価格も下がり、費用対効果から言っても通年の事業とすべきです。対象者を拡充し、エアコン購入費助成事業の延長を求めます。伺います。
少年野球の子どもたちは、スパイクの底が熱で剥がれるほどの炎天下でプレーしています。熱中症から子どもの命を守るため、少年野球場のベンチや屋外運動場などにミストを設置すべきです。また、木陰が少ない公園では、子どもや家族連れなど公園利用者が安心して利用できるよう、遊具の近くにシェード・日よけを設置するなど、公園の暑さ対策を講じるべきと思いますが、合わせて伺います。
シルバーパスの負担軽減についてです。
東京都のシルバーパスは、70歳以上の高齢者の社会参加と生きがいの活動に活用されています。荒川区は、東京都が10月にシルバーパスの価格を現行の2万510円から1万2千円に引き下げるのに合わせ、70歳以上のすべての高齢者が千円で購入できるよう助成します。本区でも、高齢者の家計負担を軽減し、外出機会を増やすため、すべての高齢者が千円で購入できるよう、費用負担の軽減を求めますが、見解を伺います。以上質問とします。
~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~
正保みきお議員のご質問にお答えします。
はじめに、区民の暮らしと行財政運営についてのうち、2024年度決算についてです。
まず、基金への積み立てではなく、物価高騰から区民の暮らしと営業を支えるべきであったのではないかとのお尋ねですが、本区では、これまでも長引く物価高の影響を受けている区民や区内事業者の支援を適切に実施しており、昨年度は中小企業者に対するエネルギー関連経費の補助や物価高騰重点支援給付金の支給など、国や都の財源も活用しながら、物価高騰対策に取り組んでまいりました。
一方、区財政を取り巻く環境は歳入・歳出の両面で不透明感を増しており、将来にわたって区民サービスを安定的に提供するためには、公共施設の改築・改修などの将来需要を見据えた基金残高の確保も重要であると考えております。
次に、生活支援についてですが、本区では、今年度、住民税均等割のみ課税の世帯に対し、1万円の独自給付を行ったところであり、新たな給付等については、国の動向を注視してまいります。
学用品や修学旅行費等については、就学援助の対象とし、経済的に困難な世帯に対する支援を行っております。これらの費用を無償化することは財政負担等も踏まえ、慎重に検討していく必要があると考えております。
物価高騰対策資金融資の創設や、小規模企業特別資金の利子補助引き上げ、家賃・リース等の固定費の補助については、既に中小企業向けに様々な支援策を実施しており、制度創設・拡充の考えはありません。
本区では区民生活を支える幅広い施策に多くの予算を配分しており、今後も区民や区内事業者の声に耳を傾け、必要な施策に取り組んでまいります。
次に公契約条例についてです。
まず、8月末に開催されました「公契約条例学習会」の意義についてです。多摩市では平成23年12月に条例が施行されており、当時の時代背景や条例制定に至る過程、条例の概要や特色などについて講演があったところです。今回の学習会は、本区が主催したものではなく、意義を評価する立場にはありませんが、今後、調査研究を行っていく中での参考といたします。
次に、条例制定に向けた検討組織の立ち上げについてです。東京都の最低賃金は5年連続の引き上げとなり、今改定は現制度における過去最大の増額となったことや、区としても地域経済活性化に向けて、区内中小企業の優先活用による受注機会の拡大や資金等の融資・補助等を実施していること、人材確保として就労のマッチング支援等に取り組んでいることから、現時点で条例制定に向けて早急に検討組織を立ち上げる考えはありませんが、引き続き、他自治体の動向や実施状況について情報収集を行ってまいります。
次に、会計年度任用職員の処遇についてです。
まず、会計年度任用職員の最低賃金引上げについてですが、会計年度任用職員の時給については、職務給の原則等の給与決定原則にのっとり、職務の内容や責任、職務遂行能力上必要となる知識等を踏まえ、社会情勢に応じた適正な額を適用しております。
次に、スクールソーシャルワーカ―等の職にかかる賃上げについてです。
これらの職については、給料表の適用を受けないため、特別区人事委員会勧告に基づく給与改定の影響を受けず、報酬額が据え置かれていますが、総務省のマニュアルでは、それぞれの職種にかかる給与水準の決定等は、各団体において適切に判断されるべきものとしております。そのため、ご質問の職における報酬につきましては、職務の内容や責任の程度、他区の状況等を踏まえ、慎重に検討していく考えです。
次に、新庁舎建設についてですが、シンプルでコンパクトな計画については、建設や維持管理のコスト低減にも繋がる重要な視点と認識しており、基本構想で掲げた基本方針に沿って、機能性に優れ、コンパクトな庁舎となるよう検討してまいります。
また、近年の激甚化、頻発化する災害に対応するためには、防災センターが有する機能を内包した新庁舎とする必要があり、防災性の強化により「区民のくらしをまもる庁舎」を目指してまいります。
また、事業手法については、多様な選択肢があり、それぞれに有する特徴も異なることから、計画の深度化にあわせ検討を進めてまいります。
次に、防災対策についてのご質問にお答えします。
まず、荒川堤防の液状化・耐震対策についてです。
荒川は、本区の水防計画において最重要施設であり、日頃より国と連携し、万が一の水害に備えております。お尋ねのアクセス坂路における液状化対策の未施工箇所については、江東五区の区長による京成本線荒川橋梁架替事業推進の要望活動を行っており、その中で、私から直接、国に対し、耐震対策の早期実施及び発災時の緊急復旧対応について強く求めております。
次に、備蓄倉庫についてです。
防災倉庫の浸水対策については、発電機等、濡れたら使用ができなくなる資機材の高い位置での保管や、大規模風水害時の事前移送を行うこととしております。また、止水板の設置については、有効性を含め検討しているところです。
次に、災害用ボートについてです。
拠点避難所となる学校へのボートの配備については、保管スペースや操船の担い手の確保、2次災害のリスクがどの程度想定されるかなど様々な課題があると認識しております。引き続き、消防署や消防団の意見も踏まえながら検討してまいります。また、他機関との合同訓練で災害用ボートによる輸送等の訓練を行っており、さらに、様々な状況を想定した訓練についても検討を行っているところです。
次に、災害時要配慮者が参加しやすい防災訓練についてです。
区では地域の避難支援者である災害協力隊を含め、地域で暮らす多くの方々に防災訓練に参加していただき、参加者の意見等を踏まえ、訓練内容に活かしているところです。また、障害のある方など要配慮者が参加しやすい環境整備にも注力しており、引き続き、町会、自治会を始め、福祉に携わる方々と、要配慮者を含めた多くの方に防災訓練に参加していただくよう周知するとともに、個別避難計画を含め要配慮者への理解を深める取組を進めてまいります。
また、障害のある方など要配慮者の一次避難所での受入体制や福祉避難所の体制構築については、すでに、長期計画の重要課題として位置づけ、取り組んでおります。
次に、帰宅困難者対策についてです。
駅前滞留者対策協議会の設置にあたっては、区がオブザーバーとして参加している港区台場駅周辺滞留者対策推進協議会や他区の事例を参考に、地区や構成メンバー、協議項目などについて検討を進めております。
次に、マンションの耐震化についてです。
区では、旧耐震基準のマンションへの耐震化助成と合わせてアドバイザー派遣により、課題である合意形成や意欲醸成の支援に注力しているところです。
助成額の引き上げについては、耐震改修促進計画改定の中で、建築資材等の高騰への対応を含め、国や都、他の自治体の状況を踏まえ、検証してまいります。
また、マンションは所有者の責任において修繕するものであり、大規模修繕費にかかる財政的支援を行う考えはありませんが、区民から相談等があった際は区主催の相談会を案内するなど適切に対応してまいります。
次に、土木現業職員についてです。
災害発生時には、まず、本区土木部技術職の総員体制で、初期対応を行う予定です。また、本区で日常的な維持管理業務に従事している委託事業者等につきましても、災害時などの緊急時には区と協力体制を取りながら、緊急対応にあたることとしております。
そのため、令和7年度以降の新たな定員適正化計画においても、技能系職員は、退職不補充の方針のもと原則として採用を行わないこととしており、方針を見直す考えはありません。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。
次に、医療・介護・福祉の充実についてのご質問にお答えします。
まず、医療問題についてのうち医療提供体制の現状認識についてです。近年、物価や人件費の高騰が続く中、医療機関の経営は全国的に厳しさを増しており、都は「医療機関等物価高騰緊急対策支援金」など、医療機関に対する支援事業を実施しております。区といたしましては、現時点で区民が必要な医療を安心して受けられる体制は維持されていると認識しておりますが、引き続き、必要な医療提供体制について動向を注視してまいります。また、国に対し、診療報酬の引き上げを求めるべきとのことですが、全国知事会から緊急要望を国に行っており、国の動向等を注視してまいります。
また、OTC類似薬の見直しに関する区の考えについてですが、国の「骨太の方針2025」にOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しが盛り込まれたものの、詳細は示されておらず、その推移を見守るとともに、現時点で区長会として国に対し中止を求める考えはありません。
次に、介護事業所への支援についてです。区内訪問介護事業所の実態把握についてですが、区内の訪問介護事業所は3事業所が指定廃止となりましたが、倒産した事業所はありません。また、事業所数は増加しております。
国や都で介護事業所へ様々な支援事業が実施されており、都では介護職員処遇改善加算等の取得を支援するために、社会保険労務士会による相談や訪問によるアドバイスを実施しております。
報酬改定の影響については、国で実態把握を行い審議中であり、その動向を注視するとともに、区としては定期的に行っている連絡会において、事業者との意見交換を重ねてまいります。
また、訪問介護事業所への給付金支給についてですが、本来であれば国が安定的な運営を行えるよう報酬を設定することが重要であり、引き続き、国に対策を求めてまいります。
なお、宿舎借り上げ支援事業につきましては、専用サイトおよび区ホームページへの掲載に加え、介護事業者団体に対し周知協力を依頼するとともに、介護人材の確保については、今年度、介護事業者等を交えた対策協議会を立ち上げ、人材確保・定着に向けた新たな施策について検討を進めているところです。
次に、熱中症対策のうち、エアコン購入費助成事業についてです。
区では今年度、エアコン購入費の助成を行いましたが、熱中症リスクの高い高齢者で、エアコンを購入することが困難な低所得者世帯を、真に支援が必要な方と特定し、施策の有用性を図ったところであります。また、本事業はリスク回避を目的に初夏に実施することで、より効果的に対策を講じるものです。現在のところ対象者の拡充や通年実施をする考えはありませんが、都のゼロエミポイント事業を啓発するなど対応してまいります。
少年野球場と屋外運動場の熱中症対策についてですが、団体利用においては、各主催者が、熱中症対策を行うことを施設利用の条件としております。個人利用においては、エアコンのある管理棟をクーリングシェルターとして案内しておりますので、現時点ではミストを設置する予定はありません。
公園の暑さ対策については、令和6年度より、既存事業に女性視点を反映するプロジェクトチームである「プロジェクト・スマイル」の提案に基づき、公園の大規模改修に併せ、暑さ対策として、日除けを設置するなど、居心地の良い公園づくりを目指しております。
次に、東京都シルバーパスの負担軽減についてです。
都交通局は本年10月より、70歳以上の高齢者を対象としたシルバーパスの価格引き下げを行い、これまで課税者について年額2万510円としていた購入額を、1万2000円に変更しております。
この年額1万2000円に対する区のさらなる助成についてのご質問ですが、応能負担の原則等の視点からも充分な検証が必要であり、他自治体等の状況も踏まえ、慎重に検討してまいります。