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2015年第4回定例会―正保みきお議員

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。

  1. 介護保険について
  2. 医療保険について
  3. 障害者支援について

 大綱の第1は、介護保険についてです。
 ことし4月の国による介護報酬の大幅引き下げで、経営が成り立たずに閉鎖、休止に追い込まれる事業所が急増しています。区内で在宅介護を支える小規模デイサービス事業所では、要支援の人の単価が2割以上も引き下げられ、赤字がふえるので利用を断らざるを得ないなど、事業者にも利用者にも深刻な事態となっています。担い手の介護職員の処遇悪化を招き、人手不足にも拍車をかけています。区はこのような事態をどう受けとめているのか、伺います。
 このような中、区は来年度からの新しい総合事業の基準、単価を示しました。これは引き下げられた国の報酬単価をさらに大幅に引き下げるもので、説明会に参加した事業者は、「単価の低さに驚いた。都内で一番低いのではないか」、「何とかやりくりしているが、新しい総合事業開始後は赤字の見通しだ」、「潰れろと言われているようだ」と話しています。一層経営困難に追い込み、介護労働者の賃金の低下、人手不足に拍車をかける報酬単価の大幅削減はやめるべきです、伺います。
 それだけではありません。新しい訪問型サービスは、訪問介護の従事者の初任者研修をわずか14時間に切り、縮めるものです。現場からは、「介護の専門性に逆行する」、「利用者の生活を細やかに観察し、変化を把握して、ケアマネジャーにつなげることや、認知症などの早期発見、対応が不可能になる」など、不安の声が出ています。研修時間を短縮せず、充実にこそ支援すべきです、伺います。
 さらに、新しい訪問型サービスから初回加算を取り上げるのは問題です。これはサービス提供を始めるに当たって、責任者がヘルパーに同行して利用者と直接面談し、サービス内容を決める重要な業務です。これまでどおり初回加算をつけるべきです、伺います。
 区は、介護予防のための基本チェックリストの郵送を廃止する方向です。現在、65歳以上の約8万5,000人に郵送し、半数以上から返送されています。その中の約1万2,000人が二次予防事業の対象者と判定されていますが、区は、「そのうち1,000人しか予防事業を利用しない」、「費用対効果が悪い」、そのことを廃止の理由としています。しかし、高齢者が自身の生活機能の状態を自分で確認し気づくのが、介護予防への第一歩ではないのでしょうか。基本チェックリストは、介護予防の重要なツールです。郵送を廃止せず、介護予防の充実につなげるべきです、伺います。
 現在、13カ所ある在宅介護支援センターを、地域包括ケアシステムの中核的な役割を担う地域包括支援センターへ転換することは必要です。しかし、「余りにも事業所の意向だけを聞いていたら進まない」、「本年度中に事業所から返事がない場合は、新しい事業者にかえる」という区の強行姿勢は余りにも乱暴です。どの事業所も、転換に必須の社会福祉士、保健師、看護師の3職種がそろわなくて困っているのです。事業所任せにせず、専門3職種の人材確保のために区として人件費を補助するなど、積極的な支援をすべきではありませんか、伺います。
 次に、要介護認定者の障害者控除についてです。
 要介護認定を受けている人の区民税等の障害者控除は、障害者手帳がなくても区の認定で受けられます。しかし、知らない人が多く、申請し認定を受けている人は対象者の1割台にとどまっています。税額控除を受けることで、介護保険料や施設入所費用などの負担軽減にもつながります。全ての方に申請書を送り、ケアマネジャーへの情報提供や、出張所でも手続ができるようにし、周知徹底を図るべきです、伺います。
 大綱の第2は、医療保険について伺います。
 まず、国民健康保険についてです。
 国は、社会保障費削減のため、2018年度をめどに、国民健康保険の都道府県化など、医療保険制度の大改変を進めています。社会保障制度である国民健康保険は、低所得者が多く加入する医療保険でありながら、保険料が高過ぎるという構造的な矛盾があります。全国市長会は、被保険者の保険料負担も限界に達しているとの認識ですが、区の認識を伺います。
 保険料は毎年値上げが繰り返され、1人当たりの保険料が10万円を大きく超えており、「もう限界だ」との悲鳴が上がっています。そのもと、来年度の保険料の値上げをしないよう、23区の部長会と区長会総会で積極的に働きかけるべきです、伺います。
 国は、保険料の負担軽減のため、毎年3,400億円の公費投入を決めました。区は、赤字がとりあえず解消されるとの認識です。しかし、これを機に一般会計からの繰り入れをやめれば、高い保険料は下がりません。一般会計からの繰り入れはやめ、新たな公費投入分を高過ぎる保険料の引き下げに使うべきです、伺います。
 厚生労働省は、今回の公費投入の一部で、こどもの被保険者が多い自治体を支援するとしています。23区の保険料は、こどもが1人で均等割が4万3,200円、2人だと8万6,400円と、こどもの数がふえればふえるほど負担がふえています。これは、子育て支援に逆行します。こどもの均等割の保険料を軽減すべきです、伺います。
 国民健康保険料の負担が、低所得者の生存権を侵害し、貧困が拡大する大きな要因となっています。現在、所得250万円の自営業で、こども2人の4人家族の保険料は42万6,000円です。この世帯は、生活保護基準以下の所得状況にもかかわらず、保険料の法定減免や免除もなく、滞納すればペナルティーが科せられます。所得が生活保護基準をわずかに上回る境界層の世帯が、国民健康保険料を負担することで生活保護基準以下に落ち込む場合、介護保険のように減免措置を行うべきです、伺います。
 保険料の滞納世帯は加入世帯の3割強で、2万5,000世帯を超えています。保険料の滞納増と収納率の悪化は、悪質滞納者の増加によるものではありません。高い保険料や、貧困層、境界層への実効ある救済策がない制度の不備によるものです。滞納者への一律なペナルティーは、生活困窮者の苦境に追い打ちをかけるだけです。滞納対策は、正規の保険証の取り上げや差し押さえではなく、貧困の把握、救済へ転換すべきです、伺います。
 保険料の高騰を抑えていくには、国庫負担割合を引き上げ、国民健康保険の財政構造を根本的に変えていくことこそ必要で、国民皆保険を持続可能にしていく唯一の道です。全国知事会が要求している1兆円の国庫負担増が実現すれば、保険料が1人当たり3万円、4人家族なら12万円の軽減となり、中小企業の協会けんぽと同水準となります。国庫負担の増額とともに定率国庫負担の割合の引き上げを求めるべきです、伺います。
 次に、後期高齢者医療保険についてです。
 東京都後期高齢者医療広域連合は、2016年度と2017年度の保険料の値上げ案を示しています。これは、現在1人当たり平均9万7,000円の保険料を、10万円から11万円に引き上げるものです。年金の引き下げ、介護保険料の負担増など、高齢者の生活が大変な中で値上げをしないよう、23区の区長会で東京都に対し財源対策を提案すべきです。また、東京都後期高齢者医療広域連合に対し、財政安定化基金の活用など、東京都や国と協議するよう求めるべきです、あわせて伺います。
 国は、低所得者の保険料負担の軽減特例措置を廃止する方針です。軽減特例措置がなくなると、保険料が今の2倍、3倍、被扶養者では10倍にはね上がります。高齢者の生活苦に追い打ちをかけないよう、軽減特例措置の継続を求めるべきです、伺います。
 大綱の第3は、障害者支援について伺います。
 来年度は、障害者総合支援法の見直しが行われます。見直しに当たっては、障害者の権利に関する条約や障害者自立支援法違憲訴訟団と国が結んだ基本合意、障害者、家族、事業者、自治体首長、学識経験者等からなる国の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言を十分に踏まえるべきと思いますが、区の認識を伺います。
 とりわけ、障害者が生きるために不可欠なサービスを「益」とみなし、障害が重くなるほど負担がふえる原則1割の応益負担を強いるのは、生存権の侵害です。国際社会では、福祉は無料が当たり前です。応益負担制度は廃止し、利用料の無料化を国へ求めるべきです、伺います。
 脊髄小脳変性症で最も重い障害を持つ46歳の女性は、現在、特別養護老人ホームに入所し、そこから就労支援施設に通っています。介護施設入所のため、通院や余暇にヘルパーが派遣される移動支援が外され、通院に困難が生じています。入所している障害者の通院にも移動支援を利用できるようにすべきです、伺います。
 障害児の通学にも移動支援が認められていません。毎日送り迎えする親の負担は大きく、「必要なときにいつでも使えるようにしてほしい」との声が上がっています。荒川区や墨田区のように、通学にも使えるように改善すべきです、伺います。
 就労継続支援や放課後等デイサービス事業所では、障害者、障害児がその日の体調で通所できなければ、事業収入が激減します。報酬が日払いでは経営が不安定にならざるを得ません。基本報酬を、原則日払いから月払いにするとともに、報酬単価の引き上げを国に求めるべきです、伺います。
 現在、通所施設に対し、区独自の家賃助成が行われています。事業所では、助成が打ち切られると安定した施設の維持運営ができなくなるという不安を抱えています。継続して家賃助成を行っていくべきです。
 また、NPOや社会福祉法人が移転や新規で事業所を開設する際、家賃が大きな負担となっています。準備期間も含め、家賃助成をすべきです、あわせて伺います。
 放課後等デイサービスの利用料は、4,600円と3万7,200円の上限額の格差が大きく、利用を抑制する傾向にあります。中央区や墨田区、葛飾区では、利用者負担を無料にしています。利用者負担に対する区独自の軽減策を行うべきと思いますが、伺います。
 福祉サービスを受けるためのサービス等利用計画、障害児支援利用計画は、課題や困難を解決し、どのサービスをどのぐらい利用したらよいかを、相談支援事業所と一緒に考えながら作成するものです。しかし、その作成は、対象3,000人の約半数にとどまっています。区は、作成できる相談支援事業所をふやす考えですが、プランをつくる専門員の報酬が低いのがネックです。区独自で、人件費補助を含め支援を図るべきです、伺います。
 身体、知的、精神に加え、難病や発達・行動障害など、障害者のニーズが多様化する中で、一般的な相談体制では対応が困難となってきています。高度で専門的な相談支援を行うためには、保健師、精神保健福祉士など専門員を配置し、困難ケースの対応や計画相談支援体制の強化、虐待防止など、地域における相談支援の中核的な役割を担う基幹相談支援センターを設置すべきです、伺います。
 法改正により、3障害共通の施策の一元化が求められています。しかし、いまだに心身障害者福祉手当では精神障害者が対象となっていません。来年4月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行されます。精神障害者を心身障害者福祉手当の対象とするよう、決断すべきです。
 答弁を求め、質問を終わります。
(再) 再度質問いたします。
 放課後等のデイサービスの利用料についてです。御答弁では、国の事業だからということですけれども、質問しましたように、中央区や墨田区、葛飾区では区独自の軽減策がとられています。質問では、江東区独自の軽減策を行うべきだということをお伺いしています。明確な答弁をお願いいたします。

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