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2016年第3回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱4点について質問します。

  1. 憲法と平和の問題について
  2. 介護保険について
  3. 障害者支援について
  4. 環境とまちづくりについて

 大綱の第1は、憲法と平和の問題についてです。
 安倍政権は、憲法違反の安全保障法制、戦争法に基づき、南スーダンへPKO派遣している自衛隊に、駆けつけ警護などの新たな任務を付与し、武器使用を拡大しようとしています。これは、憲法が禁止している武力行使となり、「殺し殺される」最初のケースになりかねません。
 11月から南スーダンへPKO派遣される青森県の自衛隊員の家族は、「息子が心配だ。入隊したのは戦争に行くためじゃない」など、悲痛な声を寄せています。国民を守るという志を持って入隊し、災害救助に取り組んでいる自衛隊員を、海外の戦場に送り込んでいいのでしょうか。伺います。
 南スーダンでは、ことし7月に自衛隊が駐留する首都ジュバにおいて、政府軍と反政府軍の戦闘が激化し、多数の死傷者が出るなどしています。自衛隊派遣の前提となる停戦合意など、PKO参加5原則が崩壊しています。政府に対して、安全保障法制、戦争法の発動をやめ、自衛隊を南スーダンから撤退させるとともに、憲法第9条に基づいた非軍事の人道支援、民生支援を抜本的に強化する方向に転換することを強く求めるべきです。伺います。
 安倍政権は、参議院議員選挙期間中は改憲について口を閉ざし、選挙が終わったら改憲にまっしぐらに進んでいます。だまし討ちは断じて許しません。安倍首相は「自由民主党案をベースにして」と明言していますが、自由民主党改正草案は、現行憲法の恒久平和主義、国民主権主義、基本的人権の尊重を根底から覆し、立憲主義を破壊するものです。
 中でも、憲法第9条第2項を削除して国防軍の創設を明記し、海外での武力行使を無条件、無制限に可能にするものとなっています。区長は憲法改正について、「何を守り、何を変えていくのか日本が今後どうあるべきか議論していくことが重要」、「自由民主党の憲法改正草案は一つのたたき台」との考えを示しています。区長自身、憲法第9条についてどのように考えているのか、変えてはならない条項だと思いますが、伺います。
 憲法第9条は、当時の幣原首相がマッカーサーに提案したことを裏づける新たな書簡が発見されるなど、憲法の制定過程においても、占領軍からの押しつけではなく、日本側の提案をGHQが受けたものであることが明確となっています。区長の認識を伺います。
 また、70年も憲法を変えなかったのは異常との議論もあります。しかし、変える必要がないほど立派な憲法だったという証明ではないでしょうか。現行憲法は、第9条という恒久平和主義の条項を持ち、30条にわたる豊かな人権規定が盛り込まれているなど、世界で最も先駆的な内容となっています。区長の認識を伺います。
 そして、我が党は、綱領で明記しているように、現行憲法の前文を含む全条項を守り、特に平和的民主的諸条項の完全実施を目指すものです。
 去る9月9日、北朝鮮は5回目となる核実験を強行しました。世界の平和と安定にとって重大な脅威であり、我が党はこの無法な暴挙を厳しく糾弾するものです。しかし、軍事対軍事ではなく、国際社会が一致結束して、政治的、外交的努力を抜本的に強めることが重要です。より根本的に重要なことは、国際社会が本気になって、核兵器のない世界への具体的な行動に取り組むことです。
 この秋の国連総会では、核兵器禁止条約の交渉開始についての議論が始まります。日本は唯一の被爆国でありながら、核兵器による抑止力に依存し、核保有国とともに核兵器禁止条約の交渉開始に背を向けています。政府に対し、核兵器禁止条約締結に向け、被爆国にふさわしい役割を果たすよう求めるべきです。伺います。
 本区は、戦争も核兵器もない平和な世界を目指す平和首長会議の加盟都市です。江東区は非核平和都市宣言を行い、核兵器禁止条約の速やかな交渉開始など、核兵器廃絶を世界に発信すべきです。伺います。
 大綱の第2は、介護保険についてです。
 社会保障をめぐって、75歳以上の医療費の窓口負担を2割へ引き上げ、国民健康保険の広域化による保険料の値上げ、入院患者の追い出し促進など、医療、介護、生活保護などにおける大改悪案が国の審議会で出され、来年の通常国会に法案、予算案を提出する動きがあります。とりわけ介護分野については深刻です。
 区内の介護現場では、要支援者がこれまで受けていたデイサービスが受けられない事態が起こっています。それは区の総合事業における事業費単価が低いため、介護事業所が要支援者の利用を断らざるを得ないためです。新たな介護難民をつくってはなりません。総合事業における区の事業費単価を引き上げるべきです。伺います。
 このような中、厚生労働省は、要支援に続き要介護1・2も介護保険給付から外し、総合事業へ移行させようとしています。
 江東区で、要支援1・2の方と要介護1・2の方を合わせると、要介護認定者の実に64%に上ります。高い保険料を徴収しながら64%の人から介護保険給付を取り上げてもいいのでしょうか、区の見解を伺います。
 介護保険の大改悪に対し、ヘルパー、ケアマネジャーの全国組織や福祉用具業界がこぞって反対を表明しています。国の審議会でも、軽度者の切り捨ては重症化を招くなど、日本医師会や介護事業者団体、自治体関係者などから厳しい批判の声が相次いでいます。
 福祉用具貸与の継続を求める意見書は、本区議会を初め、全国の地方議会に広がっています。区は国の検討状況を注視している場合ではありません。国に対し、要介護1・2の介護保険外しなど、介護保険のさらなる改悪を行わないよう、強く求めるべきです。伺います。
 昨年8月から一定所得以上の方の2割負担だけでなく、特別養護老人ホーム等の入所者の食費、居住費の補助対象者を減らしたため、「月5万円もはね上がった、生活が成り立たない」など、家族の悲鳴が上がっています。そのさなかに、ことし8月から非課税年金の障害年金や遺族年金の受給者へも、食費、居住費の軽減補助を減らし負担を増大させるのは、余りにも冷酷です。江東区では約700人が影響を受け、特別養護老人ホーム利用者は月1万9,800円、介護老人保健施設では3万2,400円もの負担増となっています。長年入所を待ち続け、せっかく入れた特別養護老人ホームを、その費用が重荷となって退所するようなことがあってはなりません。支援の方向も含め、負担増の実態について調査すべきです。
 また、食費、居住費の負担増を中止し、もとに戻すよう国に求めるべきです。あわせて伺います。
 一方で、特別養護老人ホームの入所申込者は1,500人を超え、施設整備は待ったなしです。ところが、来年度以降の整備計画は1つもありません。特別養護老人ホームの整備は江東区の重点プロジェクトです。長期計画と年次計画に新たな整備目標を盛り込むべきです。伺います。
 土地がないわけではありません。豊洲四丁目団地や辰巳団地の建てかえで創出される都有地の活用や、旧昭和大学附属豊洲病院跡地など、本気で用地確保に当たるべきです。伺います。
 また、民有地の活用には、固定資産税への支援など検討すべきと思いますが、あわせて伺います。
 そして、介護人材不足は深刻です。介護職員への家賃補助制度や介護報酬とは別枠の賃金引き上げなど、処遇改善策を国に求めるとともに、かつて区独自に実施した介護職員への家賃助成を復活させ、さらに拡充すべきと思いますが、伺います。
 大綱の第3は、障害者支援についてです。
 7月26日に発生した神奈川県相模原市の障害者施設における殺傷事件で亡くなられた方々の御冥福と負傷された方々の早期の御回復をお祈り申し上げます。
 多くの命を奪った戦後最悪の殺人事件そのものの残忍性に加え、大きな衝撃を与えているのは、容疑者の元職員が事件前から、「障害者なんていなくなればいい」という趣旨の言動を重ねていたことです。障害者の命、尊厳、存在を否定する考えを絶対に許すことはできません。区の認識を伺います。
 この事件をきっかけに、多くの障害者とその家族、福祉関係者が心を痛め、不安と危惧を募らせています。つまり、障害者を初め、社会的弱者などに対する偏見、差別、排除の風潮が強まる傾向の中で起きたのではないかということです。区として、「全ての人の命と人権は平等で大切にされなければならない」ことを表明し、発信すべきです。伺います。
 塩浜福祉園の指定管理者制度の導入を含めた施設のあり方が検討されています。区は、「直営であれ指定管理者制度であれ、どのような運営形態がいいのか、利用者との信頼関係を基本に利用者の視点に立って検討する」と表明しました。しかし、その一方で、来年度には指定管理者を選定し、翌年から指定管理者による運営を開始する計画です。どのような運営形態がいいのか検討すると言いながら、初めから出口を決めている、まさに指定管理者制度ありきであり、利用者との信頼関係を損なうやり方です。この年次計画は撤回すべきです。利用者家族の合意なしに強引に進めるべきではありません。あわせて伺います。
 指定管理者制度は、これまで区が行財政改革として経費削減のために導入してきた制度であり、低賃金や過密労働など、労働条件を低下させてきました。塩浜福祉園のように、サービスの担い手の質が特に重視され、安定的、継続的な運営が必要な重症心身障害者の施設については、指定管理者制度を導入すべきでありません。直営を堅持し、施設利用者の重症化などに対応する専門職の配置や、緊急一時保護など、必要な機能を持たせていく方向で検討すべきです。伺います。
 発達のおくれや障害のある児童に対する放課後や長期休業中の居場所づくりが、保護者や関係者の切実な願いとなっています。しかし、医療的ケアが必要な児童を含め、重症心身障害児の放課後等デイサービスを行う事業所が区内全域で不足し、特に南部地域での早期整備が待たれています。
 NPOや社会福祉法人が放課後等デイサービスの事業所を開設するに当たっては、既設事業所に行っている家賃補助を新規開設した事業所にも拡充するなど、区が支援すべきです。伺います。
 駅ホームでの視覚障害者の転落事故は、国土交通省の調べによると、2009年の38件から2014年には80件と倍増しています。
 社会福祉法人日本盲人会連合が実施したアンケートでは、約4割の視覚障害者が駅ホームから転落した経験があり、約6割が転落しそうになったと回答しています。視覚障害者にとって駅ホームは欄干のない橋と言われるほど危険な場所です。しかし、ホームドアや可動式ホーム柵の設置は、地下鉄駅で約58%、JRと私鉄は約20%であり、都内各駅での設置率は32%にとどまっています。区は、国や都、鉄道事業者に対し、区内各駅のホームドアや可動式ホーム柵の設置促進、駅員の適切な配置を優先的に行うよう求めるべきです。伺います。
 また、都営地下鉄新宿線東大島駅では、ホームの点字ブロックの一部が柱で塞がれています。都に改善を求めるべきです。
 さらに、東京メトロ東西線南砂町駅東口を利用する視覚障害者から、区立公園内通路の点字ブロック増設の要望が寄せられています。増設を求めます。あわせて伺います。
 大綱の第4は、環境とまちづくりについてです。
 羽田空港発着の国際便増発による騒音や事故の危険性の影響は甚大です。本区の上空を低空から上昇していく新ルート案について、関係自治体が了承との新聞報道がありますが、区は了承したのですか。了承していないのであれば、新聞報道の誤りをきちんと正すべきです。伺います。
 新飛行ルートは、本区の上空で高度900メートルから1,200メートルを二、三分に1機、1日187機が飛行する計画です。騒音による健康被害やこどもの学習の障害、落下物の危険など、住民の不安が広がっています。これまで騒音被害や安全に配慮して、「離着陸時にはできるだけ海上を飛行する」、「高度1,800メートル以下では陸上を経路としない」との原則が確立されてきました。今回の羽田空港の機能強化策は、長年の原則を一方的に覆すもので認めるわけにはいきません。
 区議会には、新ルート案に反対し、住宅が密集する都心を避け、現在の海上ルートでの飛行を求める陳情が提出されています。区長は特別区長会でどのような発言をされたのか、住民の理解が得られたと考えているのか、あわせて伺います。
 国の住民への説明は不十分です。環境に配慮した方策を含め、丁寧に説明すべきです。これまで再三にわたり、責任者が応答する教室型説明会を求めてきました。しかし、いまだに開催されないのは極めて不誠実です。江戸川区で開催できて、なぜ江東区で開催できないのか、区の姿勢も問われています。国に対し、教室型説明会を早急に開催するよう強く求めるべきです。伺います。
 区はこれまで、騒音、大気汚染、落下物対策などについて、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会を通じ、国に申し入れていくとしてきました。しかし、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会は設置以来2年間、一度も開催されていません。住民の意見、要望をどこでどのように反映させてきたのですか。住民合意のない計画の撤回を求めるべきです。あわせて伺います。
 地上50階、高さ185メートルの超高層ビルが建設される西大島駅前の再開発事業計画について、「これほど高い建物が本当に必要なのか」など、周辺住民から疑問の声が寄せられています。都有地が敷地の3分の1を占め、総事業費400億円のうち100億円の税金投入が見込まれています。城東保健相談所、保育所、防災倉庫などの公共公益施設は、ビル床面積全体の3%しかありません。誰のための再開発事業かが問われています。計画を変更し、建物の高さを下げ、公共公益施設の必要性を見きわめ、総事業費を圧縮すべきです。また、高齢者住宅や特別養護老人ホームなど、地域のまちづくりに貢献する公共性の高い事業とすべきです。あわせて伺います。
 亀戸六丁目のサンストリート亀戸跡地には、60階建てファミリーマンション2棟、2,000戸が計画されています。計画どおりに進むと、800人を超える児童の出現が予測され、隣接する小学校では受け入れが困難となります。最近では、児童増加による校舎の増設が、亀戸地域と南部地域を中心に小学校7校で行われます。
 昨年開校したばかりの豊洲西小学校も、隣接地の1,200戸のマンション建設に伴う児童急増で増設が必要となっています。今後の区内のマンション新築による児童の増加予測を含め、学校など公共施設への受け入れについて、区の認識を伺います。
 高層マンション建設に伴う人口の激増により、バランスのよい市街地形成が阻害されています。特に小学校、保育所など、公共施設の不足は深刻です。本区では以前、受け入れ困難地区の指定、マンション建設計画の延期、または中止を求める一方で、公共施設整備協力金を復活させ、小学校や保育所など、公共施設を整備してきました。現在の40%を超える児童出現率を抑制し、秩序あるまちづくりを行う必要があります。
 以前実施していたマンション建設計画の調整に関する条例の内容を今日的に検証し、公共施設への受け入れ等に合わせた建設計画になるよう調整するための条例制定を検討すべきです。
 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
   (山崎孝明区長登壇)
◇  ◇  ◇
 再質問いたします。
 答弁が明確ではない幾つかの点について伺います。
 憲法第9条についてです。区長自身、憲法第9条については、変えてはならない条項だと思うが、どのように考えているのかという質問をしました。明確な答弁をお願いします。
 また、羽田空港発国際便の増発問題で、江東区は新ルート案に了承したのかどうか、新聞報道がどうであれ、江東区は了承したのかどうか、明確な答弁をお願いします。
 そして、国による丁寧な説明会が実施されたと考えているのか、その点についても明確な答弁をお願いします。
   (井出今朝信総務部長登壇)

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