カテゴリー: 区議会定例会 タグ: , , , , , , パーマリンク

2017年第3回定例会―大つきかおり議員

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問を行います。

  • 豊洲市場問題について
  • 国民健康保険制度について
  • 介護保険制度について
  • 平和と憲法について

 初めに、豊洲市場問題について伺います。
 小池知事が、豊洲市場の無害化方針を投げ捨て、早期移転を進めるための補正予算を提案し、都議会で可決成立しました。豊洲新市場は、土壌も地下水も環境基準以下にした上で開場するという無害化の約束は、東京都が都民や市場関係者に繰り返し約束してきたことで、これを一方的にほごにするなど許されません。
 無害化方針の撤回について、築地の仲卸業者でつくる築地女将さん会は、約束の内容について変更の申し出はなく合意の手順も踏まれていないと、怒りの声を上げています。
 山崎区長も、そして江東区議会も、土壌も地下水も環境基準以下にするという、都の土壌汚染対策の確実な実施を移転の条件とし、区民にも約束をしてきました。東京都の約束違反は許されないと思いますが、区長の見解を伺います。
 小池知事は、約束が果たされていないことを認めつつ、現実的な対応だとして、補正予算で提案した追加対策は、多くの問題点が明らかになっています。
 追加対策工事では、盛り土がないかわりに、地下空間の床に厚さ15センチのコンクリートを打設するとしていますが、地下水に触れやすい地下空間のコンクリートは、使っているうちに劣化し、ひび割れ、そこから地下の汚染物質が上がってくる可能性や、直下型地震に対する強度などが不安視されています。
 また、地下水管理システムの揚水井戸を増設して機能強化するとしていますが、本格稼働から10カ月たっても地下水位は目標より1メートル以上も高く、地下水の揚水実績が日量60トン程度と、目標のたった1割程度しかない状態です。ふぐあいの原因も解明できていないのに揚水井戸を増設してもうまく機能しないと指摘されています。
 8月に行われた地下水調査では、ベンゼンが基準値の120倍と過去最大の汚染が検出されました。これまで860億円もかけて土壌汚染対策を行ってきたのに、なぜ汚染が検出されるのか、科学的な調査、検証は行われておらず、いくら追加対策工事を行っても実効性がないと、専門家からも厳しく批判されています。
 追加対策工事では、食の安全・安心は守れない、安全宣言など出せる状況ではないと思いますが、区長の見解を伺います。
 豊洲新市場への移転について、食の安全・安心は確保できるのかという都民の不安は解消されていません。
 豊洲東京ガス工場跡地である豊洲新市場の土壌からは、環境基準の4万3,000倍のベンゼンや860倍のシアンが検出されるなど、世界でも類を見ない深刻な汚染が明らかとなり、食の安全・安心を求める市場関係者、都民、消費者、専門家などから、生鮮食料品を扱う卸売市場としてふさわしくないとの反対の声が上がる中で、豊洲新市場への移転の前提として、東京都が無害化を約束し、都議会も附帯決議を行いました。
 無害化の約束を守れない追加対策を行っても、食の安全・安心を守れない豊洲東京ガス工場跡地への築地市場の移転を進めることは許されません。豊洲市場への移転は撤回を求めるべきです。見解を伺います。
 小池知事は、6月の基本方針発表時、「築地は守る」、「市場機能は確保する」と言いながら、臨時議会では、「民間主導で再開発」というだけで、築地の市場機能を守る具体策を示せませんでした。
 築地市場は80年以上の歴史を持つ世界にも誇るべき市場です。卸と仲卸との競りや相対の取引、いわゆる目ききの力によって全国のよいものが適正な価格で都民、消費者に提供されています。
 区長は、市場機能について、場所の問題ではないと述べていますが、目ききの力である多くの仲卸業者から、「豊洲市場に移転する体力はない」、「一旦豊洲市場に移転したら、築地に戻る前に廃業に追い込まれかねない」と、反対の声が出ています。移転によって市場機能を支える仲卸業者が激減してしまうのです。
 築地で営業しながらの再整備は可能との建築家の提案も次々と出ています。現在地再整備こそ築地の市場機能を守る最も現実的な道ではないでしょうか。築地の現在地再整備を求めるべきです。区長の見解を伺います。
 第2に、国民健康保険制度について伺います。
 今年度の国民健康保険料は、1人当たり平均7,252円もの大幅値上げが実施されました。年収400万円、夫婦とこども2人の子育て世帯では、2万6,000円も値上げされ、年間41万7,000円、年収の1割もの保険料負担となっています。
 6月に保険料決定の通知が区民に届いた直後からわずか1週間で、区役所には4,500件もの問い合わせや苦情が殺到したとのことです。毎年の保険料の値上げに、区民からは、「なぜこんなに負担がふえるのか」、「払い切れない」と悲鳴の声が上がっています。区民の国民健康保険料の負担は限界に来ていると思いますが、区の認識を伺います。
 来年4月から、国保制度が、これまでの区市町村ごとの財政運営から都道府県が主体となり、区市町村と共同運営する都道府県化が行われます。1961年の制度創設以来、かつてない大きな制度変更であるにもかかわらず、区民には十分な説明が行われていません。国保制度がどのように変わるのか、それによって来年度以降の保険料負担がどうなるのかなど、区民への説明会を開催すべきではないでしょうか。伺います。
 厚生労働省は、6月に納付金及び標準保険料率の算定方法についてのガイドラインの見直しを急遽実施しました。過去2回の試算の結果、多くの自治体で、現行保険料より大幅な負担増となったため、修正を余儀なくされたものですが、一方で、法定外一般会計繰り入れの計画的な削減、解消の促進という方針を変えていません。
 ことし23区の保険料が大幅値上げとなった原因の一つは、高額療養費の一般会計からの繰り入れを削減したことです。今後さらに一般会計からの繰り入れが削減されれば、保険料の大幅値上げとなってしまいます。保険料の大幅負担増となる一般会計からの繰入縮小は行うべきではありません。来年度以降の法定外負担についてどのような議論が行われているのか、あわせて見解を伺います。
 これまで23区では、統一保険料方式で保険料率を定め、各区の不足する財源については、財調制度で調整し、さらに都の独自補助で保険料の負担を抑えてきました。来年度以降も、23区として統一保険料方式を堅持するとともに、財政運営の責任主体としての東京都に対し、保険料負担を抑えるために補助を増額するよう求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
 国は、国保制度の安定運営を行うために都道府県化を行うとしていますが、その狙いは、納付金と標準保険料率をてこに、一般財源からの繰入解消、給付金の削減を行うことです。
 国保財政が今日のような深刻な状況となっている最大の原因は、非正規労働者や無職者、年金生活者が加入者の8割近くを占め、所得が低いのに保険料が高いという構造的な問題を持っているからです。
 国保制度の安定運営を行うためには、国庫負担の大幅引き上げを行い、高過ぎる保険料を引き下げることが必要です。政府に対し、国庫負担の大幅な引き上げを求めるべきだと思いますが、区の見解を伺います。
 第3に、介護保険制度について伺います。
 厚生労働省は、2018年度報酬改定に向けた議論を進めています。安倍政権のもと、高齢化に伴う自然増分さえも押さえ込む社会保障削減方針に沿って、今回の改定も報酬削減の方向で議論が進められていることは重大です。
 介護保険法が制定されてからことしで20年となりますが、見直しのたびに給付抑制と保険料の値上げが行われ、制度あって介護なしと言われる状況となっている中、高齢者も家族も介護従事者も、誰もが安心できる介護保険制度へと抜本的な改善が求められています。
 以下、幾つかの問題について伺います。
 最初に、介護従事者の処遇の改善についてです。
 低過ぎる賃金や長時間労働による介護現場の人手不足は深刻です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2016年の介護職員の平均賃金は22万8,300円で、前年より4,800円増額しましたが、全産業平均を10万円も下回る低い水準となっています。
 17年4月に介護職員の給与を月額1万円程度引き上げる処遇改善加算を新たに設け、臨時の報酬改定を行いましたが、生活援助などの報酬削減が行われたため、介護事業所の運営が圧迫され、職員の基本給引き上げにまで回らないのが実態です。
 江東区でも、塩浜に昨年11月に開設した区内15番目の特養ホームは、10カ月以上たった今も必要な職員が集まらず、98名の入所定員のうち58名しか受け入れができない状況です。深刻な介護職員の不足を打開するため、抜本的な職員の処遇改善と、事業所を支える介護報酬全体の引き上げが必要だと思いますが、区の見解を伺います。
 次に、生活援助について伺います。
 厚生労働省は、介護保険法の改定議論の中で、委員から厳しい意見が続出し、断念せざるを得なかった要介護1・2の保険外しを、今回の報酬改定の面から実施しようとしています。
 生活援助は、高齢者の生活全体を支援し、要介護者の状態を把握したサービスを提供することで、状態維持や改善につなげていく役割があり、切り捨ては許されません。報酬削減は事業者の運営にも深刻な影響、打撃を与えます。生活援助の報酬削減は行わないよう求めるべきです。伺います。
 昨年から実施している要支援1・2の高齢者を対象とした総合事業では、介護報酬が低く抑えられた基準緩和サービスの受け皿が不足しているため、区は、経過措置として、現行相当サービスを提供しています。区は来年度以降どう対応するのか、現行相当サービスを継続するとともに、政府に対し、要支援1・2の報酬の引き上げを求めるべきです。伺います。
 次に、介護施設の整備についてです。
 現在、江東区の特養ホームの待機者は1,200人を超えており、2年、3年待つのは当たり前という状況で、入所できずに亡くなる方も少なくありません。
 我が党の再三の要求で、区はようやく1カ所増設することを長期計画に盛り込みましたが、31年には、基本設計を行う計画にもかかわらず、いまだ具体的になっていません。
 豊洲四丁目や辰巳などの都営住宅の建てかえで生まれる都有地や、枝川一丁目の都有地などを活用し、特養ホームやグループホーム、軽費老人ホームなどの整備を行うよう求めます。見解を伺います。
 次に、第7期の保険料についてです。
 江東区の介護保険料の基準額は現在5,200円で、前回改定で負担の限界と言われた5,000円を超えています。年金は減らされるのに保険料の負担が高過ぎると、区民からは引き下げを求める声が寄せられています。
 33億円にも及ぶ介護基金の活用や一般会計からの財政投入を行い、保険料の値上げを行わないよう求めます。伺います。
 高齢者や家族の暮らしを支えるための必要なサービスの提供と、介護従事者の処遇の改善を行いつつ、保険料の負担を軽減するためには、国庫負担の抜本的な引き上げが必要です。政府に対し、国庫負担の増額を求めるべきです。伺います。
 最後に、平和と憲法について伺います。
 今月3日、北朝鮮が6回目の核実験を強行しました。北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射は、世界と地域の平和にとっての重大な脅威であり、国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する行為です。日本共産党は強い憤りを持ってこの暴挙に抗議するものです。
 今、最も懸念されることは、米朝両国の軍事衝突が引き起こされる現実の可能性が強まっていることです。万が一にも軍事衝突が起これば、その被害は日本にも及び、おびただしい犠牲をもたらすことになります。
 軍事衝突という事態を何としても回避するため、日本政府に対し、対話否定に固執する態度を改めて、米朝両国政府の直接対話を米国政府に強く働きかけるよう求めるべきではないですか。見解を伺います。
 安倍首相は、2020年までに憲法改正を行うと表明し、自民党は、11月下旬までに党の改憲案を国会に提示しようとしています。北東アジア地域の緊張が高まっているときに、憲法9条の改悪を行うべきではありません。憲法改悪を中止し、9条を生かした平和外交を行うことこそ求められているのではないでしょうか。区長の見解を伺います。
 ことし7月、人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約が、国連加盟国の3分の2、122カ国の賛成で採択されました。70年来の被爆者を先頭とする日本と世界の市民運動の画期的な成果です。
 日本政府は、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、交渉会議に参加せず、条約採択を受けて日本の国連大使が、「日本が署名することはない」と言ったことに、世界の失望と批判の声が上がりました。日本政府のこうした態度について、区長はどのような認識をお持ちですか、見解を伺います。
 条約は、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法に照らして、その違法性を明確に述べるとともに、核兵器の使用や開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵などを禁止するだけでなく、使用をちらつかせて脅す核抑止力も禁止しました。
 アメリカ、フランス、中国、ロシアなど、核保有大国とその同盟国はこの核抑止力論にしがみつき、北朝鮮の核開発も条約に反対する理由に挙げています。核兵器は人道に反する大量破壊兵器であり、決して使用してはならないものです。全ての国が核兵器を廃絶することこそ、最大の安全保障と言えます。
 北朝鮮が核開発を行っているときだからこそ、日本や核保有国が核兵器禁止条約に参加し、北朝鮮に核開発の放棄を迫ることが重要ではないでしょうか。政府に対し、速やかに核兵器禁止条約へ署名するよう求めるべきです。伺います。
 ことし8月、江東区も参加する平和首長会議の第9回総会が長崎市で開催され、2017年から2020年までの重点行動計画が策定されました。
 重点行動計画では、核兵器禁止条約の早期締結を、核保有国やその傘のもとにある国に対し求めるとともに、ヒバクシャ国際署名に取り組むことが掲げられています。
 23区では、世田谷区に続き江戸川区長も、ヒバクシャ国際署名に応じ、職員の中でも取り組みが行われているそうです。江東区でも、区長を先頭にヒバクシャ国際署名を推進するべきではないでしょうか。伺います。
 我が党区議団は、ことし7月、長崎市の平和施策を視察、調査しました。長崎市では、被爆体験の継承や他自治体の青少年との平和交流事業に力を入れており、青少年ピースフォーラムには、23区からも多くの自治体が平和使節団を派遣しています。
 平和首長会議でも、新たな取り組みとして、若い世代の平和教育の実施や核兵器の非人道性とリスクに関する啓発活動を掲げています。
 江東区でも、青少年の長崎、広島への派遣や、原爆パネル展など実施すべきではないでしょうか。
 最後に、核兵器禁止条約の採択という記念すべき年、平和首長会議に続き、長崎市長が呼びかける日本非核宣言自治体協議会への加盟を求め、質問を終わります。
 御静聴ありがとうございました。(拍手)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です