カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , , パーマリンク

2019年第1回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  1. 来年度の予算編成について
  2. 子育て支援について
  3. 防災対策について
  4. 高齢者の生活支援について

 第1は、来年度の予算編成についてです。
 アベノミクスでもうかったのは一握りの富裕層と大企業だけ、国民には景気回復の実感はありません。勤労統計の偽装見直しにより、「賃金は上昇している」との政府の認識が虚構であったことが明らかになりました。
 2014年の消費税8%への増税後、平均実質賃金は年10万円以上落ち込み、家計消費は1世帯当たり25万円も減ったままです。雇用がふえたと言っても、そのほとんどは年金が少ない高齢者と勤労学生のアルバイトで、「所得環境が着実に改善」などとはほど遠い状況です。
 江東区においても、私たち共産党区議団が行ったアンケート調査では、回答をいただいた6割の方が「生活が苦しくなった」と答え、商店街でも老舗店舗が次々店を畳んでいます。
 区長はこれまで「景気は緩やかに回復」との政府見解をうのみにし、区民生活でも「着実に景気回復の影響は及んでいる」との見解を繰り返してきましたが、認識を改めるべきと考えます。まず、見解を伺います。
 次に、政府予算です。
 国民生活の困窮をよそに、自民・公明政権は10月の消費税増税にしがみつき、全世代型社会保障への転換だとして年金支給額の削減、後期高齢者医療保険料の引き上げ、要介護1・2の介護保険外しなど、高齢者福祉を軒並み切り崩し、生活保護の一層の切り下げ、幼児教育の無償化では給食費が外されるなど、全世代の暮らしを切り捨てようとしています。
 消費税の増税では、統計偽装による景気判断の根拠が崩れました。「デフレから脱却できていないのに、さらなる増税は日本経済を破壊する」、「今増税すれば、貧困と格差が拡大し、国の財政も悪化して社会保障の財源確保も不可能になる」など、多くの経済専門家が警鐘を鳴らしています。
 日本共産党は、財源確保策として、史上最高の利益を上げ、巨額の内部留保をため込んでいる大企業と、アベノミクスで莫大な資産が転がり込んだ富裕層に応分の負担を求め、アメリカの兵器を爆買いする大軍拡計画や大型開発を中止すれば、消費税を増税しなくても暮らしの財源を確保できると提案しています。
 区長は、区民生活を守る立場で、社会保障削減と消費税増税の中止を求めるべきです。伺います。
 次に、本区の予算案について伺います。
 来年度予算案では、我が党が求めてきた認可保育園の増設や学校体育館の空調設備設置、胃がん検診に胃カメラの導入、お部屋探しサポート事業の改善など、一定の前進がありますが、塩浜福祉園、保育園、学校職員の民間委託を進めて不安定雇用をふやし、オリンピックの機運醸成を言いながら、区民や障害者自身がスポーツに親しむ環境の整備はありません。
 防災対策でも、防災基金を20億円も積み立てる一方、せっかくつくるハザードマップはわずか5万部、全戸への配布も拒み、暮らしが大変になっている高齢者への経済的支援は皆無です。
 本区の昨年決算時の基金総額は1,231億円と過去最高です。最近4年間で344億円もふやし、本年度最終補正で新たに127億円もの積み増しは、異常な予算の残し方ではありませんか。区民の税金は区民の暮らしと営業を豊かにするために使うべきです。
 構成比0.9%と落ち込んでいる産業経済費は増額をし、商店街活性化、再生のためのコーディネーターの派遣、生鮮三品小売店支援事業の支援対象を全店舗に拡大、地域経済活性化協議会の部会設置と技術、営業、ITなどの専門アドバイザー配置など、本腰を入れた地域経済への支援を求めます。
 また、学校のトイレの洋式化は完了期限を決めて迅速化を図り、教育環境を守る学校施設整備費をふやすこと、高過ぎる国保料はこどもの均等割を無料とするなど、山積する区民要求に直ちに取り組むことを求めます。伺います。
 次に、民間委託についてです。
 区は、保護者の強い不安と反対の声を押し切って、塩浜福祉園の来年度からの民間委託を強行しました。保護者からは、職員体制や施設の問題など、多岐にわたる要望や提案が出されていましたが、これらにまともに応えることのない見切り発車で、保護者からは「私たちの声を聞いてくれない」と怒りの声が上がっています。
 また、新たに開始する図書館の委託では、文京区で7年間に219人の離職者を出すなど、劣悪な労働環境が問題となりました。地域の貴重な歴史的文書が廃棄されたところもあります。私たちが視察した福岡県小郡市では、「直営でこそ図書館の役割が果たせる」と、民間に委託した図書館を直営に戻しています。
 民間運営が主流となってきた保育園では、依然として深刻な保育士不足で、低賃金、過重労働のもと、定数偽装も起こり、こどもたちの安全も危うい事態です。
 結局のところ、民間委託は、住民福祉を犠牲にして、劣悪な労働条件で働く官製ワーキングプアを生み出すものではありませんか。民間委託の中止を求めます。伺います。
 次に、自治体の役割について伺います。
 政府は、昨年、自治体戦略2040構想を発表しました。「自治体の職員は今の半分でよい」として、住民との矛盾が激化している行革路線をさらに推し進め、水道事業など、もうけが見込める仕事は民間に、福祉事業などは住民のボランティア組織に委ね、自治体はその調整役とするなど、自治体の役割を変え、地域や築き上げられたコミュニティ活動を壊すとんでもない方向づけです。区として、この政府方針をどう受けとめていますか。
 区はこれまで、国の言いなりに行革を進め、景気判断や社会保障削減、憲法違反の安保法制まで「国や都の動向を見て」と追随してきましたが、国の言いなりでは、住民の暮らしと安全を守る自治体の役割は果たせません。国に対し、行革路線の押しつけをやめて、憲法25条に基づく社会保障への責任を果たすことを求めるべきです。伺います。

 次に、子育て支援について伺います。
 その第1は、児童虐待からこどもを守る対策の強化です。
 千葉県野田市で10歳の女の子が父親の虐待により命をなくしました。虐待がわかっていながらなぜ命を救うことができなかったのか。児童相談所の職員の不足や教育委員会、学校の対応など、関係者の検証が行われているところですが、虐待相談、受け付け件数ともに急増している本区においても、改めてその取り組みのいかん、体制のいかんが問われます。
 来年度、虐待対応の職員をふやすことは評価しますが、野田市の例からも、学校、保育園、家庭などを含め、こどもの生活全体を見守る支援体制の強化と専門性の向上が必要です。
 私たち会派としてこれまで、増加する虐待件数に見合った専門職員の増員とあわせて、豊洲子ども家庭支援センターなどに相談窓口を拡大すること、産後鬱、心のケアへの支援強化、スクールソーシャルワーカーの全校配置、児童相談所設置に向けた職員研修の推進なども求めてきました。こどもを見守る各部署の体制、ネットワークなど、区の支援策を見直しその拡充を求めます。伺います。
 次に、保育問題についてです。
 認可保育園の不足は依然として深刻です。今年度も3,603人の募集枠に対し、5,000人を超える申し込みがあり、1,500人程度の待機児が見込まれます。区の保育園整備目標は、隠れ待機児の入園も見込んで2,000人に引き上げることを求めます。
 北区では、緊急対策として区立園を4園開設したところ、保育士500人の応募があり、80人を採用して、区立園の設立は待機児解消の決定打となっています。本区でも、区立園の開設、民有地の買い上げも行って土地を確保し、本気で待機児をなくす取り組みとすることを求めます。伺います。
 保育の質の確保も問題です。
 保育に対する公的責任を後退させ、規制緩和で安上がり保育を進めてきたことにより、園庭のない私立保育園が半数を超えました。2階、3階建ての小規模園もふえ、保育環境の悪化は保育士の負担をふやし、重い責任と低賃金が保育士不足の要因となっています。諸外国に比べて著しく低い保育士の配置基準を引き上げるよう、国に求めること。当面、区の保育士配置の加算を公立園並みに引き上げ、株式会社の不当な利益に歯どめをかける保育人件費比率を補助金支給の要件とするなど、保育士配置と処遇改善の強化を求めます。伺います。
 次に、子育てにかかわる経済的支援についてです。
 「貧困と格差の拡大」政治のもとで、日本のこどもの貧困率は13.9%、約7人に1人が依然として貧困状態にあります。家庭環境のいかんにかかわらず、健康で健やかな成長を遂げるための支援は行政の責任です。
 就学援助では、入学準備費の支給額と支給時期が改善されましたが、義務教育の無償に照らしてさらなる拡充が必要です。
 世田谷区は来年度、就学援助の対象となる所得基準を、現行の1.24倍から1.4倍に引き上げ、給食費補助に限って申請率70%を目指すとのことです。本区も、現行の生活保護基準1.18倍を引き上げて支給対象を広げ、眼鏡、体育実技用品費など、支給対象項目の拡大を求めます。
 学校給食費は、全国82自治体で無償化を実施、424自治体が一部無償化か、または補助金の支給で保護者負担の軽減に踏み出しています。本区も無償化を進めるべきです。
 こどもの医療費助成では、本区は先駆的に中学校3年生までを対象として、子育て世帯に歓迎されてきました。さらに教育費負担の大きい18歳まで対象を広げ、病気やけがでもお金の心配なく医療を受けられる環境整備をすることを求めます。
 以上、経済的支援について見解を伺います。

 次に、防災対策について伺います。
 近年、全国各地で大きな地震や水害が次々と起こり、区民の不安が高まっています。区内のほとんどが軟弱地盤で、海水面より低い江東区において、行政の責任は重大です。
 まず、地震対策です。
 江東区は、阪神大震災で最初に命を失った方の9割近くが、建築物や家具の転倒による圧死であったとの教訓から、住宅の耐震化を進めてきましたが、計画開始から12年、耐震化を予定した2万1,000戸に対し、木造住宅33戸、マンション23件(1,610戸)と進んでいません。建物が無事であれば住民の命が助かり、避難所の負担も軽減し、減災の効果ははかり知れません。マンションでは、一昨年の補助金引き上げで改修に踏み切ったところもあり、補助金の増額は決定的です。面積や住宅戸数に応じて、1戸当たり150万円の木造住宅補助に見合った引き上げを求めます。
 また、木造住宅では構造上、耐震化が困難な住宅も多いとのことです。崩れない1部屋で命を守るための簡易耐震への補助制度の創設、高齢者、障害者を対象とした家具転倒防止器具設置の数の制限をなくすこと、火災発生を防ぐ感震ブレーカーの設置補助など、区民の命を守る取り組みを直ちに行うことを求めます。伺います。
 次に、水害対策です。
 昨年、江東5区が、荒川と江戸川の決壊を想定してつくった大規模水害ハザードマップは、区民にも大きな衝撃となり、いざというときどう行動するか、関心が高まっています。
 区が来年度つくる洪水・高潮ハザードマップは、住民が自分の居住する地域の危険度を知ることで適切な避難行動につながります。区民の手元に届け、町会・自治会などで説明会も行い、どこに逃げるか、災害弱者の支援はどうするかなど、その地域に合った避難の仕方を住民とともに考え、訓練ができるところまで支援すべきです。
 江東5区のうち、ハザードマップを全戸に配布しないのは江東区だけです。ハザードマップの全戸への配布とあわせて、各地域の海抜、浸水履歴など、危険度を知らせるための表示板を電柱や道路柱、公共施設など、目につくように表示し、住民と来訪者にもわかるようにすべきです。見解を伺います。
 ハード面の整備も重要です。
 東京都は、東日本大震災後、防潮堤、内部河川、水門・排水機場の耐震化を平成33年までに終了する計画を立てましたが、内部河川の護岸耐震化の進捗状況は、29年度着工を含め53%と聞いています。東京都に早期完了を求めること、また、耐震化率28%の区道橋の耐震化促進を求めます。伺います。

 次に、高齢者の生活支援について伺います。
 その第1は、高齢者の生活を支える経済的支援です。
 共産党区議団が昨年行った区民アンケートでは、「年金が減らされ、保険料の天引きでこれ以上切り詰められない」、「介護保険料が高過ぎる。使わなかったら返してほしい」など、医療、介護の負担の重さを訴える回答が一番多くありました。
 負担がふえている大もとは政府の悪政にありますが、江東区も、介護保険導入を機に、福祉手当の支給や障害者福祉手当の65歳以上新規受け付けをやめてしまいました。「現物給付をするから現金給付はしない」ということですが、介護保険の利用にはお金がかかり、利用しなくても保険料を払い、かえって生活は大変になっています。保険料の負担軽減と各手当支給の復活をすべきと考えますが、伺います。
 また、災害級の暑さが長く続いた昨年の夏、救急搬送された半数近くが高齢者。熱中症の4割は住宅内で発生し、その7割が高齢者とのことです。命にかかわる問題であり、クーラーのない高齢者世帯への設置補助を求めます。
 また、高齢者は節電、節約の意識が高く、クーラーがあっても使わないで熱中症になることも少なくないそうです。電気代補助制度をつくり、経済的支援でクーラー使用を呼びかけることも効果的と考えます。あわせて伺います。
 次に、住宅問題です。
 高齢であることを理由に賃貸住宅への入居を拒まれる。年金生活で収入が減り、住んでいた住宅に住み続けられない状況が深刻です。
 区が住宅探しを手伝うお部屋探しサポート事業で、来年度から大家さんの不安をなくすための死亡時補償などへの支援を行うことは前進ですが、対象が同事業の契約成立者だけでは全く不十分です。中野区のように、支援対象を賃貸住宅に居住する単身高齢者に広げ、不動産窓口での申し込みをできるようにするなど、手続や周知方法も工夫して利用しやすくすることを求めます。伺います。
 次に、家賃助成です。
 「少ない年金に対して家賃が高過ぎる」、転居したくても「払える家賃で入居できる部屋がない」と切実です。公営住宅の抽せん倍率は毎回数十倍で、何年申し込んでも入れないという声が渦巻いています。不足する公営住宅並みに所得に応じた家賃で入居できるように、家賃助成や公共住宅の借り上げをすべきです。見解を伺います。
 次に、自立しての生活ができなくなったときの住まいの支援です。
 特別養護老人ホームの待機者は1,300人、グループホームも不足し、入居費用の負担も大変です。施設の増設と支払い可能な負担で入居できるように、費用負担への支援を求め、見解を伺います。

 最後に、この場をおかりして一言申し上げます。
 私とそえや良夫議員は、今期をもって議会を引退することといたしました。今後は、一区民として、また共産党員として、よりよい社会の発展を目指して活動を続けてまいります。御指導いただきました同僚議員の皆様、区長を初め理事者の皆様に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です