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2017年第3回定例会―そえや良夫議員

 日本共産党区議団を代表し、大綱3点について質問します。

  • 防災対策について
  • 子育て支援について
  • 図書館について

 第1は、防災対策についてです。
 我が党区議団は7月、観測史上初、繰り返しの大きな直下型地震に襲われた熊本市を視察しました。この視察は、本区防災計画を改めて見直す機会となりました。
 まず、住宅の耐震化についてです。
 区は、地域防災計画で住宅の耐震化率を平成32年までに95%にするとしていますが、旧耐震の木造戸建て住宅約7,700戸のうち、昨年までの改修実績は32戸にすぎません。法律に適合する接道がないため、補助対象にならないのが大きな要因の一つです。しかし、借地に多くの住宅が建てられた本区で、接道を補助要件にすれば耐震改修は進みません。建物倒壊から命を守るためには、補助要件の見直しが必要です。伺います。
 また、建物が大きく壊れても命だけは助かる場所を確保するための部分的な補強工事も助成対象とすべきです。あわせて伺います。
 旧耐震のマンションも耐震改修が済んだのは約1,300戸で、いまだ3万戸以上が経済的理由などで手つかずとなっています。本区は、マンションの耐震助成を1棟当たり2,000万円としていますが、これでは大きなマンションほど改修工事が進みません。助成基準を1戸当たり100万円に引き上げるべきです。伺います。
 老朽住宅の倒壊による火災の発生や延焼、細街路の閉塞を防ぐなどの目的で始まった除却助成は、開始1年後には対象が昭和46年以前のものに狭められ、除却件数が減少しました。災害の拡大を防ぐ効果が大きい除却助成の対象を、もとの昭和56年以前の建物に戻すべきです。伺います。
 次は、避難所の受け入れ態勢についてです。
 本区の避難所計画は、耐震基準をクリアした住宅の人は避難所に来ないという前提でつくられています。ところが、熊本市では、繰り返す大きな余震の恐怖から自宅が無事でも避難した人が多く、避難者は計画の2倍になったといいます。
 また、最新の研究で、従来安全とされていた免震装置を備えた超高層建物さえ一撃で壊すおそれのある長周期パルス地震動の発見や、近接する高層、超高層の建物同士がぶつかって壊れる危険も指摘されています。
 避難者数が計画を上回り、車中泊などによる関連死の増加を防ぐためにも、避難者数の想定を見直すべきです。伺います。
 高齢者や障害者などを受け入れる福祉避難所は、二次避難所との位置づけで、指定避難所に来た人の中から要配慮者を移動させる計画です。しかも、二次避難所として指定されている施設は、区が運営を委託している特養ホームなどの高齢者施設や東砂福祉園などの障害者施設など21カ所ですが、施設ごとの受け入れ可能数は示されず、食料の備蓄もありません。また、区からの具体的な指示もないといいます。速やかに各施設と協議し、受け入れ態勢や施設ごとの受け入れ可能人数を明確にすべきです。伺います。
 次に、発災時を見越した職員確保についてです。
 熊本市では職員も被災し、その参集率は3割から5割、民間の支援は協力協定があっても公務員の半分程度で、発災後1週間は職員が不眠不休で頑張っても、住民の要望に応え切れなかったといいます。
 区は定数適正化を掲げ、技能労務職は退職不補充としてきました。その結果、道路保全係は3つの班体制で区内全域の道路保全作業を行っていますが、1班は人も車も丸ごと委託、残る2班は移動用の車も運転手も委託です。発災時の区民の安全が危ぶまれる事態となっています。
 技能職の退職不補充はやめ、一般職も現業職も、少なくても職員組合が求める138人の職員増員を行い、平素の住民サービスを図りながら発災時の対応力を強化すべきです。伺います。
 第2は、子育て支援についてです。
 まず、保育待機児対策についてです。
 区は、保育待機児解消に向け、全庁一丸で頑張るとしていますが、長期計画に掲げる定員増は毎年約1,000人です。平成28年度は計画どおり1,053人の定員増が図られましたが、認可保育園に入れなかった児童数は1,729人で過去最高です。区は、来年度も1,000人の定員増を達成するために努力しているとのことですが、入園希望者がふえ続け、待機児童もふえ続けているもとで、この計画では待機児解消は図れません。
 区が新たな用地確保策として、我が党が繰り返し求めてきた都有地活用など、都の支援策も利用した土地確保に踏み出したことは前進ですが、待機児解消には定員増計画を抜本的に見直し、本腰を入れた取り組みが必要です。
 豊島区では、当初計画を倍増する定員拡大で保育待機児をゼロにしました。本区も、整備目標を少なくても2倍に引き上げるべきです。伺います。
 次に、保育士の確保についてです。
 株式会社の参入が保育士の賃金水準を引き下げ、保育士の確保と定着を困難にしています。東京都が行った調査では、株式会社の人件費比率は、社会福祉法人と比べ3割も下回り、勤続年数別の平均賃金も、全ての段階で社会福祉法人より低く、勤続年数が長くなるほどその差は大きくなっています。株式会社には経験年数が賃金に反映される様子が見られません。賃金水準を引き上げ、保育士の確保と定着を図るために、株式会社であっても人件費比率の最低基準を定めるなどの規制が必要です。国に求めるべきです。伺います。
 私立園では、保育士不足が保育の継続を困難にする事態が相次いでいます。一方で、身分と労働条件が安定した公立園には、保育士募集に7倍もの申し込みがあります。保育園の増設を計画的に進め、待機児を解消する決め手は区立認可園の増設です。民間頼みは改めるべきです。伺います。
 次に、子ども家庭支援センターについてです。
 子ども家庭支援センターは、1人で子育てをしている母親の相談相手から虐待対応まで幅広く対応し、頼りにされています。しかし、人口が急増している亀戸や有明・東雲地域にはありません。この地域に、速やかに子ども家庭支援センターを開設すべきです。
 リフレッシュひととき保育は好評で、予約はいつもいっぱいです。受け入れ枠をふやすべきです。伺います。
 次に、こどもの貧困対策についてです。
 厚労省が6月末公表したこどもの貧困率は13.9%、7人に1人と依然深刻です。発達・成長段階にあるこども時代の貧困は、健康や学力など、こどもに必要な条件が経済的困窮によって奪われるなど影響が大きく、こども本人だけでなく社会全体にとっても損失をもたらします。
 我が党は、貧困対策を進めるために速やかな実態調査を求めてきましたが、東京都は、昨年12月策定した新たな支援計画の中に、こどもの貧困の実態把握や支援ニーズ等の調査など、貧困対策の推進に取り組む区市町村に支援をすると盛り込みました。こどもの貧困は、十分な食事や医療が受けられない、林間学校に行かないなど、さまざまな形であらわれます。効果的な支援を進めるためにも、速やかな実態調査を行うべきです。伺います。
 次に、就学援助の改善についてです。
 我が党が条例提案を含め、繰り返し求めてきた入学準備金の前倒し支給が、中学入学予定者を対象に、来年3月実施に移されることは、一歩前進です。小学校についても、前倒し支給するための準備が各自治体で進められています。本区でも速やかに実施すべきです。
 また、文科省は、支給額についても実際の必要額との乖離が大きいことから、小中学校とも2倍に引き上げました。要保護基準に準じて引き上げるべきです。あわせて伺います。
 第3は、図書館についてです。
 区は平成31年度から、区立図書館11館のうち、江東・深川両図書館を除く9つの地域館を指定管理にしようとしています。しかし、図書館あり方検討のまとめでは、指定管理にした場合、各地域館同士のサービス内容に格差が生じる、区職員がいない地域館での選書方法の中立性に不安、地域ニーズ集約に課題など、問題点を指摘しています。
 また、指定管理によって、司書資格など、専門性あるスタッフが確保できても従来からのサービス継承ができるのか、管理運営を全て民間任せにした地域館に区の施策が徹底できるのかなど、さまざまな問題があると認めています。
 さらに、指定管理では、区職員が図書館からいなくなり、区が持っている図書館のノウハウが失われることも懸念しています。
 視察した小郡公立図書館は、一度は指定管理にされながら直営に戻されました。指定管理では経済効率が優先されるため、公立図書館が本来持つべき教育の視点が欠落するほか、図書館としての迅速な意思決定ができないなどの問題があったと言います。それが直営に戻ったことで、教育の視点を持った行政機関として、他の課と対等の立場で図書館が進める施策について協議できるようになり、他の課と連携なしにはできないさまざまな取り組みも、スムーズにできるようになったと言います。
 公立図書館は社会教育の場であり、民主主義を支え育む役割を担っている行政サービス機関です。こどもたちには読書を通じて学ぶ喜びを伝え、成人には、生涯通じて学ぶ機会を保証し、地元が抱える課題を解決する拠点でもあります。全ての区立図書館が行政サービス機関としての権限を持ち、お互いが対等の立場で協議し、本来の役割を果たすためにも指定管理はやめるべきです。伺います。
 次に、図書館の窓口業務委託についてです。
 区は、平成14年以降、定員適正化の名のもとに、職員数を131名から57名に減らし、窓口業務の民間委託を拡大してきました。その評価について、図書館のあり方検討のまとめでは、窓口業務を民間委託したことで職員が内部業務に従事することになり、利用者や地域ニーズを踏まえた図書館サービスの立案や提供、情報発信が不足している、地域との積極的な連携が不十分になっているなど公立図書館が果たすべき力が低下していることを認めています。
 窓口業務は、利用者ニーズをつかみ、資料収集や蔵書を決める上で欠かせない業務であり、司書資格を持つ職員による経験の蓄積が重要です。窓口業務の民間委託はやめ、直営に戻すべきです。伺います。
 次に、学校図書館についてです。
 平成26年6月、学校図書館法が改正され、学校図書館の運営の改善・向上を図り、児童・生徒及び教員による学校図書館の利活用の一層の促進に資するため、学校司書を置くよう努めるものとされました。
 これを受けて川崎市は、平成27年からモデル実施、横浜市では、同年10月から全市立学校の半数、250校で全開校日配置を行いました。その効果について、川崎市教育委員会は、9割近くの担任がこどもの読書状況に変化があらわれたことを認め、学校司書のさまざまな工夫で本に興味を持ち、さまざまなジャンルの本を読むようになった。学校司書が常時図書館にいることで、こどもたちが安心して図書館に行くようになった。さらに、8割の担任が司書による授業支援があったと、評価しています。
 横浜市でも、教材のテーマに関連した本の紹介や、授業で使う教材集めの手助け、児童の調べもののアドバイスなどで授業が豊かになったと評価しています。
 現行、週2日となっている本区の学校司書の配置を週5日配置にするよう求め、質問を終わります。(拍手)

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