日本共産党江東区議団を代表し、大綱三点について伺います。区長ならびに関係理事者の答弁を求めます。
第一に、来年度予算について伺います。
政府の来年度予算案は、4月からの消費税率8%への引き上げと社会保障の改悪で、国民への大負担増を強行する一方、大企業には、復興特別法人税の廃止による減税を実施、また、「国土強靭化」の名のもとに、東京外郭環状道路や国際コンテナ港湾など巨大公共事業に巨額の税金を注ぎ込み、軍事費も2年連続増額するものとなっています。
区長はこの間、消費税増税や社会保障の改悪について「社会保障制度の持続可能性や財政再建の観点からも必要」と答弁していますが、来年度予算では、消費税増収分5兆円のうち社会保障の「充実」にあてられるのは、わずか
5000億円程度にしかすぎません。逆に、診療報酬の実質マイナスや生活保護の抑制などで社会保障費の自然増すら押さえ込み、さらに70〜74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げ、生活保護費や年金の削減などの改悪を行おうとしています。
結局、消費税増税で吸い上げた税金は、「社会保障のため」でも「財政再建のため」でもなく、大企業減税と巨大開発、軍拡予算に使われてしまうのではないですか。見解を伺います。
この間、異常な金融緩和によって株価は上がりましたが、庶民への恩恵はなく、円安による燃料、原材料、生活必需品の値上がりが家計と中小企業を苦しめています。働く人の賃金は18ヶ月連続マイナスで家計は冷え込んだままです。区民からは「給与は上がらずただでさえ苦しいのに、なぜ消費税増税か」「年金も減らされ、これでは暮らしていけない」など怒りの声が上がっています。
政府に対し、4月からの消費税増税と社会保障の改悪を中止するよう求めるべきだと思いますが、見解を伺います。
安倍首相は、「企業の収益を雇用の拡大や所得の上昇につなげる」と述べていますが、これは「大企業が利益を上げたら、そのうち下請けや労働者におこぼれがある」という、すでに破綻した「トリクルダウン」の理論にすぎません。この間、いくら企業が収益を上げても、まともな雇用の拡大や賃金の上昇につながっていないのが実態です。しかも派遣労働の無制限の拡大など一層の雇用破壊を進めようとしており、これでは「経済の好循環」はつくれません。
我が党は、働く人たちの賃金を直接引き上げてこそ、「経済の好循環」を作り出せるとし、具体的な提案を行ってきました。
第一は、大企業の内部留保の活用です。270兆円にのぼる内部留保の1%を活用するだけで、大企業の8割で月額1万円、被正規労働者の時給を100円引き上げることが可能です。内部留保の活用を経済界に正面から提起することが必要だと思いますが、見解を伺います。
第二は、最低賃金の抜本的引き上げと中小企業への財政出動を行うことです。中小企業の7割は赤字経営で、法人税を減税しても賃上げの促進にはなりません。雇用の7割を支える中小企業で賃上げを実施するための直接支援が必要だと思いますが、見解を伺います。
第三は、派遣法の抜本改正、均等待遇のルールの確立、ブラック企業規制など雇用のルールを強化することです。非正規から正社員への道を広げることこそ、働く人の所得を増やす道ではないですか。区長の見解を伺います。
次に、本区の来年度予算について伺います。
本区の来年度予算案は、一般会計が1743億1900万円、特別会計が
910億7400万円で、総額2653億9300万円で今年度比5.2%増となっています。
来年度予算案では、認可保育園や特別養護老人ホームの増設、木造住宅密集地域の不燃化促進や防災備蓄物資の拡充、空き店舗対策の拡充、スクールソーシャルワーカーの配置など、我が党が提案してきた区民施策が一部、盛り込まれたものの、安倍政権による消費税増税や医社会保障の改悪、雇用の破壊により区民生活が一層厳しくなることが予想されるのにもかかわらず、そうした区民生活への言及は一切なく、悪政からくらしを守るための新規施策は見当たりません。
それどころか、さらに民間委託の拡大、正規職員の削減で、自ら安上がりの労働を拡大し、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の引き上げなど区民へのあらたな負担増を行おうとしています。
国の悪政が進められる中、身近な江東区政が区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすことが必要ではないですか。区長の認識を伺います。
消費税の増税や医療費の負担増は、所得の低い高齢者にとりわけ重くのしかかってきます。また、昨年10月からは年金も引き下げられ「これ以上負担が増えたら、食べるものをどうやって節約すればいいのか」と悲痛な声が寄せられています。高齢者のくらしを支えるために、老人入院見舞金や重度介護手当の支給、家賃補助など経済的支援を行うとともに、待機者が2200名を超え不足が深刻な特別養護老人ホームや介護施設の整備数を増やすよう求めますが、見解を伺います。
子育て家庭への支援では、保育士の確保が困難になる中、安定した良質な保育を確保するために、都有地・国有地を活用し、民設民営だけでなく区の責任で認可保育園を増設すること。また、保育料の負担の軽減や出産一時金の引き上げ、教育費の負担軽減などの経済的支援を強化するよう求めますが、見解を伺います。
消費税増税は、今でも営業が厳しい中小企業に深刻な打撃を与えます。歳出に占める割合が、わずか1%という低すぎる中小企業予算を抜本的に引き上げ、住宅リフォーム助成や店舗改修助成などの仕事起こし、商店街の電気代の全額補助など行うべきだと思いますが、見解を伺います。
若者支援では、引き続き深刻な雇用環境を改善するための「若者就労支援窓口」の設置、ひきこもり対策などを行うべきだと思いますが、見解を伺います。
区はこの間、経済の先行きが不透明だとし民間委託の推進、職員の削減、施設使用料の値上げやがん検診の有料化など区民犠牲の行財政改革を行う一方、基金をため込んできました。25年度最終補正では新たに120億円余りを積み増しし、基金総額は844億円にも膨らんでいます。ため込んだ基金を活用するとともに、区長、議長の交際費の削減、副区長を1人に削ることや同和予算の全廃など、不要不急の予算を見直し、区民の切実な願いに応えるよう求めますが、見解を伺います。
次は、職員確保についてうかがいます。
江東区の人口は引き続き増加し、来年度は49万人に達する見込みです。仕事量が増大しているにもかかわらず、人口増加に見合った職員の増員を行わず、毎年削り、来年度も7名の削減をおこなう計画です。
区は、必要な職員は増員していると述べていますが、この間、経済状況の悪化で生活保護受給者が増大し、福祉事務所の職員は、法定の担当件数80名を大きく超え、一人当たり平均100名、中には140名を受け持つ職員もいるなど不足は深刻です。職員組合からは、南部地域での福祉事務所の開設とあわせ、32名の増員要求が出されています。また、区民課でも窓口業務の増大で14名の増員要求が出されています。現場の求めに応じた職員の増員を行うべきです。伺います。
次に、民間委託について伺います。
区は来年度、新たに千田児童館・福祉会館の管理運営を株式会社に委託するほか、区立保育所の調理業務や小学校の用務業務、道路維持管理業務の民間委託を拡大します。
区はこの間、「効率的・効果的な区政運営のためには民間活力の活用は不可欠」と述べていますが、委託した学校用務では、月給16万円から18万円程度の低賃金・不安定雇用の契約社員に置き換えられる一方、労働者にはこれまでと同じ水準のサービスを求めるなど、区の進める民間委託は、結局は労働者の犠牲の上に成り立っています。
景気を回復させるために、何よりも安定した働き方、賃金の引き上げが必要な時に、区自らが低賃金の不安定雇用を広げる民間委託は中止すべきです。見解を伺います。
第二に、医療保険制度について伺います。
はじめに、国民健康保険についてです。
区は来年度、国民健康保険料の均等割を1800円値上げし、4万3200円にするほか、所得割率や賦課限度額の引き上げを行い、その結果、区民一人当たりの保険料は、現行9万9248円から10万3103円に、4638円もの大幅値上げとなります。
この間、国民健康保険料は、毎年値上げされ、さらに算定方式の見直しによる大幅な負担増が行われてきました。年収200万円で夫婦と子ども1人の3人世帯の場合では、算定方式見直し前の平成22年度には、年間9万5760円だった保険料が、来年度は、軽減措置を実施しても16万0216円と1.6倍にも負担が増えています。「これ以上の負担増は耐えられない」との切実な声が寄せられています。区長はこうした区民の声をどう受け止めていますか。伺います。
このような大幅な保険料の値上げが実施されるのにもかかわらず、区は事前に区民や議会の意見を聞くことなく、課長会や区長会で値上げ案を了承しています。検討段階から内容など情報を国保の運営協議会や議会に知らせ、区民の意見を反映させるべきではないですか。伺います。
江東区の国保料の滞納者数は、加入者の4割近くにもなり、財産の差し押さえ件数も平成22年26件だったのが、平成24年は180件と増加しています。これ以上の値上げは、滞納世帯をさらに増やし、必要な医療を受けられないない人を増やす悪循環を作り出しているのではないですか。
来年度、算定方式の変更に伴う軽減対策を拡充するとともに、元の住民税方式に戻すこと。また、一般財源からの繰り入れを増やし、保険料値上げを行わないよう求めますが、見解を伺います。
国は、赤字の国保財政に対し、「安定的な財政運営ができる規模が必要」などとして、2015年の通常国会に「広域化」のための関連法案を提出しようとしています。しかし、「広域化」の狙いは、国保を都道府県に運営させることによって、国の責任を一層後退させるとともに、自治体からの一般財源の投入もやめさせ、保険料値上げと給付抑制の押しつけで、医療費の抑制を図ることにあります。
区はこの間、広域化を先取りして、保険料の計算方式を統一するための算定方法の変更を行いましたが、これにより、大幅な保険料の負担増となりました。また、今回は、23区が独自に保険料の抑制をはかるために行ってきた高額療養費の一般財源での措置を、2017年の広域化実施までの4年間で廃止することを決め、来年度は、一般財源からの繰入額を77億円も減らしました。このことが、今回の保険料値上げの大きな原因になっています。
結局、広域化は、保険料の値上げと滞納という悪循環を一層ひどくし、財政的に安定するどころか、現状以上に財政の悪化をもたらすことになるのではないですか。見解を伺います。
そもそも、国民健康保険制度は、「社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする」社会保障制度です。だからこそ国は、制度が安定的に運営できるよう財政的な責任を果たすことが必要です。政府に対して、医療費抑制のための「広域化」の中止と、この間削減してきた国庫負担を元に戻すよう求めるべきではないですか。見解を伺います。
次に、後期高齢者医療制度について伺います。
後期高齢者医療保険料も4月から見直しが行われます。均等割額は2100円引き上げられ、4万2200円に、所得割率と賦課限度額も引き上げられ、一人当たりの平均保険料は、4118円増の9万7098円へと大幅な値上げが行われようとしています。
東京都広域連合では、保険料抑制のために財政安定化基金、211億円のうち145億円を活用するとしていますが、基金が余っているとの理由で、毎回、国、都、区市町村の3者が出すべき基金への拠出を来年度は行わないとのことです。従来通り、基金への拠出を行い、更なる財政安定化基金の活用や東京都への財政支援を求め、保険料の負担をさらに軽減すべきではないですか。伺います。
そもそも後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を別枠にし、保険料を算定する仕組みで、高齢者が増加する中で、保険料の見直しのたびに値上げとなることがさけられません。高齢者だけを別枠にする医療保険制度は世界でも例がありません。後期高齢者医療制度は廃止し、当面、もとの老人医療制度に戻すとともに、長年社会に貢献してきた高齢者が安心して医療が受けられる制度を確立するよう求めるべきではないか。伺います。
第三に、教育問題について伺います。
安倍政権は、「教育再生」の名のもとに、教育の全面改悪を行おうとしています。
教科書検定基準の見直しでは、歴史的事象に関して近隣アジア諸国への配慮を行うこととする「近隣諸国条項」を事実上撤廃し、政府の統一見解を厳格に記述させるなど、歴史的証言や検証などを無視して歴史をゆがめるとともに、国の審議会が「愛国心教育に反する」と判断すれば不合格となるような検定基準の改悪を進めようとしています。
また、道徳の時間を「教科」化し、検定教科書を使って国が定める徳目を教え込み「愛国心」の評価を行おうとしています。さらに、教育委員会制度の見直しでは、首長の権限を強化し、教育への政治支配を強める法案を提出しようとしています。
安倍首相は、侵略戦争への反省を「自虐史観」とし、従軍慰安婦問題でも「強制はなかった」と発言、A級戦犯を合祀した靖国参拝を行い、アジアのみならず、欧米諸国からも戦後秩序を破壊するとして批判を浴びています。また、改憲を掲げ、秘密保護法の強行、集団的自衛権の行使など「戦争する国」へと日本を大きく変えようとしています。
安倍政権の進める「教育再生」は、世界では通用しない歴史認識を子どもたちに教え込み、「愛国心教育」をすすめ、「戦争する国」を支える教育をつくるものに他なりません。安倍政権の「教育再生」についての認識を伺います。
戦後の地方教育行政は、戦前の国家による軍国主義教育のもと、国民を戦争へと駆り立てていったその反省の上に立ち、学問の自由や教育を受ける権利など基本的人権の保障、地方自治の原則に則り、国や行政権力から独立し、国民に直接責任を負って行われるべきものへと改革されました。
ところがこの間、制度が形骸化され、「競争教育」の推進、国のいう通りの教育を教員らに命じる行政が行われ、思想・良心の自由をも踏みにじる「日の丸・君が代」の強制までもが行われてきました。
今政府が取り組むべきことは、教育の自主性や地方自治の原則を尊重し、現場の子どもたちの実態に即した教育を進めていくことです。教育内容の国家統制や教育行政の中央集権化を進める「教育再生」を行わないよう政府に求めるべきです。見解を伺います。
つぎに、少人数学級の推進について伺います。
政府は来年度、文部科学省が概算要求していた「少人数教育の推進」にかかる教員の定数改善を認めず、第一次定数改善計画が開始されて以来、初めて、教職員定数の削減を実施しようとしています。
少人数学級は、「授業につまずく児童生徒が減り、勉強がよくわかるようになった」「子どもたちが落ち着いて生活するようになった」など全国的にも成果が報告されており、昨年6月には、全国都道府県教育委員長協議会・教育長協議会からも、少人数学級の推進を求める意見が出されています。
また、いじめ自殺や不登校など子どもたちを取り巻く環境も依然として深刻な中、教職員が子どもたちと向き合う時間を確保するためにも少人数学級を推進することが必要です。
政府に対し、1・2年生に続き小学校3年生以上の学年でも35人以下学級を実施するよう求めるべきです。
また、東京都に対し、小学校3年生以上への35人以下学級の拡大、中学校2年生以上への拡大を求めるべきです。見解を伺います。
つぎに、教育費の負担軽減について伺います。
まず、就学援助についてです。この間、我が党は、生活保護基準の引き下げが就学援助に影響しないよう求めて来ました。区は検討すると答弁してきましたが、改めて生活保護基準の影響が出ないようにするとともに、対象者拡大のための基準の引き上げ、対象品目の拡大、援助費用の引き上げを行うよう求めます。見解を伺います。
つぎに、給食費についてです。4月からの消費税の増税は、給食の食材費にも影響を及ぼします。区として消費税増税分を補填するなど、給食費の値上げを行わないようにすべきです。伺います。
つぎに高校授業料の無償化について伺います。
政府は、来年度から高校授業料の無償制をやめ、所得制限を導入します。
一昨年ようやく留保を撤回した国際人権規約の「中等高等教育無償化の漸進的(ぜんしんてき)実行」に反するものです。政府に対し、所得制限の導入をやめ無償化を継続するよう求めるべきです。また、都に対し、独自に無償化を継続するよう求めるべきです。以上見解を伺い、私の質問を終わります。