カテゴリー: 区議会定例会 タグ: パーマリンク

2023年第2回定例会―赤羽目民雄議員

 日本共産党の赤羽目民雄です。日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。大綱1点目、行財政運営について伺います。

  • 区長の政治姿勢について
  • 医療・介護の充実について
  • 区内中小事業者支援について

 まず、区長の政治姿勢についてです。
 江東区はこの間、国の社会保障の削減や「行革」に歩調を合わせ、保育料、介護保険料、施設使用料の引上げ、国民健康保険料は毎年値上げを区民に押し付けてきました。さらに、オストメイト用装具等購入費助成事業の廃止や亀戸第2児童館の廃止を強行、福祉会館、きっずクラブ、学校警備などを安上がり労働に置き換える民間委託を推進し職員削減を行ってきました。国保料や住民税は強引な取り立てを行い、奨学金は訴訟を起こしてまで回収してきました。
 負担増と福祉削減を区民に押し付ける一方、基金はこの4年間で480億円もため込み、昨年度末時点の基金総額は区政史上最高1712億円に達しています。
 江東区の果たすべき役割は「住民福祉の向上」です。区長は、国の悪政ときっぱり対決をして、区民負担の軽減と福祉の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、職員定数の適正化について伺います。
 区は、定員適正化計画に基づき、人口が増え、行政需要が増大しているにも関わらず、区の正規職員をこの10年間で133人も削減してきました。その結果、昨年の1月1日時点で、人口千人当たりの職員数は4.8人と23区平均6.3人を大きく下回り、23区の中で最下位となっています。
 特にマンパワーが必要な防災分野では、災害があった時に現場に急行する土木職員は、15年間で47人から13人に削減され、土木の技能系職員は退職してもまったく補充されていません。福祉事務所のケースワーカーの一人当たりの担当数は国基準80件に対し、今年1月末時点で99件、多い人で116件も抱えており、保護受給者の高齢化等に対し、きめ細かい対応は困難です。定員適正化計画を見直し、必要な職員の増員を図るべきです。伺います。

 次に会計年度任用職員の処遇改善について伺います。
 現在、本区の職員は全体で4952人、その内、会計年度任用職員は、2305人となっており、本区の大事な行政サービスを支えています。しかし、会計年度任用職員は安い賃金で何年働いても給料は上がらず、短期間の雇用契約の更新を繰り返し、常に雇用不安を抱えています。
 職員の処遇改善は区の大事な責務です。会計年度任用職員の時給の引上げや昇給制度を導入するなど、処遇の改善を行うよう求めます。伺います。

 次に、民間委託についてです。
 アウトソーシング方針で区立保育園・福祉会館などの運営や、保育所調理・用務業務などの民間委託を拡大するとしています。
 この間、委託先では、低賃金と過重労働などで職員が定着せず、委託された亀高保育園では、令和元年度、保育士が大量退職したため、離職率は40%と異常な高さとなりました。これは、保育園運営の質の確保という根幹に関わる大問題です。さらに、きっずクラブでは、職員の確保が困難として事業者が撤退する事態が起き、塩浜福祉園では「毎年職員の入れ替えが激しい」と利用者や家族から不安の声が上がっています。
 財政効率優先の民間委託は、安上がり労働に置き換えて、ワーキングプアを拡大し、江東区の福祉を低下させています。民間委託の拡大は中止すべきです。伺います。

 次に、公契約条例の制定についてです。
 区が発注する契約で働く労働者の適正な労働環境の整備や、事業者の人材確保等のため、公契約条例を制定する自治体が全国で広がり、都内では江戸川区、世田谷区、多摩市など11区3市で制定され、今年度中に台東区も制定するとしています。
 多摩市では、派遣業者や建設の下請業者にも一定の賃金を支払う仕組が作られ、市内業者を下請けに選ぶ動きが強まりました。
 労働条件の改善、地域経済の活性化を図るため、江東区としても公契約条例を制定すべきです。伺います。

 次に児童館の廃止問題についてです。
 区は、令和2年に、行財政改革計画に基づいて児童館の運営方針の見直し行い、児童館を乳幼児親子の支援に重点化させました。そのため、子ども家庭支援センターと支援が重複するとして、子ども家庭支援センターの近隣にある児童館の廃止の検討を行い、今年3月に、年間2万6千人以上が利用していた亀戸第2児童館を廃止してしまいました。さらに、今年度以降も、児童が減少傾向にある地域の児童館について、存廃を含めて検討するとしています。
 しかし、対象年齢が18歳までの児童館を乳幼児親子の支援に重点化させることは、子育て支援の縮小・後退であり、不登校の子どもが年間100人以上増加する等、困難を抱える子どもが増える中、児童館の廃止は、子どもの居場所を奪うものに他なりません。「こどもまんなか江東区」を掲げる区長は、児童館の廃止方針を撤回すべきです。伺います。

 次に使用料等の見直しについてです。
 区は、施設使用料や保育料を4年ごとに見直しを行っており、今年度は改定の時期となっています。
 この間、「受益者負担」の名のもとに、見直しの度に負担増が区民に押し付けられてきました。そのため「利用料が高くてスポーツ会館のプールに行く回数を減らした」「保育料の負担が重い。二人目は考えてしまう」との声が上がっています。くらしは厳しさを増しており、使用料や保育料の値上げは許されません。使用料を値下げし、区民がお金の心配なく公共施設を利用できるようにすると共に、子育て支援の観点から保育料の引下げを求めます。伺います。

 次に、クリーンで開かれた区政についてです。
 昨年7月に起きた元自民党区議によるあっせん収賄事件は、区政の根幹を揺るがす重大問題であり、徹底的な真相の究明と再発防止が求められています。
 この事件に関して、昨年11月の定例記者会見において、山﨑前区長は「今回の事件以外に、守秘義務違反になるような情報提供をしたという例はない」と記者の質問に回答しています。
 しかしながら、本年5月から始まった元区議の公判では、平成28年度以降、指名業者数や指名業者名を元区議から教えてもらい、談合をしていたという業者の証言や、議員から推薦された業者の指名の有無を、公表前に議員に対面で伝えていたと元経理課長が証言するなど、秘密事項の漏洩が何年にも渡って行われていたという疑惑が明るみに出ています。
 元区議の公判において、新たに明らかになった証言や、管理職アンケートの結果も踏まえて、第三者機関による再調査を実施し、その結果を区民に公表すべきと考えますが、区の認識を伺います。

 大綱2点目は、医療・介護の充実についてです。
 この間の、介護保険の改悪や75歳以上の医療費の窓口負担の倍化、年金削減、国民健康保険料の連続値上げで「くらしは限界、助けてほしい」と多数の悲鳴が上がっています。しかし国は、現在開かれている通常国会で、年収153万円以上の後期高齢者医療保険料の引上げや、国保料の値上げに拍車をかける改悪を強行しました。長引くコロナ禍、物価高騰で暮らしが大変な時に負担増の押しつけは絶対に許せません。今必要なのは、医療や介護等、社会保障の充実・負担の軽減だと考えますが、区長の見解を伺います。

 次に、後期高齢者医療保険料についてです。
 今年度は保険料の見直しが行われます。この間、一人当たりの平均保険料は制度発足時89,300円から直近では、104,842円へと1万5千円も引き上げられてきました。年金が目減りする中で、高齢者の負担は限界を超えています。200億円を超える財政安定化基金を活用して保険料負担を軽減するよう、東京都後期高齢者医療広域連合に申し入れるべきです。伺います。

 次に国民健康保料について伺います。
 国民健康保険料は、今年度、1人当たり10,791円もの大幅値上げが押し付けられました。そのため、一人当たりの年間保険料は約18万2千円となり、この5年間で2万円以上も値上げされています。
 国保加入者の多くは失業者や高齢者、フリーランスなど低所得の人ですが、同じ年収で中小企業で働く労働者が加入する「協会けんぽ」の保険料と比べ1.4倍も負担が重く、暮らしを苦しめています。
 国に公費投入を増額して、協会けんぽ並みの保険料に引き下げるよう求めるとともに、江東区として一般会計からの繰り入れを行い、保険料の引下げに力を尽くすべきです。伺います。
 高すぎる国保料を引き下げる為には、協会けんぽ等他の医療保険にはなく国保加入者全員にかかる均等割の軽減が必要です。
 国は、未就学児に限り均等割りを半額にしていますが、江東区が5000万円程財源を充てれば、2千人以上の未就学児の均等割を無料にすることができます。国に対し、均等割り減額対象の拡大を求めると共に、区独自に子どもの均等割り負担を軽減するよう求めます。伺います。

 次に、医療保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化する問題についてです。
 5月31日、岸田自公政権は多くの医療関係者や国民の声を無視して、医療保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化させる法案を強行採決しました。この間、マイナンバーカードと医療保険証を一体化した「マイナ保険証」に他人の情報が紐づけられていた事例が、厚生労働省によると2021年10月からの1年間で、全国7000件以上も確認されていました。誤入力された医療情報に基づく治療行為や投薬は、命に関わる重大問題を引き起こしてしまいます。
 また、マイナ保険証は申請方式となっており、申請困難な高齢者や障害者は無保険になる危険が高まります。
 現行の保険証は、何ら問題なく機能しており、廃止する理由はありません。国会審議の中で、新たな問題が次々に噴き出し、区民の不信と不安は募るばかりです。安全なシステムという前提も破綻しています。区長は、区民の不安の声を受け止め、医療保険証の廃止は中止するよう国に求めるべきです。伺います。

 次に介護保険について伺います。
 現在、2024年からの第9期介護保険事業計画の策定に向け議論が進められています。次期計画には国民から反対の強かった介護1・2の保険外しやケアプランの有料化を盛り込むことは見送ったものの、利用料2割・3負担の対象拡大や老人保健施設等の多床室の有料化などが検討され、夏までに結論を出すとしています。
 この間、区は、介護保険制度の見直しは「必要」と述べ改悪を容認していますが、介護離職など家族負担を増大させるとともに、介護サービス利用を抑制させ「保険あって介護なし」の状況を広げてしまいます。制度改悪に反対し、誰もが安心できる介護保険に改善するよう国に求めるべきです。伺います。

 介護保険料も今年度見直しが行われます。私たち共産党区議団に、「介護保険料の負担が非常に重い」という声が多数寄せられており、保険料の引下げが強く求められています。
 前回改定時に区は、値上げを強行しましたが、23区中12区は値上げを回避しました。この間、くらしは一段と厳しくなっており負担増は許されません。
 約40億円が見込まれる介護給付費準備基金を活用することや、保険料区分の多段階化、特別区長会を通じて要望している国庫負担の増額を実現させるなど、あらゆる手だてを尽くし、介護保険料の負担を軽減すべきです。伺います。

 次に、特別養護老人ホームの増設についてです。
 特別養護老人ホームの待機者は1千4百人を超える深刻な状況が続いています。
 区はこれまで、「自宅介護を希望している人が多い」等として整備を抑えてきました。そのため高齢者の人口に対する施設整備数は、平成23年度23区中9番目から今では15番目と後退しています。
 長期計画では、令和11年までに2か所整備するとしていますが、早期増設が求められています。現在利用可能な大島3大中の跡地や白河3丁目、新砂3丁目、枝川1丁目の空き都有地を活用する等、計画を前倒しして整備するとともに、更なる増設を図るべきです。伺います。

 大綱3点目、区内中小事業者支援について質問します。
 区内経済の屋台骨である中小業者を支援し、地域経済の活性化を図ることは、区の大事な役割です。今、区内業者は、原材料の値上げに加え、電気代が跳ね上がり、「経営が苦しい」と悲鳴を上げています。今月からさらに諸物価が高騰、電気代も上がっており、支援が必要です。現在区は、公衆浴場に限り燃料代に補助を行っていますが、事業継続に影響がある業種に対象を広げ補助すべきです。伺います。

 経営難の中小・零細業者やフリーランスに対し、国は、消費税のインボイス制度を今年10月から実施し負担増を押し付けようとしています。
 インボイスは課税業者でないと発行できないため、区内では6500以上の免税業者に対し課税業者になることを迫るもので、税負担に耐えられず中小・零細業者やフリーランスの倒産・廃業を招き、多くの区民が職を失う事態となってしまいます。中小業者の暮らしと営業を守るため、消費税のインボイス制度の中止と5%への減税を国に求めるべきです。伺います。

 区内の飲食店から「エアコンや冷蔵庫を直したいが、費用があがり修理できない」といった声が寄せられています。新宿区では、経営力強化支援として、全業種を対象に80万円を上限に設備の購入等に支援を行っています。江東区としても設備の購入費などに支援を行い、経営を支えるべきと思いますが、見解を伺います。

 区は、販路開拓支援として、ホームページの新規作成に対し、年間300万円の予算を組み、上限10万円の補助を行っています。昨年度は32件の利用があり、年度途中で予算を使いきってしまったため、区内業者から「申請を断られた」との声が上がっています。また、「多言語化やスマートフォンに対応するホームページに更新したいが30万以上の費用負担が重い。補助金を支給してほしい」との声が寄せられています。
 区は、更新時の補助について「更新内容が、把握困難なケースがある」と拒んでいますが、江戸川区は、事前に事業計画書で審査を行い、事業目的に合致していれば支給しています。他にも葛飾区、足立区、豊島区なども更新時に補助金を支給しています。
 江東区としても、予算を増額してホームページの更新時を補助対象に加えるべきです。伺います。
 区内中小企業の人材確保を目的として、若者・女性しごとセンターでは、カウンセリングやセミナーを開催しているほか、「U29こうとうジョブマッチング」を行い、ビジネス研修や職場体験をサポートしています。
 雇用環境が悪化する中で、新規登録者は事業開始時の倍以上に増加していますが、求人企業は100件以上も減少しています。
 昨年3月に報告された産業実態調査では、多くの企業が若い人の採用を希望しています。
 区は、参加企業を増やす取り組みを強めるとともに、おおむね29歳以下となっている対象年齢を広げ、より中小企業とのマッチングが図れるようにすべきです。区長の見解を伺い、私の質問を終わります。

 ご清聴、ありがとうございました。

~~~~~~~~~~【答弁】~~~~~~~~~~~

 赤羽目民雄議員のご質問にお答えします。
 初めに、行財政運営についてのご質問にお答えします。
 まず、区長の政治姿勢についてです。
 区民福祉の追求と生活負担感の軽減は、住民に身近な自治体である区の責務であると認識しております。
 このため、本定例会では、子育て負担感軽減のため、区立小中学校等における学校給食の無償化の予算を計上したほか、物価高騰対策として、非課税世帯への一世帯あたり三万円の給付について、迅速に対応したところです。
 次に、職員定数の適正化についてです。現定員適正化計画は、単に職員数の減を目的としたものではなく、適正な執行体制の確保を主眼としております。
 そのため、毎年度、行政需要や退職・育児休業等による必要数と、行財政改革の進捗度合等による減員数とのバランスを図りながら、総職員数を管理しており、令和5年4月1日の総職員数は、前年度比12人の増としたところです。
 今後とも、行政需要に対応した人員体制の確保を図ってまいります。
 次に、会計年度任用職員の処遇改善についてですが、区としては、令和6年度からの勤勉手当導入に向けた準備を進めるとともに、就労環境の改善やスキルアップ支援など、様々な取り組みを検討しているところです。ご提案の給料の引上げや昇給制度の導入については、職務給の原則が報酬水準等の基本であると考えており、現時点で導入の考えはありませんが、引き続き、会計年度任用職員の処遇改善に努めて参ります。
 次に、民間委託についてです。
 一部の施設において、公設民営への移行期に、事業者における従業員の離職が見られたことは承知しておりますが、いずれの施設においても、現在は適正な人員体制での運営となっており、利用者満足度も向上しております。
 施設運営の指定管理化等、アウトソーシング基本方針に定める姿勢は、健全な行財政運営を行ううえで、必要かつ不可欠なものであり、見直しを行うつもりはありません。
 次に、公契約条例を制定すべきとのお尋ねでありますが、適正な労働環境の整備については、国の労働法制の中で対応すべきものと考えております。従いまして、現在のところ、公契約条例を制定する考えはありませんが、本年度から、工事案件の一部を対象に、受注者の労働関係法令の遵守状況等を区が確認する取組みを実施するなど、労働環境の確保に一層配慮した調達を推進してまいります。
 次に、児童館の廃止問題についてです。現在、児童館の利用において、乳幼児親子の利用割合が高くなるなど利用者ニーズが変化してきたことを受け、子ども家庭支援センターが新設された際は、機能が大きく重複する近隣の児童館は廃止を含め検討するといたしました。
 検討にあたっては、人口動態や利用者の推移、近隣の児童施設の状況などを総合的に分析・検討するものであり、単なる児童館の廃止方針ではないため、撤回する考えはありません。
 次に、使用料等の見直しについてですが、公共施設使用料、保育料ともに、今年度は行財政改革計画に基づき、検討を行うことになります。
 まず、公共施設使用料についてですが、受益者負担の原則に基づき、決算実績の分析等から適正な料金設定とするため、検討を進めてまいります。
 また、保育料についても、受益者負担の原則や在宅子育て家庭との公平性などを踏まえつつ、保育経費の状況をはじめ様々な観点から分析を行うなど、適切に検討を進めてまいります。
 次に、クリーンで開かれた区政についてです。本区契約に係るあっせん収賄事件を受け、区では昨年、関係職員への聴き取り調査を行いましたが、本件以外の不正行為は確認されませんでした。公判での証言について、報告は受けていますが、裁判は継続中であり、現時点では、再調査を実施する考えはありません。
 また、クリーンで開かれた区政の一環として、第三者機関である「入札監視委員会」を本年度から新たに設置し、入札や契約の内容について点検を受けるとともに、審議内容をホームページ等で公開してまいります。
 なお、その他のご質問につきましては、所管部長が答弁いたします。

 次に、医療・介護についてです。
 まず、社会保障の拡充と負担軽減についてです。少子高齢化が急速に進む中、将来にわたって社会保障を持続させる観点から、負担能力に応じてすべての世代で公平に皆が支えあう仕組みが必要であり、先日、全世代型社会保障法が可決・成立いたしました。そこでは、現役世代の負担上昇の抑制に向け、負担能力に応じた後期高齢者の保険料負担の見直し等が規定されております。本区といたしましても、社会保障の充実等のためにはまず、受益と負担のバランスを考慮し、全世代で、増加する医療費や介護費用等を支えていく仕組みの構築が、重要であると考えます。
 次に、後期高齢者医療保険料についてです。財政安定化基金を活用して、保険料負担の引下げを行うよう、東京都後期高齢者医療広域連合に申し入れるべきとのことですが、財政安定化基金の本来の用途は、医療費の予期せぬ高騰の際に備えることであり、基金の投入を行わずとも、適切な保険料改定ができる場合、本基金の活用を行う必要はないものと認識しております。
 次に、国民健康保険料についてです。
 国に公費投入を増額し、保険料を引き下げるよう求めるとともに、一般会計からの繰り入れを行い、保険料の引下げに力を尽くすべきとのことですが、本制度の構造的課題の解決については、既に特別区長会より国に要望しており、区から改めて要望する考えはありません。また、保険料の算定においては、これまでも本区を含む特別区全体で、法定外繰り入れを実施しており、例えば令和5年度の算定においては、約244億円もの多額の繰り入れを行うなど、保険料の抑制に力を尽くしているところです。
 次に、国に対し、均等割減額対象の拡大を求めるとともに、区独自にこどもの均等割負担を軽減することについてですが、これについても特別区長会において、子育て世帯への支援として、均等割の対象や割合の拡大など要望しているところです。なお、こどもの均等割等、制度上の課題については、国の責任で実施すべきものと認識しており、区独自にこどもの均等割負担を軽減する予定はありません。
 次に、医療保険証廃止問題についてです。国に対し、医療保険証の廃止の中止を求めるべきとのことですが、マイナンバーカードと保険証の一体化により、特定検診情報や処方薬の情報を医師等と共有でき、より適切な医療が期待できる等のメリットがあること、またマイナ保険証未取得者には、「資格確認書」が発行されるなど、代替策も検討されていることなどから、区としては、国へ中止するよう要望する考えはありません。
 次に、介護保険制度の改定についてです。現在、国の社会保障審議会において、次期介護保険事業計画の改定に向けた議論が行われているところであり、その中で、給付と負担のあり方が大きなテーマとなっております。本区としても、今後の介護保険制度を持続可能な制度にしていくためには避けては通れない課題であると認識しております。
 このため、お尋ねの次期介護保険事業計画改定の反対を国に求める考えはありませんが、全国市長会等を通じて、低所得者対策等、国の責任において講ずるよう引続き要望してまいります。
 次に、介護保険料についてです。本区の第八期介護保険料の基準額は、現在、23区中3番目に低廉な保険料となっており、また、介護給付費準備基金約40億円のうち20億円を取崩し、保険料の値上げを抑制するなど、負担の軽減に努めております。第九期の介護保険料の改定におきましても、これまでと同様、被保険者の保険料負担が過重なものとならないよう、基金の活用、あるいは更なる保険料の多段階化等、検討を進めてまいります。
 また、国費負担の引き上げにつきましても、特別区長会や全国市長会等を通じ、引き続き要望してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの増設についてですが、区有地の跡地利用については、将来の行政需要や地域の意向を踏まえた検討が必要と考えており、都有地については、引き続き、都と協議を行いながら用地確保に努めてまいります。
 また、整備計画の前倒しや更なる増設についてですが、今後も長期計画に基づき、着実に整備を進めていくとともに、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムのさらなる推進を図ってまいります。

 次に中小事業者支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、燃料代高騰分に対する補助拡充についてです。
 本区では、昨年度エネルギー価格の高騰の影響が顕著な事業者に対して、緊急的に補助金による支援を実施したところですが、燃料価格高騰等の影響を受ける、広範の業種を対象とした統一的な支援は、国等において実施されており、現時点では対象の拡大は考えておりません。
 次に、消費税のインボイス制度の中止と5%への減税を国に求めることについてです。まず、インボイス制度については、本年10月の制度開始に伴い、区内中小企業等の事業者には、経理処理の変更等の影響が生じるものと認識しておりますが、国では免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を、売上税額の2割とする経過措置を設けるなど、様々な負担軽減策を講じております。
本区といたしましては、引き続き、税務署等関係機関と連携し、制度の周知等に努めていくところであり、国に中止を求める考えはございません。
 また、消費税の5%への減税を国に求めることにつきましては、消費税は社会保障の安定財源であると認識しており、物価高騰などに対しては、様々な支援策により生活や事業を支えていることから、国に減税を求める考えはございません。
 次に、設備購入等に対する支援についてです。
 様々な業種・規模で構成される中小企業や個人事業主を対象とする補助事業は、対象の明確化と支出の適正化が重要であると認識しております。
 本区においては、商店街の活性化に資する目的として、肉・魚・野菜の商品を取り扱う、生鮮三品の店舗に限定し、設備購入等に対する補助を実施しております。
 業種の拡大については、今後の地域経済の動向を注視しつつ、必要な支援策を検討してまいります。
 次に、ホームページ作成支援についてです。
 本区の中小企業ホームページ作成費補助金は、区内中小企業等のPRや販路拡大のため、新規ホームページ開設時の費用の一部を補助しており、令和4年度は、社会経済活動の活発化等により、年度途中で予算上限に達したところです。
 本補助金の予算増額については、今後の需要を踏まえた検討が必要でありますが、改修を補助対象とする取り扱いについては、創業希望者の増加とともに、ホームページを新規開設する事業者も増加していることから、先ずは、新規開設者の需要に優先的に対応してまいります。
 次に、中小企業の人材確保支援についてのうち、求職申込企業増加への取り組みについてです。
 「こうとう若者・女性しごとセンター」の、求職申込企業数については、コロナ禍の影響もあり、減少傾向であるものの、令和4年度の就職決定数は、前年度よりも約百人増加し、五百七十人となりました。今後は、更なる就職決定数増加に向け、企業向けのセミナーや事業所への訪問等を通じた新規開拓等、求職申込企業数の拡大に取り組んでまいります。
 また、29歳以下となっているマッチング支援の対象年齢を拡大すべきとのことですが、「U29こうとうジョブマッチング」は、中小企業の人材確保支援と、就業経験の少ない若者の定着支援を目的としております。
 そのため、中小企業にとっては、課題である若い世代の人材確保が期待できる一方で、参加者は、社会人としての基礎知識を学ぶ研修と企業での就業実習を通じ、中小企業へのスムーズな定着が期待される等、双方に効果が得られるプログラムとなっています。
 本プログラムでは、年齢制限があるものの、しごとセンターでは、誰でも参加できる求職者向けセミナーの開催や、キャリアアドバイザーが求職者一人ひとりに担当する支援体制を整えております。
 区といたしましては、引き続きこれらの取り組みを推進するほか、ハローワーク等とも連携し、若い世代以外の支援に取り組んでまいります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です