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2011年第1回定例会-そえや良夫議員(予算 中小企業 築地市場)

  1. 区民の暮らしと来年度予算について
  2. 中小企業支援について
  3. 豊洲への市場移転問題について

 質問に先立ちまして、きのうニュージーランドで発生した大地震で被災された皆さんに、心からお見舞いと、そして一刻も早く救助されるようお祈りを申し上げたいと思います。
 それでは、日本共産党区議団を代表し、大綱3点について質問します。
 第1は、区民の暮らしと来年度予算についてです。
 来年度予算には、我が党区議団が繰り返し求めてきた認可保育所の増設や商店街装飾灯電気代補助の増額、少人数学級に向けた取り組みなど、切実な区民要求が一定程度反映されました。しかし、区長が、厳しい中で区民の期待に果敢にこたえたものという予算の中身は、歳出の増加分の7割が民生費で、そのうちの3分の2が生活保護費と子ども手当の増加分など、義務的経費の伸びに伴うもので、新たな取り組みとして打ち出した事業は、豊洲駅前の地下自転車駐車場や新病院など、大規模施設建設の一方で、高齢者に対する生活支援や就学援助の対象拡大など、暮らしを応援する施策は不十分。また、特別養護老人ホーム入所待機者が1,800人もいるのに、第14特別養護老人ホーム以外新たな建設計画はなく、中小企業を直接支援する施策も不十分で、とても不況の中で苦しんでいる区民の期待にこたえたものとは言えません。
 共産党区議団が行ったアンケート調査でも、この数年間で暮らし向きが厳しくなったと答えた人は73%に上っています。「給料が減った」、「失業した」、「税金、公共料金の負担がふえた」、「年金生活になった」など、不況の影響で区民の暮らしは大変です。今こそ住民の福祉向上という自治体本来の役割を発揮し、区民の暮らし応援に力を入れた予算にするべきです。
 以下、具体的に提案します。
 まず、暮らし応援についてです。
 年金が主な収入源の高齢者の生活は特に深刻です。高い保険料を一生懸命払い続けても、病気や介護が必要になったときに、自己負担分を払うことが困難になっています。
 ある老夫婦の場合、夫が末期がんで入退院を繰り返し、認知症などで要介護3の妻は施設に入所、今の生活費と医療と介護の費用、そして夫が亡くなった後の妻の介護費用を捻出するためにマンションを売却し、アパートに移りました。国や都が医療や介護の施策を切り下げ続けてきた結果です。暮らしに最も身近な自治体として、医療や介護の負担を軽くするために、高齢者入院助成金制度や重度介護手当を速やかに実施すべきです。伺います。
 今、不況による親の失業などで修学旅行費が払えないなど、格差がこどもの世代に拡大再生産されることが心配されています。未来を担うこどもたちが、お金の心配なく安心して勉強できる条件を保障することは、区の責任です。ところが、本区の就学援助の基準は、要保護基準の1.18倍で、23区の平均以下となっています。23区並みの1.20倍へ速やかに引き上げるべきです。伺います。
 不況や非正規雇用の拡大などで増加する保育要求にこたえることは、本区の緊急課題です。来年度、私たちが土地を買ってでもと求めてきた新砂保育園など、2園の認可保育所建設があるものの、新たな定員増の多くが認証保育所など民間頼みです。
 10月1日現在の認可保育所の入所待ちは1,426人で、年度当初より290人もふえました。保育の質の向上と、将来にわたって安定的に保育を保障するためにも、区の責任で認可保育所を増設すべきです。伺います。
 次に、区民負担についてです。
 我が党区議団のアンケート調査で、医療保険料が高いと答えた人は67%に上りました。とても払えないと言います。所得が低下するもとで毎年のように保険料が引き上げられた結果、国民健康保険料の滞納率は、昨年9月、40%を超えました。また、保険料や窓口負担の重さに耐え切れず、検査や薬を断る、治療を中断するという事態の広がりが、全国保険医団体連合会の調査でも明らかになりました。保険料負担はもはや限界であり、値上げなどとんでもありません。
 ところが、区長会が4月から実施しようという保険料賦課方式の変更は、これまで均等割のみだった所得の低い世帯からも、新たに所得割を取るというものです。あまりに大きな値上げに経過措置をとるとしていますが、それでも値上げです。また、経過措置がなくなる2年後には、医療制度改革でとんでもない値上げが待っています。賦課方式の変更は中止すべきです。また、高過ぎる保険料は引き下げるべきです。伺います。
 そのためにも、国に対し、医療費への定率国庫負担を1983年以前の45%に戻すこと、また、都の区市町村国民健康保険に対する独自支出金も、1996年度の水準まで復活するよう求めるべきです。あわせて伺います。
 次に、区が進める民間委託拡大についてです。
 区は、この10年間、定員適正化の名のもとに正規職員を791人も減らし、非常勤、臨時職員を661人ふやしました。また、民間委託も拡大してきました。その結果、平成21年度、精神疾患で休暇をとったり休職をした職員は合わせて50人に上ります。また、区の非常勤労働者や委託を受けた民間企業の労働者には、低賃金、不安定雇用を拡大してきました。今では財界系のエコノミストからも、不況打開のためには賃金引き上げなど、雇用条件改善が必要だと指摘されています。こうした事態にもかかわらず、区は何の検証もなく来年度、正規職員を新たに52人も減らし、民間委託の拡大で低賃金、不安定雇用をさらに広げる逆立ちぶりです。
 我が党が繰り返し増員を求めてきたケースワーカーは、来年度5人の増員が図られるものの、それでも不足状態です。
 また、人口増で課税課や区民課などの職員も足りません。区民サービスの維持・向上、そして健康に働くためにも、正規職員の増員を図るべきです。伺います。
 自転車駐車場の指定管理者の入れかえの際、労働者から、「賃金が下げられた」、「最低賃金以下になった」との訴えがありました。我が党の調査、改善要求に対し、区は民民のことには立ち入らないとしてきました。しかし、昨年12月、総務省は、指定管理者制度について、「同制度は単なる価格競争による入札とは異なる」とした上で、労働法令の遵守や雇用、労働条件への適切な配慮を求める局長通知を出しました。この通知を重く受けとめ、本区でも受託先労働者の労働条件等について調査し、必要な指導を行うべきです。伺います。
 学校給食の管理運営に責任を持つ栄養士の約半数、32人は非常勤です。勤務日数は月15日、年間180日。これで小学校の給食提供日、198日分の仕事を、常勤栄養士と同じ水準でこなすよう求められています。しかも、時間外労働もほとんど認められず、賃金は正規職員の半分程度、こんなひどい働かせ方は直ちに改善すべきです。伺います。
 給食調理の委託費算出の計算根拠では、調理員の約半数がパート労働者となっています。ある会社の募集広告では、時給は1,000円です。また、本区の給食調理で働くパート労働者の異動率は16.8%と、厚生労働省が行っている全国調査の約5倍という高さです。本区の給食調理の受託業者が、他区でアレルギー食品を間違って配食する事故を起こしたとのことで、給食の質と安全が心配です。こどもたちに安全な給食を安定して提供するためにも、計画的に直営に戻すべきです。伺います。
 以上の仕事を進める上での財源ですけれども、700億円に上る基金の積極的活用を図るのはもちろんのこと、区民の暮らし支援の立場から必要のない出費は見直すべきです。ゆりかもめ運営会社である株式会社東京臨海ホールディングスへの2億4,000万円の出資引き揚げと、地下鉄8号線建設促進名目の5億円の新たな基金積み立ての取りやめを求めます。
 また、現在2人となっている副区長は1人とし、区長の退職金及び区長、議長の交際費も削減を求めます。実態が不明な同和予算は廃止すべきです。伺います。
 大綱2点目は、中小企業支援についてです。
 経済不況の影響は、仕事がない、仕事があっても単価が安くてもうけにならないなど、深刻です。区長は、「景気対策は国の仕事」と公言していますが、地域経済活性化のための自治体の役割は、中小企業基本法でも、区域内の諸条件に応じた施策の策定及び実施する責務を有すると明快です。
また、区内中小企業の振興などを定めた本区地域経済活性化基本条例の目的に照らしても、不況で苦しむ中小企業の営業を支援し、地域経済の活性化を図ることは、区が果たすべき重要な仕事です。区長の認識を伺います。
 住宅リフォーム助成制度は、自治体の助成額に対する経済効果が10倍から15倍とも言われるほど非常に高く、しかも、大工だけでなく、ふすまなどの建具職人や畳屋、さらに建材店や作業衣販売店など、その波及効果も大きいとして全国に広がり、昨年11月末時点で175の自治体で実施されています。そして、この4月から、政令市では初めて相模原市が、また23区でも北区、大田区が、それぞれ景気対策事業として実施することが明らかになりました。実施した自治体ではどこでも、町に活気が出てきたと好評です。本区でも直ちに実施すべきです。伺います。
 次は、小規模事業者登録制度についてです。
 私たちの繰り返しての小規模事業者登録制度の求めに対し、区は、現行制度で十分対応できるとしてきました。しかし、平成21年度の少額随意契約の全体17億7,000万円のうち、区内の小規模事業者の受注額はわずか15%で、区外業者の4割程度にすぎません。
 例えばある学校では、湿布薬や傷ばんそうこうなどを江戸川区の業者から買っています。区内の薬局では手に入らないのでしょうか。区内業者優先が不徹底です。また、契約額の8割近くが入札参加資格業者というのも問題です。こうした実態を改め、区内小規模事業者に優先的に見積もりや発注をして地域経済の活性化を図るため、速やかに実施すべきです。伺います。
 次は、公契約条例についてです。
 不況のもとで受注競争が激しくなり、そのしわ寄せが下請単価や労働条件をさらに押し下げて、地域経済そのものの低下が懸念される事態となっています。
 全国に先駆けて実施に踏み切った野田市長は、「福祉の向上を図る自治体が官製ワーキングプアをつくりたくない。市民が豊かで安心して暮らせる地域社会を実現するかどうかという価値観が問われている。」と、条例制定に当たっての思いを語っていました。元請、下請関係の適正化と労働条件の確保のために公契約条例を制定すべきです。伺います。
 次は、空き店舗対策についてです。
 商店街の活性化と振興を図ることを目的に、商店街が空き店舗を活用するときに補助をする制度がつくられました。しかし、改装費や家賃に補助があるといっても、改装費の4分の1、家賃の3分の1は商店会の負担です。売り上げが減って装飾灯の電気代捻出さえ大変な商店会にとって、新たな費用負担は困難です。
 また、対象事業は休憩室、談話室などで、もうけは期待できません。ある商店会長は、自分の仕事に加えて新たな仕事に人もお金も出すことは困難で、商店街に新たな店を呼び込み、活性化を図るために、区と商店会が共同して、新規出店者の開業と営業継続の努力を支援する制度にしてほしいと言います。こうした声に耳を傾け、制度を抜本的に改善すべきです。伺います。
 次に、景気対応緊急保証制度についてです。
 同制度は、もともと原油・原材料などの高騰で売り上げが減少した業種を対象にスタートし、その後、中小企業の全業種に対象が拡大されました。その結果、区内中小企業の利用は、平成19年度の180件から平成20年度は2,416件、平成21年度は2,699件と急増し、資金繰りの命綱として役立ってきました。
 これを政府は、予算が確保できなかったとして3月末で打ち切り、激変緩和措置終了後の10月には、現行82業種から約20業種に絞り込むとしています。しかし、中小企業の業況は依然落ち込んだままで、大きな影響が心配されます。中小企業は企業数の98%を占め、日本経済にとっても地域経済にとっても中心的役割を果たしています。政府に対し制度の継続を求めるべきです。伺います。
 最後は、豊洲への市場移転問題についてです。
 石原知事は、昨年10月、「業界の大多数も豊洲移転を望んでいる」なども理由に挙げて、凍結されていた東京ガス工場跡地の買い取りのための予算を執行すると発表しました。しかし、関係団体の中で最も加入者が多く、影響力の強い仲卸業者の総代会は、反対52、賛成48と賛否が拮抗、到底大多数が移転賛成などとは言えない状況です。
 我が党区議団のアンケート調査でも、区民の半数以上が移転に反対を表明しています。最大の問題は食の安全です。区長はこれまで土壌汚染対策の確実な履行で食の安全が確保できるとの認識を示してきましたが、環境影響評価書案に対する区長意見では、これまでの都の土壌汚染対策について、「区民の不安を払拭する十分なものとは言えない」と述べています。区長は、これまで都が行ってきた土壌汚染対策のどこが不十分だと考えているのか、まず伺います。
 区長は、長期計画に新市場の整備を位置づけ、また、いろいろな会合の場で「にぎわい施設として整備」、「地下鉄8号線建設の起爆剤」などの発言を繰り返しています。これには、食の安全という問題の本質から区民の目をそらすものとの声が上がっています。区民の不安を払拭するというのであれば、日本最大の土壌汚染が隠されたもとで決めた移転受け入れ方針を、一たん白紙に戻して一からやり直す。そして、調査や汚染土壌処理実験に対する疑問に、だれもが納得するところまで都に説明させることが、区長が今、果たすべき責任です。伺います。
 その第1は、調査のあり方についてです。
 東京都が有楽町層以下の汚染調査を頑として拒否をしている限り、不安は解消されません。
 また、全調査地点ですべての調査対象物質について調査しないというのでは、汚染隠しを疑われて当然です。
 例えば猛毒のシアンは、5街区では1,300の調査地点のうち2割弱の220カ所しか調査していません。それでも3分の1の場所から基準を超えるシアンが検出されました。全部調べたらどういう結果になるのかと、こういう疑問が出るのは当然です。だれもが納得できる調査をきちんとやるよう都に求めるべきです。伺います。
 第2に、汚染土壌処理の確実性についてですけれども、処理実験の中間報告に係るデータを黒塗りし、しかもそのことに研究者が関与したことも明らかにされて、科学としての信頼性はなくなりました。区民の不安を払拭するというのであれば、都の説明をうのみにするのではなく、日本環境学会など移転に批判的な立場の専門家も交え、徹底した科学的検証を行うべきです。伺います。
 こうした最低限の責任も果たさないまま、移転ありきで都が事業を進めるのであれば、食の安全を守るために東京ガス工場跡地への市場移転計画はきっぱりと中止を求めるべきです。
 あわせて伺い、質問を終わります。(拍手)

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