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2015年第4回定例会―きくち幸江議員

 日本共産党江東区議団を代表して質問します。

  1. 平成28年度予算編成について
  2. 保育問題について
  3. 「子どもの貧困」問題への取り組みについて
  4. 大島三丁目1番地地区市街地再開発について

 質問の第1は、平成28年度予算編成についてです。
 まず、区民生活にかかわる経済政策について伺います。
 アベノミクスの失敗がいよいよ明らかになってきています。大企業は過去最高の利益を上げ、内部留保も過去最高の342兆円にも膨れ上がりましたが、その一方、国内総生産は2期連続マイナス、賃上げは物価上昇に追いつかず消費も冷え込んだまま、国民に景気回復の実感はありません。
 区長はこれまで、区内経済の状況について、「持ち直しの傾向が見られる」、「1人当たりの区税収入は上がっている」と、政府の経済政策を擁護する答弁を繰り返していますが、区民税では、所得700万円以上の課税額が大きくなっている一方、200万円未満の所得層もふえており、格差の広がりは本区でも明らかです。商店街からはやっていけないと悲鳴が上がり、生活保護世帯の増加、深刻なこどもの貧困など、暮らしの基盤が壊されています。
 大企業をもうけさせれば、いずれは家計に回るという経済論の破綻、アベノミクスの失敗を認め、庶民の暮らしを直接支え、個人消費をふやす経済政策への転換を求めるべきです。見解を伺います。
 次に、社会保障予算の削減についてです。
 政府の来年度予算では、社会保障費のさらなる削減が計画されています。今でも低い年金をさらに引き下げ、支給開始年齢は先延ばし、入院する方や軽度者への医療給付の縮小、後期高齢者の窓口負担の引き上げ、介護保険給付の見直しと利用者負担の引き上げなど、44項目を掲げ、来年度から3年間で集中的な取り組みを行うということです。
 区民からは、「保険料が高過ぎて払えない」、「年金では暮らしていけない」と、切実な声が上がっている中、これ以上の社会保障予算が削減されると暮らしが破壊されます。区長としてきっぱり中止を求めるべきです。見解を伺います。
 次に、消費税の増税についてです。
 「据え置きを軽減と言う消費税」、これは東京新聞に掲載された川柳です。10%への増税などとんでもないというのが多くの国民の実感ではないでしょうか。
 昨年の8%への増税以降、消費は低迷が続き、価格に転嫁できない中小企業の滞納も多く、さらなる増税にはとても耐えられません。商店街でも、「10%になったら店を閉める」と言う人もおり、もはや諦めムードもあります。
 国民には、社会保障のためと説明しながら、社会保障予算は切り詰め、低所得者に重い負担となる消費税を増税するなど、本末転倒です。庶民いじめの消費税増税はやめ、大企業のための法人税引き下げや軍事費、ODA予算の増額などは、国民本位に見直し、消費税に頼らない税政策への転換を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、本区の予算編成についてです。
 国の政治が区民生活を追い詰めているとき、格差の広がりを是正し、区民生活を守る防波堤としての自治体の役割が求められます。その第1の柱として、区民生活への経済的支援の拡充を求めます。
 我が党として、これまで国民健康保険料、介護保険料の引き下げと負担軽減、高齢者入院見舞金制度、重度介護手当の創設などを求めてきました。また、子育て世代には、保育料の引き下げ、就学援助拡充や学校教育にかかる費用負担の軽減などの実施を求めます。見解を伺います。
 第2には、地域を支え、区民生活の土台ともなる地域中小企業の活性化支援の強化です。
 商店街の店舗改修費用の補助は、生鮮三品を扱う商店に限らず対象を広げること、また、融資制度の利子補助の拡充、住宅リフォーム助成の実施など、事業者を励ます実態に即した支援の拡充をすべきであり、そのための中小企業予算の増額を求めます。伺います。
 第3には、行革の名による民間委託をやめ、区として必要な仕事には正規職員を採用することを求めます。
 マンションのくい打ち工事のデータ偽装問題では、それまで地方自治体の建築主事が行っていた建築確認検査を、民間でもできるようにした規制緩和が背景にあると指摘されています。また、保育や介護の現場では、安上がりにするため民間依存を強めてきたことで人材が不足し、施設の閉鎖や虐待などにもつながっています。また、区の保育所や学校の給食調理業務などの民間委託により、非正規雇用がふえ、格差の拡大に区みずから加担しています。
 民間委託の推進はやめ、区の仕事は正規職員を採用して進めるべきです。職員労働組合からは、福祉事務所関連、介護保険、障害者福祉など、合わせて173名もの増員要求が出されています。職員採用を求め、見解を伺います。
 第4として、基金の活用についてです。
 昨年度決算も黒字で、基金もふえ、過去最高の942億円となり、この10年間で2倍にも膨れ上がりました。区は、「ため込みではない」、「目的がある」、「いざというときのため」と説明していますが、暮らしの格差が広がり、暮らしていけないと悲鳴が上がっているとき、基金をふやし続ける区政運営は間違っていると思います。使い道の決まっていない財政調整基金だけでも297億円、思い切って活用し、区民生活支援に充てることを求めます。見解を伺います。
 次に、保育問題について伺います。
 11月、亀戸の認証保育所が休園となりました。昨年末、経営者が交代し、突然の保育料値上げや保育運営の変更、給与支払いの先送りなど、もうけ本位の乱暴な運営により、保育士が全員退職、かわりの職員も定着せず、9月末には突然保護者に対し休園の通告をするという、信じがたい事態です。保育士が次々かわり、園児が1人、2人と転園していく混乱と不安の半年余り、こどもたちへのマイナスの影響ははかり知れません。
 この問題について、この間の区の答弁は、「指導・監督権限は都にある」、「連携を図って指導してきた」というものですが、江東区の保育所が安心してこどもを預けられるところなのかが問われています。保育に責任を持つ区として、事態の検証と対策を区民に示すべきです。見解を伺います。
 次に、保育士の処遇改善についてです。
 規制緩和による保育基準の引き下げと企業参入が、保育士の労働条件を急速に悪化させています。保育時間は延長されているのに常勤の有資格保育士の割合は少なく、定員超過の受け入れによる過密保育や園庭のない施設での外遊びも、保育士の負担をふやしています。施設の清掃や布団のカバーかけ、汚れ物の洗濯まで保育士の仕事となっている施設もあるということです。
 その一方、保育士の平均給与は、一般職に比べて3割も低く、流産、早産の割合は3人に1人、休みもとれない職場環境では、子育てとの両立はできません。安上がりの保育を進めてきた政治の責任は重大です。
 区として、保育所の離職率に加え、超過勤務や産前産後休業、育児休業を含めた休暇の取得状況などの実態を把握すること、働き続けられる労働環境に改善するために、保育士の配置基準や給与水準の引き上げなど、制度の拡充を国と都に求めるとともに、区としても独自の支援を行うべきです。伺います。
 次に、株式会社立の保育所についてです。
 我が党として、利潤追求を目的とする株式会社の保育への参入は、人件費、教材費など、運営費が利益に回されるおそれがあり、認めるべきではないと主張してきました。
 都の調査で、社会福祉法人立の運営費に対する人件費の比率は70%から80%台ですが、ある自治体の株式会社立では50%を切るところもあるということです。
 区内保育所の保育士からは、「誕生会などの行事費がない」、「おもちゃや絵本を買ってもらえず自分で持ち込んでいる」など、運営費を絞っている報告もありました。
 本区が来年度委託を予定している株式会社日本保育サービスの平成24年度の利益率は10%、一般には5%がようやくとされている中で、どこで経費を節減し、もうけを生み出しているのか、検証することを求めます。
 来年度予定している民間委託は中止し、待機児童対策は公設公営を基本に据えること、現在ある株式会社立の保育所については、経費全体に対する人件費、教材費の比率の基準を定めることを求めます。伺います。
 次に、保育の質についてです。
 保育のかなめとなる保育士が、忙し過ぎてこどもに目を向けられない上に、保育内容そのものが株式会社の参入によって変えられてきたことにも、警鐘が鳴らされています。保護者受けのよい英語や体操、算数までも組み込んだカリキュラム保育が持ち込まれ、自由な遊びの中でこそ育つ人間関係を身につける乳幼児期の大事な成長過程が奪われているということです。
 民間に影響を受けて、公立園にも特色ある保育が持ち込まれようとしていますが、保育に携わってきた専門家の共通の意見は、何より遊びに集中することが就学前には必要であり、これは国の保育所保育指針にも明確に打ち出されています。
 保育の原点に立ち返り、こども一人一人の成長を促す保育について、保育士、運営者を含めた研究、研修を行うこと、保護者とともにこどもの成長を喜べる関係をつくるために、保護者会、父母の会の実施を区が主導して進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、保育料についてです。
 来年4月から、子ども・子育て支援新制度に基づく保育料への軽減措置をやめ、条例どおりの保育料徴収とする方向性が示されました。世帯によっては大幅な値上げとなり、とりわけ年少扶養控除廃止に伴う再算定の廃止は、多子世帯に大きな影響を与えることとなります。区が行う第2子減免の拡充は評価しますが、そもそもの保育料が高過ぎます。軽減措置の継続と保育料を引き下げる条例改定を求めます。見解を伺います。
 次に、「子どもの貧困」問題への取り組みについてです。
 子育て中のお母さんがこどもと無理心中を図る痛ましい事件が続いています。今月、3歳のお子さんを抱えて海に入った22歳のお母さんは、「生活が苦しく一緒に死のうと思った」ということです。私が相談を受けた2人の小学生を育てるお母さんは、DVによる離婚で精神的にもまいってしまい仕事を中断、国民健康保険料や税金の支払い、住まいの心配、仕事探しなど、子育てを含めいろいろな問題の解決の道が見出せずに、行き詰まっての相談でした。
 貧困家庭では、教育が十分に受けられず貧困の連鎖があること、食事や風呂、洗濯などの身の回りの世話、医療なども行き届かず健康と安全が脅かされていること、住居・周辺環境が劣悪で、希望を持つことができず自己肯定感が低いなど、痛ましいほどの状況に置かれているこどもが、この10年ぐらいで急速にふえているという、社会の状況が問題です。区として、直ちに支援の手を差し伸べなければならない課題です。見解を伺います。
 平成21年に実態調査を行った荒川区では、「実態を具体的につかむことによって、個々のケースにより原因や与える影響はさまざまであり、必要とされる支援が変わることがわかった」として、総合的な政策提言を行い、庁内はもとより、地域も含めた全区的な取り組みを行っています。
 今年度調査を始めた足立区の区長は、「実態をあぶり出すことで、どこで貧困の連鎖を食い止められるかを見つけたい」と語り、5カ年の81事業、418億円の計画を発表しました。これまでの事業も含まれていますが、貧困対策として総合的な取り組みに位置づけ、スタートしたことに大いに意義があります。区はこの問題に対し、「国や都の計画が先」、「区も子育て支援をいろいろやっている」との考えですが、さまざまな要因が重なって複合的に問題があらわれているのがこどもの貧困の特徴です。個々の状況を明らかにし、総合的に支援する、この立場で担当部署を明確にし、実態調査と総合的な支援計画の策定を求めます。見解を伺います。
 次に、区の子育て支援策の拡充についてです。
 区として現在行っている事業を、実態に即して直ちに充実を図ることはすぐにでもできます。就学援助の対象となる基準が、23区平均以下という低いレベルを引き上げること、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援の拡充、制服代、給食費、修学旅行費など、義務教育にかかわる保護者負担を軽減し、どの子も経済的な不安がなく、楽しく学校に通えるようにすること、保育所の増設と保育料引き下げ、医療費の無料化を高校生まで広げることなどをこれまで提案してきました。制度の拡充、実施を求めます。伺います。
 次に、「貧困」をなくす区の役割について伺います。
 この間の区の答弁でも、貧困問題には広く経済政策や雇用問題を初め、さまざまな要因があることを認めています。非正規雇用の拡大、社会保障の後退、保育や教育などの費用負担増などにより、子育て世帯の貧困が広がりました。こどもの貧困が社会問題となっている最中も、年少扶養控除の廃止や消費税増税、労働者派遣法改悪による派遣労働の恒常化も進められています。これでは貧困はふえるばかりです。子育て世帯の貧困につながる経済政策や制度改悪には、区としてきっぱりと反対の意見表明を行うべきです。見解を伺います。
 次に、大島三丁目1番地地区市街地再開発について伺います。
 大島三丁目、西大島駅北東側の一角で市街地再開発事業が進められ、近隣住民への説明会が行われました。ここでの意見がどう計画に反映されるのか、準備組合の対応と行政の役割が問われています。
 住民からは、建物の高さについて、「なぜ50階なのか」、「威圧感がある」、「地盤も弱い」、「危険地域と言いながらこんな高いものを建ててよいのか」などの意見が出されました。
 計画地は木造住宅密集地域に囲まれ、長年5階が限度と言われていた地域です。突然、50階という、城東地域全体を見回してもない圧倒的な高さがなぜ必要なのか、今後のまちづくりに大きな影響を与えることは間違いありません。
 この意見に対し準備組合では、「容積率を消化したい」と答えています。しかし、市街地再開発事業は、乱開発にならないように一定のまちづくりの考え方を持って制限を加えることにより、公共の福祉に寄与することを目的としており、事業に対して国と区からの補助金支出や税制面での優遇措置もあります。利益を生み出すことを目的とする民間の開発事業とは目的が異なり、地権者37人と10法人のその後の生活・営業補償と、住民合意ができるよう一定の公共性が確保できれば、容積率をいっぱいに使う必要はないのではありませんか。高さについて、都市計画法でもわざわざ「健全な」と制限をつけています。近隣住民の声に背を向けて50階の高さにすべきではないと考えますが、区の見解を伺います。
 次に、計画事業への区の参加についてです。
 当該区画9,600平方メートルのうち、都税事務所がある3,000平方メートルは都有地で、城東保健相談所部分は区の所有ということです。説明会では、計画事業に関連して、地下鉄の混雑度や歩道の問題、学校の受け入れ態勢、近隣の住宅密集地域への波及など、さまざまな意見が出されました。
 また、説明会を受けて、高くするなら都営住宅や特別養護老人ホームを入れられるのではないかなど、多様な意見が出ています。住民要望を受けとめて公共用地を有効に生かし、事業が目的に沿って公共福祉に寄与するためにも、地権者として主体的立場で準備組合に参加すべきです。伺います。
 市街地再開発事業は、誰のために何のために行う開発であるのかが問われます。地権者の方は、「今よりよくなることを考えて参加した。今より悪くなることはあってはならない」と説明会で発言しました。しかし、他地域での開発を見ると、借地権者やマンション居住の零細地権者が住み続けられなくなったり、計画をめぐる紛争で、それまでのコミュニティが壊れる例が少なくありません。近隣の居住者からも、「こんな建物が建ったら住んではいられない」という声が寄せられました。結局、ディベロッパーの利益だけが残り、町が壊されることにならないように、説明と話し合いを積み重ね、住民が合意できる内容で事業が進められるように、区の役割を求め、見解を伺って質問を終わります。
(再) 大綱4の市街地再開発事業についてですが、御答弁でも健全な高さというのがあるとお答えになりましたけれども、私は、健全な高さということであれば、容積率をいっぱいに使う必要性はないのではないかと思います。公共の福祉という目的に沿って言えば、容積率いっぱいに使う必要はないのではないかとお聞きしたのですが、その点についてお答えがありませんでしたので、再度伺います。

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