日本共産党を代表し、大綱3点について質問します。
- 区民の暮らしと来年度予算編成について
- 障害者支援について
- 憲法と平和について
第1は、区民の暮らしと来年度予算編成についてです。
安倍政権は、国民多数の声に背を向け、暮らしと景気を壊す消費税増税や憲法違反の安保法制、医療・介護などの社会保障の削減、さらに原発再稼働や労働法制の改悪など、悪政を強行してきました。
こうしたもとで、多くの区民が「暮らしは苦しくなっている」、「景気回復の実感はない」と訴えています。
しかし、区長は「社会保障は充実している」、「景気は回復基調だ」、「区民生活が悪化しているとの認識はない」と言い切り、国の悪政に追随し、区民の暮らしの実態に向き合おうとしません。
地方自治体の最も重要な仕事は、住民福祉の向上です。区民福祉を向上させ暮らしを守るためには、区民の立場で国の悪政に物を言うべきではありませんか。まず、伺います。
政府の来年度予算の概算要求でも、軍事費が過去最高の5兆5,000億円を超える一方で、社会保障予算は、75歳以上の医療費窓口負担を2倍に、要介護1・2の生活支援は保険給付を外し、保育所、幼稚園などの給食費は無償化の対象外にするなど、全世代に痛みを押しつけるものです。
国に対し、軍事費の増大をやめ、区民の暮らしを脅かす社会保障の削減路線から充実へと転換を求めるべきです。伺います。
直近の世論調査では、国民の8割以上が「アベノミクスで景気回復の実感はない」と答えています。区民からは「年金も減らされ、これ以上どこを削ればいいのか」、「売り上げが減って商売が続けられない」など、悲痛な声が寄せられています。
安倍政権のもとで、日本経済の6割を占める家計消費は、2人以上世帯の実質消費支出で21万円減少するなど、景気が落ち込む悪循環に陥っています。
アベノミクスは円高や株高で企業や資産家のもうけをふやしましたが、そのほとんどが株主配当や大企業の内部留保となり、労働者の所得にも回っていません。
日本共産党は、暮らし第一で経済を立て直す改革を提案しています。その中心は、賃上げと労働時間の短縮、子育てと教育の重い負担の軽減、社会保障の削減をやめ充実への転換、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革です。大企業が利益を上げれば景気がよくなるという安倍政権の経済政策は、大もとから見直すことが必要ではありませんか。見解を伺います。
消費税増税について伺います。
安倍総理は、来年10月から消費税率を10%に引き上げると表明しました。4年半前に消費税を5%から8%に増税したことによって、家計消費がいまだに落ち込んだままです。増税を強行すれば消費が一層冷え込み、景気がますます悪くなることは明らかではありませんか。伺います。
区長は、消費税は社会保障のためと言います。しかし、消費税導入から30年間の消費税収は372兆円に上りますが、同じ時期、法人税収は291兆円も減っています。そのため、社会保障は改悪の一途です。消費税収は社会保障のためではなく、大企業の減税の穴埋めに回されたことは明らかです。これでは社会保障はよくならないと思いますが、伺います。
政府が言う軽減税率は、一部の食料品を8%に据え置くだけで、税負担が軽減されるわけではありません。また、ポイント還元は中小商店に多大な負担と混乱をもたらし、カードを持たない人には何の恩恵もありません。
今後導入が予定されているインボイス制度は、500万とも言われる免税事業者が取引から排除され、雇用契約がない請負労働者や建設職人などにも深刻な影響が生じるため、日本商工会議所や中小企業団体がこぞって反対しています。暮らしと経済に混乱と打撃をもたらす消費税10%増税中止を政府に求めるべきです。伺います。
本区の行財政改革と民間委託問題について伺います。
山崎区長は、この間、行財政改革と称して、敬老祝金の削減や高齢者の配食サービス補助金の削減、交通事故相談窓口の廃止、奨学資金や生活福祉資金など、生活困窮者への貸付金を裁判にまでかけて回収してきました。また、毎年の国保料値上げや、住民税や国保料の滞納者に対する強権的な差し押さえを行ってきました。
さらに、毎年人口が増加し、業務量増大にもかかわらず、区の職員を削減し、学校や保育園の給食調理や用務業務、保育園や福祉会館などの民間委託を行い、区みずからが不安定、低賃金の労働者を増大させてきました。
その一方で、この5年間だけでも基金を344億円も積み増しし、基金総額は過去最高の1,231億円に膨らんでいます。区民への負担増や施策の切り捨て、不安定雇用を拡大しながら莫大な基金をため込む行財政改革は見直すべきです。伺います。
財政効率優先の民間委託は、働く貧困層を区みずから増大させるもので、区民福祉の向上に逆行し、自治体の役割をも投げ捨てるものです。
保育現場では、低賃金と長時間過重労働のもとで保育士不足が深刻化し、保育の質の低下を招いています。待機児童の増加、保育園、保育士不足のさなかに、保育士の身分が保障され、ベテランの保育士と若い保育士がバランスよく配置され、園庭もあり、伸び伸びと活動できる公立保育園の民営化はやめるべきです。伺います。
重度障害者が通う塩浜福祉園の民間委託に対し、父母会のアンケートでは、民間委託に賛成した人は1人もいません。委託ありきの強引なやり方は、私たちのことは私たち抜きで決めないでという障害者権利条約にも反するものです。塩浜福祉園の民間委託はやめ、直営を堅持すべきです。伺います。
区は、江東・深川両図書館以外の8館の民間委託を進めています。図書館の民間企業への委託は利益最優先となり、図書館本来の目的と役割が果たせません。全館直営で行うべきです。伺います。
本区の来年度予算編成について伺います。
安倍政権のもとで格差が拡大し、生活保護世帯は7,800世帯、9,800人を超えています。国保料滞納世帯は2万3,000世帯、国保加入者の4割近くに上ります。就学援助を受けるこどもは、小学生で約2割、中学生では3割を超えます。住民税非課税者は、この6年間で2万3,000人増加し、12万人に達しています。
日本共産党江東区議団の区民アンケートでは、「暮らしが苦しくなった」と答えた人が6割を超えています。区民の暮らしの実態について、認識を伺います。
安倍政権による悪政が進められているときだからこそ、区政が区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすべきです。
日本共産党区議団は、この間、区民アンケートの実施、医療・介護、中小業者、障害者など、区内諸団体と懇談し、要望を伺ってきました。区長に14項目の重点要望や、438項目に上る予算要望書を提出していますが、来年度予算編成に当たり、次の施策を盛り込むことを求め、見解を伺います。
第1は、経済的支援の拡充です。
暮らしが厳しくなる中、介護保険料の引き下げ、高齢者入院見舞金や重度介護手当の創設を求めます。子育て世代には、保育料の引き下げ、就学援助拡充や給食費を初め学校教育にかかる費用負担の軽減、18歳までの医療費の無料化を求めます。高過ぎる国保料の引き下げは急務です。とりわけ保険料負担が非常に重い多子世帯の均等割を軽減すべきです。
第2は、福祉施設の整備促進です。
不足する公立保育所や特養ホームの増設、障害者多機能型入所施設は待ったなしです。民間任せでなく、区の責任で整備すべきです。
第3は、地域経済の主役である中小企業支援の拡充です。
産業実態調査の実施、店舗改修費助成の拡充や住宅リフォーム助成の創設など、ニーズに即した支援を拡充し、中小企業予算を抜本的に増額すべきです。
第4は、これ以上の民間委託を行わず、暮らしや福祉を支え、災害時でも重要な役割を果たす正規職員の増員を図るとともに、職員削減のための定員適正化計画の抜本的見直しを求めます。
これらの施策は、財政運営のかじを、基金ため込み型から区民の暮らし応援に切りかえ、1,200億円を超える基金の一部を活用すれば十分可能です。伺います。
第2は、障害者支援について伺います。
まず、障害者雇用の問題です。
障害者雇用促進法に基づく制度で、国の多くの中央省庁と地方自治体が、障害者法定雇用率を水増し偽装していたことがわかりました。これは、障害者雇用で率先垂範すべき国や地方自治体が、法律で義務づけられた雇用率をごまかして、憲法で保障された障害者の働く権利を侵害した重大問題です。区の認識を伺います。
本区においても、再調査の結果、障害者雇用数が22人不足し、達成されたとしていた法定雇用率は未達成となりました。区は、これまでずっと障害者雇用率を算定する際の障害者の確認を、本人の同意をとらずに、年末調整の障害者控除の申請の際の障害者手帳の写しで行っていました。これは、障害者雇用状況の報告のために用いるという利用目的を明示した上で、本人の同意を得なければならないとする国のガイドラインに反するものであり、勝手に流用することはプライバシーの侵害です。区の障害者雇用に対する意識の低さ、人権意識が欠如していたのではありませんか。伺います。
障害者雇用率をふやすだけでなく、障害のある人が生き生き働き続けられる職場をつくり、定着させていくことも重要です。障害者雇用促進法は、障害者差別の禁止と合理的配慮の提供を義務づけています。
兵庫県明石市では、障害者としての経験を生かして働いてもらおうと、障害のある専門官を採用し、障害者福祉計画やコミュニケーションのための条例立案にも当事者として意見を述べ、手腕を振るっています。
本区では、採用した障害者の方が短期間で退職したという話も聞いていますが、法の趣旨を踏まえ、一人一人の特性に応じた配置と配慮、働き続けられる環境づくりに向け、全庁を挙げて取り組んでいくべきです。伺います。
次に、障害者福祉サービス等の報酬改定について伺います。
就労継続支援B型事業所では、新たな報酬改定によって、工賃を稼げることが高い評価の対象となり、障害の重い人や安定して働くことが困難な人が、福祉的就労からも選別、排除されかねない事態となっています。現場から「工賃を稼ぐために、働ける人を受け入れ、働けない人を排除することになるのではないか」と危惧する声が上がっています。障害の重い方は「私がいるから報酬を下げているのでは」と肩身の狭さを感じています。
区は「めり張りをつけた報酬改定だ」と言いますが、障害者の実態と合わない基本報酬の設定は改めるよう、国に求めるとともに、区として実態を調査、把握して事業継続を支援すべきです。伺います。
放課後等デイサービス事業所では、報酬改定によって、障害が重い子が半数以上いるか、半数未満かで事業所の報酬に大きな差が生じ、区内の多くの事業所で大幅な減収となっています。
現場から「収入が下がるとスタッフが減って人手不足になる」、「支援を頑張って行っても、できる子がふえると軽くなったとみなされ収入が減る。質の高い支援と矛盾し、はしごを外された感じ」との声が上がっています。
障害のあるこどもたちの学童として重要な役割を担っている放課後等デイサービスが、安定的に事業継続ができるよう、報酬改定による影響を把握し、財政を含め支援すべきです。伺います。
次に、障害者スポーツの普及振興について伺います。
区は、オリンピック・パラリンピック基金を活用して、障害者スポーツ参加のきっかけづくりを支援するため、初級障がい者スポーツ指導員の養成事業を行っています。
前回の定例会で我が党の菅谷議員が、障がい者スポーツ指導員資格の取得について、一般公募区民にもスポーツ公社職員やスポーツ推進委員と同様の費用補助、中級指導員の養成支援、そして指導員の活躍の場を広げるなど、事業の拡充を求めたのに対し、区は「一般区民は個人的なスキルアップが目的」、「スポーツイベントへの派遣協力依頼がふえる」などと、心ない答弁があったことは非常に残念です。東京2020大会を契機に、多くの障害者にスポーツは楽しいと感じてもらうことが一番のレガシーではないでしょうか。そのきっかけづくりとして、公募区民を含め、指導員の養成と活動の場を広げること、区民ボランティアをふやし区民協働を広げる取り組みなど、障害者スポーツ事業のさらなる充実を図るべきと思いますが、伺います。
第3は、憲法と平和について伺います。
安倍首相は、今国会に自民党としての憲法9条改定案を提出すると表明しました。憲法改定の議論をめぐって、前区議会本会議で自民党議員から「共産党は、自衛隊は憲法違反であるが自衛隊の活動は認めるとの立場は、いいかげんな御都合主義」との発言がありましたが、とんでもありません。憲法9条に照らせば、自衛隊が憲法違反であることは明瞭です。
日本共産党は、世界やアジアの全ての国々と平和・友好関係を築き、日本を取り巻く平和的環境が成熟し、もう自衛隊がなくても安心だと圧倒的多数の国民の合意が成熟して初めて、憲法9条の完全実施に踏み出すことができると考えています。
その間に、急迫不正の主権侵害や大規模災害など、必要に迫られた場合には、自衛隊の活用も含め、あらゆる手段を使って国民の命を守るのは当然です。今問われているのは、今問われているのは、自衛隊や安保条約の是非ではありません。憲法9条を変えて、海外で戦争できる国にさせていいのかということです。区の認識を伺います。
安倍首相は、自衛隊を書き込むだけだと言いますが、一たび憲法に自衛隊を明記すれば、戦力保持を禁止した9条2項が空文化し、海外での武力行使が無制限となります。
戦後70年間、日本が平和であったのは、自衛隊や安保条約、ましてや自由民主党の政策の結果ではありません。憲法9条があったからこそ、海外派兵でも武力行使までは踏み込めず、戦後1人の外国人も殺さず、1人の戦死者も出さなかったのです。区長の憲法9条についての認識と、憲法9条に自衛隊を明記することについての見解を伺います。
自民党の改憲案を臨時国会に提出することに対し、どの世論調査でも例外なく反対が多数です。国民が望んでもいないのに改憲論議を政権、与党が強引に推し進めること自体が、立憲主義の否定であり、憲法の私物化です。区長は憲法を尊重、擁護する立場から、安倍政権による9条改憲に反対すべきです。伺います。
韓国の文在寅大統領は、朝鮮半島で絶対に二度と戦争を起こしてはならない、対話しか解決の道はないとの信念で、南北・米朝首脳会談を実現をし、画期的な外交イニシアチブを発揮しました。
今日本に求められているのは、大きく進んでいる平和の流れをさらに前進させるために、憲法9条を生かし、北東アジアに生きる国として、この地域に平和体制を構築するための外交的イニシアチブを発揮することではないでしょうか。
見解を求め、以上質問といたします。(拍手)
(再) 再質問をさせていただきます。
障害者福祉サービスの報酬改定によって、福祉的就労の現場から、また放課後等デイサービスの事業所から、この報酬改定による影響、負の影響が出ている状況にあり、私はその声を率直に区長に届けました。しかし、国の動向を注視をする、こういう答弁です。現場の声をなぜ聞かないのか。現場の声を聞き、実態を把握すべきではありませんか。伺います。