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2016年第3回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  1. 築地市場の豊洲への移転問題について
  2. 子育て支援について
  3. 教育問題について

 まず、築地市場の豊洲への移転問題について伺います。
 土壌汚染対策で「あるはずの盛り土がなく空洞だった」、「主要建物の地下には大量の水がたまり、ヒ素や六価クロム、シアン化合物まで検出されている」、「いつ、誰が工法の変更を決めたのかわからない」等々、連日報道される大変な事態であり、東京都が主張してきた「土壌汚染対策をしたから安全」という大前提が根底から崩れています。
 現地を視察した専門家会議の座長は、「地下のたまり水は地下水」との見解を示しており、再汚染の危険性が危惧されていた地下水の管理もできていないことが明らかになりました。こうした事実を隠したまま市場移転を行おうとした東京都のやり方は、都民を幾重にも欺くもので、到底許せるものではありません。区は今回の事態をどう受けとめていますか、まず伺います。
 東京都において全面的な調査と点検を行うことが求められるのは当然ですが、受け入れを了承し、東京都と一体で事業を進めてきた区の責任も問われます。
 豊洲市場予定地は「市場には向かない」と、持ち主の東京ガス株式会社が売却を拒むほど汚染されていることが明らかであったのに、石原元都知事が、それまでの築地再整備をほごにして強引に移転を決めました。
 東京ガス株式会社の土壌汚染対策工事後も、ベンゼンが環境基準の4万3,000倍、猛毒のシアン化合物は860倍、そのほかにもヒ素や鉛など極めて高濃度の汚染があることは明らかで、我が党として「食を扱うにふさわしくない危険な土地」、「区として受け入れをやめ、東京都に中止を求めるべき」と、繰り返し区に対応を求めましたが、区は「人体に影響を及ぼすほど危険な土地とは認識していない」、「東京都と連携して進めていく」と、推進の立場をとりました。
 専門家会議の提言による盛り土を柱とした東京都の対策についても、必要な調査が300カ所以上で行われていない、不透水層以下の地下水の影響が考慮されていないなど、対策としては全く不十分であり、東京都にただすべきだと求めても、「専門家会議の提言に基づいて行われており安全」だと東京都の説明をうのみにし、対策の検証を怠ってきたではありませんか。東京都に事実の徹底解明を求めるとともに、虚偽の説明を続けて信頼を裏切ってきたことに抗議すべきです。
 同時に、区として、工事内容の詳細を把握できる立場にありながら、なぜ把握ができなかったのか。食の安全という命にかかわる問題について、にぎわい施設の誘致や地下鉄8号線の延伸を条件づけることで、土壌汚染に向き合う姿勢が後回しになっていなかったかなどを検証し、責任を明らかにすべきと思いますが、見解を伺います。
 豊洲市場では、土壌汚染のほかにも交通アクセスの不安や、売り場棟が分割・重層化されていることによる物流の阻害、床の耐荷重の不足、狭過ぎてマグロ包丁が使えない、床に海水を流せないなどの構造上の問題、設計図面と構造計算書が異なり耐震性に疑義があるなど、多くの明らかにすべき問題点、課題が指摘されています。また、建設費用も異常に高騰しており、談合の疑惑も出されています。
 移転ありきではなく、改めて関係者の声に耳を傾け、移転中止も含めて計画を抜本的に見直すことを東京都に求めるべきです。見解を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 第1は、保育待機児童問題への対応です。
 入園申し込み時期を控え、働くことができるかどうかという、父母の皆さんの思いは切実です。江東区が目指してきた1,000人の定員増を来年度は達成する見通しとのことですが、マンション建設の勢いは衰えることなく、また、認可保育所の入園待機児童数が1,000人を超えている状況からも、思い切った手だてが必要です。
 土地の確保では、国、東京都ともに公有地の活用について積極的に応じるとしています。前回区議会定例会で我が党議員が提案をした東陽一丁目の都有地の活用については、「都市公園の網がかかり制約がある」とのことですが、3階までは建設できます。強く利用を求めるべきではありませんか。
 また、世田谷区では、保育課に不動産の専門家を任用して、民間の土地所有者にも働きかけ、賃貸料を補助するなどの対策を行い、30園以上の開設を見込んでいるということです。民間任せにせず、行政として保育所用地確保のための対策を強化すべきです、伺います。
 保育士確保のための対策も必要です。新聞報道では、保育士確保のために必要な事業者の負担は大変なもので、1人当たり10万円の支度金の支給や60万円の派遣紹介料を支払っているということがあり、結局、その後の人件費や保育料にしわ寄せがいくことになります。政府も給与の底上げを図るとしていますが、他の産業に比べ10万円も低い現状の改善にはほど遠いものです。政府に対し、抜本的な保育予算の増額を求めるとともに、現在行っている保育士等キャリアアップ補助金、家賃助成について、対象の拡大と補助額の引き上げを求めます。また、公表されている財務諸表に基づいて人件費比率を調査し、問題があるときは改善を図るべきです。あわせて見解を伺います。
 保育の質の確保も問われています。乳児の死亡事故が増加している要因として、規制緩和による配置される保育士の不足、定員増での詰め込み保育が指摘されています。国や東京都が待機児童解消のためと、さらなる規制緩和を進めようとしていることは許されません。父母が安心して預けられ、こどもたちの安全と成長が保障される保育所が必要です。国と東京都に対し、規制緩和ではなく、むしろ保育士の配置基準を引き上げて、こどもの安全を守り、保育士の負担を軽くするよう求め、また、区としても、園庭がないなどの保育環境を把握し、公園や学校などの公共施設を利用できる支援体制をとるべきと考えますが、伺います。
 次に、児童虐待への対応について伺います。
 聞くにたえないひどい虐待により、こどもが命を落とす痛ましい事件が相次いでいます。昨年度、虐待による死亡事例は全国で50件を超え、実に、週に1人は命を失っています。本区においても、相談・通報件数は5年前の2倍以上にふえ、直ちに手を差し伸べるために区の支援強化が求められています。
 まず、相談と個別ケースへの対応です。
 虐待が疑われる家庭への対応はその状況によって異なり、拒否されることを覚悟の上での訪問活動や、関係部署との連絡においても児童相談所、保護課、保健所、保育所、学校など、ケースにより多様です。また、虐待に至る前の予防活動も重要で、子育てを支援する地域力の育成や、地域で取り組まれている学習支援、子育てサークルなども、ネットワークに組み込めれば大きな力を発揮すると考えます。そのための虐待対応のためのケースワーカーの増員、不足している亀戸・有明地域への子ども家庭支援センターの設置、虐待対応の体制を持った子ども家庭支援センターをふやすなど検討すべきです、伺います。
 次に、児童相談所の設置についてです。
 法改正で、特別区に児童相談所を置くことができるようになり、23区でも準備が進んでいると聞いています。児童虐待発生時の迅速、的確な対応に効果的な策として挙げられてのことであり、一刻も早く設置すべきです。広域的な対応が必要な一時保護所や児童養護施設などのあり方、児童福祉司や弁護士など専門職の配置、実践的なノウハウの取得、財政問題など、課題はたくさんありますが、23区が協調して東京都との役割分担を話し合いで詰め、設置準備を進めるべきと思いますが、伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 第1は、(仮称)第二有明小・中学校についてです。
 現在建築中の(仮称)第二有明小・中学校を、施設一体型の小中一貫教育を行う学校にするという方針が示されました。小学校と中学校という区切りをなくし、9年間を通じた教育課程を編成するということです。
 区の素案では、(仮称)第二有明小・中学校を先行実施校とし、その成果を見て全区展開に向けた検討を行うとしています。しかし、この提案はいかにも唐突で、これまで築き上げられてきた学校教育の到達を継承し発展させるものとは、とても考えられません。
 導入の必要性について、「有明小・中学校の連携教育の成果を確実なものとする」、「中学校進学時の不登校がない」などが挙げられていますが、有明小・中学校には開設からわずか5年間の経験しかなく、しかも、有明小学校から有明中学校に進学する生徒の割合は50%台ととても低く、成果があったと検証できるものではありません。
 法改正をめぐる国会の議論では、小学校高学年で培われるリーダーシップや自主性の育成が損なわれる、新たな教育課程の編成や全校での行事実施、学校全体の状況把握などで、ただでさえ多忙な教員の負担がふえることなどが問題点として議論され、その解決策も示されていません。
 既に実施している品川区でも、こうした問題はいまだに課題とされ、さらに施設分離型では、出張授業や合同会議の負担、指導の連続性が失われるなどの調査結果が出ています。
 これら一貫教育において問題とされている事項について、区教育委員会としてどのように検討されたのでしょうか。こどもたちの成長にかかわる問題であり、課題解決の見通しもないまま導入すべきではないと考えます。見解を伺います。
 さらに、(仮称)第二有明小・中学校は、英語教育の強化、区独自の講師派遣、学校ICTの推進などを特色とし、建設費も他校の2倍以上をつぎ込む特別な学校として予定されています。公立の義務教育を行う学校で、予算投入も学習内容も特別な学校をつくることは、行政の公平性の観点から問題であり、教育に差別を持ち込むものではありませんか、見直しを求めます。見解を伺います。
 特色ある学校づくりは、これまでも既存各校で学校選択制とあわせて進められてきました。しかし、義務教育は、こどもたちが自立するための基礎的な学力、市民道徳、体力を身につけることが目的であり、どの学校においても、全てのこどもたち一人一人の成長を促す教育活動を基本に据えるべきです。学校選択のための特色づくりを押しつけるべきではありません。
 また、学校選択制では、依然として風評による小規模校の出現や、一方で大規模校の抽せんによる問題などが起こり、地域との関係も壊されています。学校間で競争させ選択させる制度は、中止を検討すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、少人数学級編制についてです。
 学級の人数を少なくすることで、一人一人に目が届き、いじめ、不登校をなくすことができ、学力の向上を図る上で効果があると検証され、推進されてきました。現在、35人以下学級は、小学校1・2年生、中学校1年生に限られているため、今年度、江東区の小学校7校、中学校6校では、学年が上がる時点で学級数が減り、クラスの人数がふえてしまいました。全学年での実施を求める声に対し、安倍首相も「鋭意進めていく」と発言したものの、そのための法改正も予算措置も行われていません。政府に対し、全学年での少人数学級の実施を直ちに行うよう強く求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、義務教育における保護者負担の軽減について伺います。
 就学援助の制度改善について、これまでも求めてきました。中学校入学時の費用が平均10万円を超えるのに対し、2万7,000円弱という入学準備費の支給額では、余りにも保護者負担が大きいため、引き上げるべきです。
 また、支給時期について、文部科学省からは、必要な時期に支給できるように配慮を求める通達が出ており、小学校6年生の3月に支給する自治体がふえています。区としても、中学校については直ちに改善できるのではありませんか。また、修学旅行費も事前に支給できるように改善すべきです、伺います。
 学校給食費の負担について、学校給食法では保護者が負担するものと区分していますが、公的補助を否定するものではなく、全額無料にする自治体もふえています。米や牛乳など品目を決めて現物支給する方法もあり、負担軽減を検討すべきです、伺います。
 学校で使用する教材費は、授業や学習課程の中で必要となっているものであり、公費負担を基本にすべきです。個人負担をふやさないように教員に協力を求めるとともに、公費購入ができるよう、教材に使える学校配分予算をふやすべきです。
 見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   (山崎孝明区長登壇)

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