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2024年第1回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。
 はじめに、能登半島地震で亡くなられた方に対し哀悼の意を表すとともに、被災された方に心よりお見舞い申し上げます。

  • 前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について
  • 来年度予算案と行財政運営について
  • 防災対策について
  • 住宅問題について

 大綱の第1は、前区長と区議会議員らの公職選挙法違反容疑による起訴について伺います。
 昨年4月の江東区長選挙の際に、有料動画広告の掲載や選挙買収を行ったとして前区長が公職選挙法違反容疑で在宅起訴されるなど、区民の信頼を失墜させる事件が相次いでいます。お金で選挙を歪めることは政治家として絶対やってはならないことです。区政を混乱させた責任は重大です。多くの区民が区政のクリーンな運営を強く求めています。
 大久保区長は、「クリーンで公正な区政」の実現を公約していますが、前区長の公職選挙法違反の買収容疑等の在宅起訴について、どう認識されているのか、伺います。
 また、前区長の当選目的のため、元衆議院議員の柿沢氏側から20万円を受け取ったとして、3人の現職区議会議員が被買収容疑で在宅起訴されました。起訴された事実は極めて重大です。区民に対する説明責任を果たすとともに、ただちに議員を辞職すべきです。
 柿沢氏側から現金を受け取ったとされる複数の区議会議員は立件されなかったものの、金額の多寡の問題ではありません。現在、議会で取り組んでいる「政治倫理条例案」は、政治倫理基準として、「区政運営もしくは議会運営に著しく影響を与え、区民の信用も若しくは信頼を著しく失墜させる行為又は不正の疑惑を持たれる恐れのある行為を行わないこと」「議員は、政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって、真相を明らかにするとともに、区民並びに議会に対して説明責任を果たさなければならない」と規定しています。疑惑を持たれたすべての議員は、自ら誠実に真相と説明責任を果たすべきです。
 大久保区長は、被買収容疑で起訴された現職3区議から先の区長選挙で応援を受けていますが、区長が掲げる「クリーンで公正な区政」の立場とは相容れないのではありませんか。認識を伺います。
 大久保区長は、「区民の信頼を取り戻すためには、我々自身がクリーンで公正でなければならない」「区役所におけるコンプライアンスの順守に徹底的に取り組む」と言明しています。行政内部の規程にとどめず、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定することを求めます。伺います。

 大綱の第1は、来年度予算案と行財政運営について伺います。
 自民党政治がもたらした経済の低迷、「失われた30年」で、経済と暮らしは疲弊し、物価高騰がそれに追い打ちをかけています。都営住宅に住む80代の方は、暖房費が嵩むので寒い部屋の中で服を着重ねて生活しています。飲食業者は、コロナ禍前のお客さんが戻らないうちに原材料の高騰によってやむなく廃業し、運送業者は仕事の激減により事業の困難に直面しています。区民の暮らしと営業の実態について、区長の認識を伺います。
 政府予算案についてです。
 岸田政権は、物価高騰から暮らしを守るまともな賃上げ対策を示さないばかりか、介護保険の予算も現場の人手不足解消にほど遠いうえ、利用者2割負担の拡大や介護保険サービスを要介護3以上に限定するなど社会保障の大削減を狙っています。さらに、子育て支援拡充の財源を医療・介護の削減や国民負担増で生み出す計画です。こうしたやり方は、社会保障と子育て支援の予算を付け替えるだけで、世代間対立をあおるものです。国の社会保障削減に追随せず、国に対し、社会保障の充実、政治の責任による賃上げ、消費税減税やインボイスの中止を毅然として求めるべきではありませんか。伺います。
 本区の予算案についてです。
 来年度予算案は、一般会計で2543億円余、3つの特別会計を合わせた総予算は3,566億円余と過去最大規模です。わが党が求めてきた学校給食無償化の継続、保育料の引き下げ、施設使用料の値上げ据置措置の延長、特養ホームや障害者グループホームの増設など一定の前進がありますが、防災対策の抜本的強化や、子育て、高齢者、障害者への経済的支援、ジェンダー平等、中小業者支援は不十分です。国保料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の大幅値上げなど、区長が掲げる「区民生活最優先の区政」とは言えません。
 基金総額は、2022年度決算時点で1862億円と過去最高額を更新し、コロナ禍と物価高騰で区民生活が危機的状況のなかで、この4年間だけでも495億円もの基金積み増しは、異常な予算の残し方です。区民の税金は区民の暮らしと営業を豊かにするために使うべきです。以下、提案します。
 首都直下地震に備え、備蓄物資の増強や避難所環境整備、木造住宅・マンション耐震改修助成の増額など防災対策の抜本的強化、小・中学校の学用品無償化、給付型奨学金の拡充、重度介護手当や高齢者入院費助成の創設、パートナーシップ制度の実施、予算構成比1.3%に落ち込んでいる産業経済費を増額し、融資の利子補助引上げ、店舗改修費助成の創設、事務所・店舗家賃助成、ホームページリニューアル助成など、本腰を入れた支援を求めます。医療・介護の保険料の引き下げなど、ただちに取り組むべきです。伺います。
 民間委託についてです。
 区は、「行財政改革」と称して、新たに東砂児童館・福祉会館、東砂第3保育園、辰巳小学校の用務業務、保健所が実施している水質検査、食品の細菌検査、結核レントゲン撮影業務などの民間委託を計画しています。
 民間委託した保育園やきっずクラブでは、委託事業者が、職員の人数を水増し請求する委託料の不正受給が相次いでいます。その背景には、目先の利益のためにコスト削減、人件費削減を最優先する雇用破壊の政治があります。民間委託は、官製ワーキングプアを増大させ、区民サービスの質を低下させています。保健所が行っている水質検査や食品の細菌検査の民間委託は、公衆衛生の公的責任を放棄するものです。民間委託ありきの行財政運営は根本的に改め、直営に戻すことも含め、抜本的に転換すべきです。伺います。
 公契約条例についてです。
 公共サービスの質の確保と労働者の処遇改善を目的とする公契約条例が全国で広がり、23区では現在13区で制定されています。公契約条例は、不当な低賃金労働を背景にしたダンピング競争から地元の健全経営の事業者を守り、公共サービスの品質を維持するために熟練労働者の賃金を下支えすることにつながります。公契約条例の制定を求めます。伺います。
 定員適正化計画についてです。
 区は、人件費の削減を続けてきた結果、人口1000人あたりの職員数は23区中で最下位です。こうしたもとで、昨年の古石場川親水公園のポンプの故障による隣接マンションへの床上浸水事故では、区が連絡を受け、土木作業班が現地に到着するのに3時間余りかかり、「なぜすぐ来ないのか」との批判の声が上がりました。
 初動対応が遅れたのは、土木現業職員を退職しても補充せず、この15年間に46人から13人に削減されてきたことにあります。災害時の危機管理上も、技能系職員の退職不補充方針を中止し、計画的な採用を行うべきです。伺います。
 江戸川区において、ケースワーカーが生活保護受給者の遺体を2か月放置していたことが社会に衝撃を与えました。再発防止に関する報告書では、当該ケースワーカーが100世帯を担当しており、社会福祉法の定める標準数である80世帯を超過していたことが要因の一つと指摘しています。本区においても、1人あたり100世帯、中には120世帯を担当しています。対岸の火事にせず、標準数を満たす職員体制の確保を図るべきです。伺います。
 5年間にわたって職員定数を1人も増やさないという定員適正化計画を柔軟に見直し、業務量に見合った適正な職員数とすべきです。伺います。

 大綱の第3は、防災対策について伺います。
 最大震度7を記録した今回の能登半島地震では、避難所での生活用水や食料、トイレ、暖房類等の不足が初動対応の遅れを招きました。これを踏まえ、本区の防災対策の強化を求めます。
 まず、備蓄物資の増強です。
 区は、来年度予算で、新たにウエットシートや段ボールベッド、飲料水、栄養食を配備する計画です。一方、食料備蓄は、区と都で連携して3日分を備蓄することになっていますが、区の備蓄は1日分しかありません。計画通りに支援を受けられる保証はありません。区独自に3日分を備蓄すべきです。また、飲料水は、地震で浄化槽や水道管損傷、道路の寸断等で給水車が遅れる恐れもあるため増配置すべきです。携帯トイレは現在の3日分から一週間分に増やし、段ボールベッドは避難所1か所あたり5個程度の配置予定しかないため、増強が必要です。水害では2週間水が引かず連絡の遮断が想定されます。水害時も含めて現在の備蓄物資を再検証し、計画的に増強を図っていくべきです。伺います。
 避難所等の環境整備です。
 避難所等での災害関連死が大きな問題となっています。医師や専門家でつくる避難所・避難生活学会は、避難所は「不便で不潔なトイレ」「冷たい食事」「床での雑魚寝」に課題があると指摘しています。高齢者や女性が安心して利用できるトレーラートイレ導入など、快適で十分な数のトイレ、あたたかい食事、段ボールベッドの十分な提供など、避難所等の環境整備を求めます。伺います。
 福祉避難所です。
 自宅や避難所での生活が困難な高齢者や障害者等の要配慮者を一時的に受け入れ、保護するための福祉避難所は重要です。区は福祉避難所として特養ホームなど25ヵ所を指定していますが、受け入れ態勢の困難さがあります。各施設管理者との協議を継続するとともに、自主的避難施設に指定した文化センター等を災害時の福祉的避難所として活用すべきです。伺います。
 感震ブレーカーの設置拡充です。
 地震による火災の過半数は電気が原因であり、その対策として感震ブレーカーが効果的です。区は、今年度、感震ブレーカー配付等を行いましたが、実績は配付事業で対象者の2割台、分電盤助成では1割に及びません。都は独自の感震ブレーカー設置事業を促進するため、申込んでいない世帯への個別訪問と直接配付を始めました。本区での取り組み強化を求めます。伺います。
 荒川堤防の液状化対策・耐震化です。
 東砂地区の荒川右岸堤防の整備状況について、国土交通省荒川下流河川事務所に確認したところ、河川敷道路から葛西橋へのアクセス坂路200m部分の液状化対策、耐震化が完了しておらず、「大地震発生時には地盤が液状化し、堤防が60cm沈下する恐れがある」ことが判明しました。このままでは、首都直下の大地震が発生した場合、地盤が液状化し、沈下した堤防から氾濫、大規模浸水となります。早急に液状化対策と耐震化を行うよう国に強く申し入れるべきです。また、耐震化が遅れている横十間川、越中島川、東雲・豊洲・辰巳運河などの耐震護岸整備の促進を都に働きかけるべきです。伺います。

 大綱の第4は、住宅問題について伺います。
 区営・都営住宅の増設についてです。

 国は住宅政策への公的責任を後退させ、ニーズが高いにもかかわらず、公営住宅の削減をすすめてきました。その結果、都営住宅の新規建設は24年間ゼロです。応募倍率は一般募集で10倍以上、単身者向けでは50倍を超えています。区営住宅でも58倍、さらに高齢者住宅は、わずか2戸の募集に133世帯が応募している状況です。区営・都営住宅の入居希望者は、経済的困難だけではなく、ひとり親世帯、高齢者世帯、障害者など様々な困難を抱える人たちです。
 区営住宅の新規建設を行うとともに、UR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げるなど、供給量を増やすべきです。また、都営住宅の新規増設を求めるべきです。合わせて伺います。
 入居収入基準についてです。
 区営・都営住宅は、月収15万8千円以下など、限られた低所得者しか入居できません。
 現行の入居収入基準を、月収20万円に引き上げ、子育て世代や単身者が入居しやすいようにするべきです。また、「孤独死」を防ぐため、単身高齢者等の見守り行う自治会に対する支援を充実すべきです。合わせて伺います。
 修繕負担についてです。
 畳表や畳床の取替えなど、多くの修繕が居住者負担となっています。居住者は、低所得者世帯が多いことに加え、年金生活者が増加し、修繕費の負担が重荷です。畳表の取替え、障子紙、ふすま紙の張替え、給水栓、LED照明の取替えなどを借主負担から外した国交省の賃貸住宅標準契約書の積極的な内容を踏まえ、負担軽減を図るべきです。伺います。
 空き家対策についてです。
 団地自治会の役員さんたちから、「空き家が多すぎて自治会活動が成り立たない」という声が上がっています。都営住宅の空き家総戸数は3万8千戸に達しています。2011年度からの10年間で空き家は倍増しています。区内の都営住宅の空き家の利活用について、高齢者向け優良賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅として提供できるよう都と協議すべきです。伺います。
 次に、UR賃貸住宅についてです。
 高齢者世帯への家賃助成について伺います。

 本区には、UR賃貸住宅が27ヵ所、16,000戸以上が整備されています。
 全国自治協が行ったアンケート調査結果では、現在の家賃が「重い」と答えた方は74%に上ります。築50年の大島6丁目団地における同調査では、高齢者の一人暮らし世帯が43%に増加し、年金受給者が7割を超え、物価高騰と年金切り下げのもとで、家賃負担が「大変重い」「重い」と答えた世帯が実に9割を超えました。
 安心して住み続けられるよう機構法25条4項に基づき、家賃負担が困難な高齢者世帯に家賃減免を行うようURや国に求めるべきです。また、区として家賃助成を行うべきと思いますが、合わせて伺います。
 居住者や自治会の運動が実り、修繕負担区分の見直しが実現しました。さらに、劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳、ふすまの入れ替え等、必要な修繕をURに求めるべきです。伺います。
 マンション対策について伺います。
 大規模修繕についてです。

 区のマンション実態調査では、行政に求める支援で一番多いのが「大規模修繕工事への支援」です。区では、各種アドバイザーによる相談体制や共用部分リフォーム支援等を行っていますが、大規模修繕工事への財政支援の拡充を図るべきです。伺います。
 耐震化についてです。
 マンションの耐震化は、大地震時にマンション居住者の命と財産を守り、倒壊等による道路閉塞を防ぎ、早期の生活再建にも効果的であり、耐震診断、耐震改修の実施が急がれます。しかし、耐震化に向けた費用が高額にのぼり、費用不足のため、診断結果が悪くても耐震工事ができないのが実情です。建築資材や人件費等の高騰も踏まえ、区の耐震化助成額を引上げるべきです。伺います。
 住宅マスタープランについて伺います。
 住宅は、区民生活の基礎であり、都市づくりの要です。しかし、区は、住宅マスタープランを都市計画マスタープランと統合・改定し、テーマ別まちづくりの一つとして位置づけを変えました。住宅の基本政策が縮小、後退していると言わざるを得ません。住まいは人権です。住宅マスタープランは、区の住宅政策の方向性と施策を明確に示す計画として策定すべきです。答弁を求め、質問といたします。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 正保みきお議員のご質問にお答えします。はじめに、来年度予算案と行財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、区民生活に対する認識についてですが、長引く物価高が区民生活や中小企業の活動にも影響を及ぼしていることから、区では補正予算や6年度当初予算で中小企業の支援など様々な対策に取り組んでおります。
 次に、政府予算案についてです。国の6年度予算は少子化対策の強化を図るなど、社会保障費は歳出全体の3分の1を占める37兆円余を計上して社会保障の充実に努め、「物価に負けない賃上げ」の実現を必要とした予算となっているものと認識しており、社会保障費の財源となっている消費税の減税やインボイス制度の中止などを本区から要望する考えはありません。
 次に、本区の予算案についてのうち、備蓄物資の増強についてですが、能登半島地震の状況を踏まえ、生活必需品等の備蓄を拡充し、避難所の環境整備については、要配慮者対策の観点から、新たに段ボールベッド等を配備する方針です。
 次に、木造住宅やマンション耐震改修助成ですが、耐震化への意欲醸成が課題であり、その支援に注力していることから、増額は今後の検討課題であります。
 次に、小中学校学用品の無償化ですが、就学援助制度など経済的に困難な世帯への負担軽減については、既に取り組んでおり、現時点で実施する考えはありません。また、奨学金の拡充に関しては今年度より、高校等へ進学を希望する中学3年生を対象とした給付型奨学制度を開始しており、本制度を継続してまいります。
 次に、重度介護手当や高齢者入院見舞金制度を創設すべきとのお尋ねですが、区では高齢者福祉に関するさまざまな施策を着実に取り組んでおり、実施する考えはありません。
 次に、パートナーシップについては、骨子(案)を取りまとめ、制度の実施に向け、区議会のご意見を踏まえ、必要な規定整備を検討しております。
 次に、融資における利子補助の引き上げやホームページ作成費補助金の対象拡大、店舗改修費・事務所家賃補助の創設についてですが、区では、すでに様々な支援策を講じており、現時点で拡充や制度創設などの考えはありません。
 次に、国民健康保険料のこども均等割を無料にすべきとのことですが、制度上の課題は国の責任で実施するよう区長会から要望しており、区で独自に取り組む予定はありません。
 また、介護保険料の引き下げについてですが、今後も増加が予想される介護需要を考え、これまでも基金を有効に活用し、増額幅を抑制しているところであり、現時点では介護保険料の引き下げは考えておりません。
 次に、民間委託についてです。
 民間活力導入は健全な行財政運営に不可欠なものであり、今後とも必要な活用を図ってまいります。
 次に、公契約条例についてです。適正な労働環境の整備は、国の法制で対応すべきものと考えており、現時点で条例を制定する考えはありませんが、本年度から一部の工事案件を対象に開始した労働環境確認の継続実施とともに、最低制限価格の適切な設定などにより、公共サービスの品質維持に努めてまいります。
 次に、定員適正化計画についてです。
 災害時も含め、土木部全体や民間協力会社等との対応体制が構築されており、技能系職員の退職不補充を見直す考えはありません。また、ケースワーカーの配置数については、生活保護受給者数の推移を踏まえ、毎年見直しを図っており、適宜、増員も行っております。
 定員数については、行政需要等による必要数と、行財政改革の進捗による減員数とのバランスを図りながら進行管理を行っており、現行の定員適正化計画を見直す考えはありません。

 次に、前区長と区議会議員らの選挙買収容疑による起訴についてのご質問にお答えします。
 昨年十月二十四日に東京地検特捜部による区長室の捜索が行われ、以降、前区長の辞職と二回目の区長選挙、そして先月十七日の前区長等の在宅起訴など、これまでの間、区がこれまで経験したことのない様々な出来事の連続でありました。
 お尋ねの前区長が公職選挙法違反容疑により在宅起訴されたことについての認識ですが、このような事態となったことに対して、区として大変残念であり、誠に遺憾であります。引き続き、今後の司法の場における審理の状況を注視してまいります。
 次に、被買収容疑で起訴された現職区議にも選挙応援を受けていたことが、クリーンで公正な区政の立場と相容れないのではとのお尋ねですが、区議が起訴されたのは本年一月であったことから、十二月の区長選挙期間中において、当該区議から応援を受けたことが、大久保区長が掲げる公約と関連するものではないものと認識しております。
 次に、区民に対して法的効果を及ぼす政治倫理条例を行政として制定すべきとのお尋ねですが、現時点で、特別職に関する政治倫理条例を制定する考えはありませんが、現在、他自治体の取り組みなどを参考に、庁内のコンプライアンスの強化に向けた具体的な取り組みについて検討を進めております。

 次に、防災対策についてのご質問にお答えいたします。
 初めに、備蓄物資の増強についてです。
 区では、能登半島地震の被災地において、道路インフラの断絶等により物資支援に遅れが出た状況を踏まえ、令和6年度に段ボールベッド等の新規備蓄や紙おむつ等生活必需品の増強を図ることといたしました。これは、緊急措置としての対応であり、現在、防災倉庫等の保管スペースの状況を踏まえ、備蓄物資の品目及び量の見直しの検討を進めているところです。
 なお、区単独での大幅な備蓄の強化については、保管場所等の課題があることから、東京都との連携強化や、防災協定の拡充により区の備蓄の補完を図ってまいります。
 次に、避難所等の環境整備についてですが、避難所では、高齢者や障害者等の要配慮者や、女性の視点に立った環境整備が重要であり、これにより避難者のストレス軽減や災害関連死の予防にもつながるものと考えております。このため、今年度は防災授乳服を配備し、また、令和6年度には段ボールベッドやゼリー食を新たに備蓄することといたしました。引き続き、備蓄の見直しと合わせ、避難所における要配慮者の受入れ訓練などのソフト対策も強化するなど、避難所の環境整備に取り組んでまいります。
 次に、福祉避難所についてです。
 現在、庁内の会議体において、福祉避難所の収容人数や人員体制など、受入態勢の様々な課題について検討しております。文化センター等を含めた福祉的避難所の整備についてのお尋ねですが、高齢者・障害者施設等の指定の拡充や、避難所における福祉機能の充実を図る必要があるものと考えております。なお、要配慮者対策にあたっては庁内の組織体制の強化を図る予定であり、災害時に配慮が必要な方々に関係する部署が連携して対策を検討してまいります。
 次に、感震ブレーカーの設置拡充についてです。
 今年度、火災危険度の高い地域を対象に、簡易型感震ブレーカーの無料配付及び、分電盤タイプの設置費用の一部助成を実施しておりますが、各地域での展示会や区報、SNS等により、この事業の周知を図ってまいりました。また、現在、簡易型感震ブレーカーの申込期限は経過しておりますが、引き続き、窓口配付を行っており、一定の反響があるところです。今後も、東京都の取組状況を踏まえ、感震ブレーカーの設置を促進していく考えです。
 次に、荒川堤防の液状化対策・耐震化についてですが、荒川は、本区の水防計画において最重要施設であり、日頃より国と連携し、万が一の水害に備えております。お尋ねのアクセス坂(はん)路(ろ)における液状化対策の未施工箇所については、本区も認識しており、国に対し、耐震対策の早期実施とともに、発災時の緊急復旧対応についても要望しております。
 また、内部河川及び運河につきましては、区民の安全・安心を確保するため、水防連絡会等を通じて、東京都に対して、耐震護岸の整備促進を要望しております。あわせて、私が会長である東京高潮対策促進連盟の要請活動において、東京都が実施する護岸整備事業等の予算確保に向け、国に対しても積極的に働きかけてまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、住宅問題についてであります。
 まず、区営・都営住宅の増設についてですが、区内の公営住宅供給量は住宅ストックとして充足している状況です。
 そのため区営・都営住宅の管理戸数は現行水準を維持していく方針であり、借上げを含めた区営住宅の新規供給や都営住宅の増設を求める考えはありません。
 また、入居収入基準については、区営住宅条例に基づき公営住宅法施行令の基準を適用しており、区が独自に上限額を引上げることは困難であります。
 また、高齢者の見守りに係る自治会等への支援制度ですが、高齢者地域見守り支援事業の活用や長寿サポートセンターとの連携を図ることで、孤独死の防止に努めております。
 また、修繕負担についてですが、入居している期間において、畳表やふすま紙など、日常的に使用するもので、入居者の使用状況により破損の程度が異なるものについては、自費で負担することとしており、現段階で見直す考えはありません。
 また、空き家対策についてですが、区内の都営住宅については、複数団地で実施されている建替事業対応のため、仮移転先として空き住戸を確保する必要があるものと認識しております。
 また、サービス付き高齢者住宅など空き住戸の利活用については、都営住宅の管理上または施策的観点から都において検討するものと認識しており、現時点で考えておりません。
 次に、UR賃貸住宅についてのうち、高齢者世帯の家賃についてです。
 URは公的機関として法律に基づき賃貸住宅を供給、運営しており、家賃についても政策的に決定していることから、国やURに対し、区として直ちに減免制度の適用を働きかける考えはありません。
 また、高齢者世帯への区からの家賃助成や修繕負担区分に係る関係機関への働きかけについても、現時点で実施することは考えておりませんが、都営住宅申込みの案内や窓口相談を含め、今後も高齢者の住まいへの思いに寄り添った出来うる限りの支援を継続してまいります。
 次に、マンション対策についてのうち大規模修繕についてであります。
 計画的な大規模修繕工事や修繕積立金の確保は、マンション管理の健全性を示す指標でもあり、工事費助成は現在行っておりませんが、計画修繕調査支援事業の件数拡充を予算に反映するなど、管理組合への支援を強化しております。
 また、耐震化助成の引上げについてですが、まずは耐震化への意欲醸成が課題であるため、その支援に注力しているところであり、資材等高騰への対応については、今後の検討課題といたします。
 次に、住宅マスタープランについてでありますが、本区の住宅政策のあり方を示す基幹の計画であることから、多様な部門を連携させ、総合的な施策展開を図るため、都市計画マスタープランと一体として策定しております。
 掲げる取組方針については、マンション建設方針やマンション管理適正化推進計画など個別具体的に実施計画を定め、多様な暮らしを育む定住都市の実現に取組んでおります。

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