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2006年第4回定例会-あぜ上三和子議員(区政 障害者 保育園待機児 学校教育)

  1. 区民生活と区政のあり方について
  2. 障害者自立支援法の実施に伴う問題について
  3. 保育園の待機児解消と保育料についてです。
  4. 学校教育について

 私は、日本共産党江東区議団を代表し、大綱四点について質問いたします。
 第一に区民生活と区政のあり方についてです。
 いま「構造改革」の名のもと規制緩和政策が進められ、格差と貧困の広がりは深刻な事態です。働いても豊かになれないワーキングプアが大きな社会問題となっていますが、区内でも納税者の半分(56,5%)は所得二百万円以下となっており、国民健康保険の滞納は去年22%が今年36%に増加し、六年前26%だった就学援助は、小学生30%、中学生36%、生活保護もこの六年で一、四倍に増えています。
 「お金がそこをつきかろうじてある米をたいてしょうゆをかけて食べている」など、私達議員にも切羽詰った相談が急増しています。
 こんな時、額に汗して働く区民、そしてわずかな年金で暮らしている高齢者に負担増を押し付ける政治、格差を拡大する弱肉強食の政治にきっぱりものを言うのか、言いなりになるのか、区の姿勢が切実に問われているのではないでしょうか。区は「言うべきことは言う」と言っていながら、年金課税の問題でも増税による雪達磨式負担増の問題でも国に対し何も言わないばかりか、保育所運営費や児童手当など暮らしの基盤にかかわる経費を削減している「三位一体改革」を評価し歓迎するなど、国に追従してきました。区民に痛みを押し付ける国の構造改革路線の見直しこそ強く求めるべきと思いますが、伺います。
 また東京都に対する姿勢も問われていますが、財政破綻が明白な臨海開発同様にオリンピックの招致をテコとした大規模開発に一緒に突き進もうとしていることは問題と考えます。
 区長は、先の本会議で「江東区の財政に大きな影響を与えるとの認識はない」と答弁していました。しかし「コンパクトなオリンピック」どころかインフラ整備や競技施設など八兆五千億円に膨らみかねない浪費型であること、石原知事が「都の財政責任で全てまかなう」と言明していることから、多額の税金が投入され取り返しがつかなくなることは明白です。しかもオリンピックに東京が採用される可能性は薄く、都民の暮らしを守ることにつかわずに確たる見通しのないものにあてがうなど無責任の極みです。手放しでオリンピック招致を歓迎する区の姿勢は改めるべきではありませんか、伺います。
区が率先して「自己責任」「受益者負担」と徹底した福祉切り捨てを強行してきたことも重大です。老人福祉手当の廃止、低所得世帯への赤ちゃんの粉ミルク支給の廃止、障害者診断書補助の半減など、この四年間で強行し削減したのは218事業二十六億一千三百万円にものぼります。民生費は増やしていると言いますが、生活保護や児童手当など扶助費を引くと民生費は六年前に比べ64億円も減らされています。受益者負担の名のもとに、スポーツ施設の駐車場の有料化、介護施設での給食代、毎年の国民健康保険の値上げなどことごとく区民に負担を求めてきました。一方、この四年間で新たに溜め込んだ基金は百八億円。まさに区民に痛みを押し付け、溜め込んだといわざるを得ません。しかも特定目的基金残高は二十三区の中でも五番目、用地取得基金含め五百五億円という多さです。
 ためこみをやめ、基金も活用し区民福祉の向上にこそ、お金をつかうべきではありませんか、伺います。
 またアウトソーシング基本方針をつくり、民間委託など、区民の反対をよそに強行してきたことも問題です。官から民の弊害は、郵政民営化、耐震偽装、プールでの事故などでも明らかになったように民間マル投げで住民の安全と安心を脅かすものです。
 職員削減では、この十年間で1010人も削減。約三千人の現在の職員の三分の一を削ったことになりますが、職員数に対する削減率では今年二十三区中最大です。その結果、こどもの健やかな成長を守る児童課では正規職員より非正規職員のほうが多くなってしまいました。民間委託された学校給食ではチーフとサブチーフ以外はパートやアルバイトというように多くの不安定な雇用を拡大してきたのです。また民間化された高齢者施設では、職員を削らざるを得なくなっています。
 行政が無駄を省くことは当然ですが、本区のようなコスト最優先でいけば結局「福祉は人」の原則を踏みにじり住民の福祉を守ることさえ投げ捨てることになっているではありませんか。
アウトソーシング基本方針の撤回を求めますが、伺います。
国や都の言いなりはやめ、溜め込んだ基金は区民のために使い、区が責任をもって区民の暮らしを守る、そのことを強く求め次の質問に移ります。
 第二の質問は、障害者自立支援法の実施に伴う問題についてです。
 先の本会議質問で菊池議員の応益負担を見直すことを求めた質問に対し、区は、「利用料負担をすることで制度を支える一員となってもらう」などと、あたかも障害者が社会参加するにはお金を払うのが当たり前という考え方を示しましたが、とんでもない認識といわざるを得ません。車椅子を押してもらう、トイレの介助をしてもらう、人として当たり前に生きるには介助が必要な障害者は、払うお金がなければ社会で生きていくことかできなくなってしまうではありませんか。また政府が持続可能な制度にするためだと、盛んに応益負担の弁解をしていますが、制度が続いても障害者の生活が続けていけないという事態がおこるということが、この数ヶ月の実施でもはっきりしているのです。例えば、江東区内の通所施設利用者280人の場合、国の減免はたった17%にとどまり一般世帯は六割以上で大きな負担となって「障害者にとって一割負担は一割ですまない」「生活寮と作業所とヘルパー利用で毎月11万1600円かかる。これでは利用を控えざるを得ない」「福祉が人を苦しめるとは思わなかった」という区内の障害者や家族からは切実な声が上がっています。NPO法人の全国調査では障害者世帯の86%が利用料制度の見直しを求めています。行政がこれ以上障害者を痛め続けることが許されるのでしょうか。直ちに障害者自立支援法の応益負担の見直しと制度の再検討を国に強く求めるべきと思いますが、伺います。
 いま区政に問われているのは、国といっしょになって弱者切捨て・社会保障の改悪を進めるのか、負担軽減を図り障害者の暮らしを守るのかということです。わが党がこの間くり返し求めてきた施設補助と給食代補助を実施したことは前進です。しかし障害者の日常生活を支えていくには不十分です。福祉サービスの利用料を3%に軽減する荒川区など、他の自治体では障害者の声を受け様々な負担軽減策を講じています。区の昨年十二月に実施した障害者実態調査のまとめでは、「医療費の助成や福祉サービスの利用にあたっての低所得者への配慮など経済的負担の軽減・支援に努めていくことが求められている」と必要性は認めているのですから本区として自立支援医療や福祉サービス、補そう具の負担軽減策をこうずるべきではありませんか、伺います。
本区の場合、多くの小規模作業所が障害者の働く権利と生活を支えてきましたが、施設の新体系への移行で悩みを抱えています。介護給付や訓練給付の施設では利用者の要件が厳しく、地域活動支援センターでは補助金が低すぎるなどの問題の解決なしには移行できません。中途障害者や精神障害者は利用料負担が発生すれば施設に行かず引きこもってしまうのではないかという不安も広がっています。こうした問題を区はどう考えているのですか、障害者が不安なく引き続き通所できるよう区として責任を持って支援することを求めますが、伺います。
 第三の質問は、保育園の待機児解消と保育料についてです。
 いま来年度の保育園募集が行なわれていますが、募集人員を見て「仕事をあきらめるしかないのか」という声が私のところに寄せられました。十月一日現在の待機児は、すでに969人となっています。来年度募集を見る限り認可園の増設は、豊洲の2園のみ。既成市街地の増設は認証まかせで、これでは待機児解消になりません。民間委託を受け入れる認可園があるのなら増設にこそ活用し、区が責任をもって認可保育園の増設を具体化すべきです。いったいいつ、どこにつくるつもりですか、まず伺います。
 認証保育園に子どもを預ける親達からは、「今の保育料補助は助かるけれど、大変」「認可保育園までのつなぎだと思って頑張っているが、厳しい」「毎月十一万七千円の三人の保育料で自分のパート代はすべて保育料で消えてしまうが、専門職の知識や技能を継続して身につけておかなければと必死」などの声が寄せられています。認証の場合、第二子減免などなく負担が大きいのが実態です。無認可保育園の保護者に対する補助の拡大をすべきと思いますが、伺います。
 区は、先の本会議で認可保育園の保育料について「利用している人としてない人の差、受益者負担の考え方から見直しを検討したい」と値上げを示唆していますが、とんでもありません。本区の保育を受けている子どもの世帯の一割は年収二百万円以下のBランクで、月十七万母子家庭の生活保護基準とほぼ同水準の家庭です。住民税課税世帯でも、家賃や住宅ローンなどで大変です。保育料の値上げはすべきでないと思いますが、伺います。
子育て支援で世田谷区など四区では第三子は無料にしています。中央区と渋谷区は保育料引き下げをしています。値下げの見直しをすべきと思いますが、伺います。
 民間委託も見直すべきです。豊洲保育園の経験でも「保育の質」を担保するには、財源はほとんど浮かないことがはっきりしました。結局公立保育園の民間委託は保育士全員の入れかえで幼い子ども達にストレスをあたえただけではありませんか。コスト削減を目的にした区立保育園の民営化は、行政の責任放棄です。公立保育園の民間委託方針の撤回を求めますが、区の見解を伺います。
 最後の質問は、学校教育についてです。
 いじめによる子どもの自殺が全国で相次ぎ、深刻ないじめの実態が明らかになっています。本当に胸が痛みますが、本区にとっても他人事ではありません。教育委員会が把握しているだけでも、江東区の学校で昨年小学校9件、中学校13件いじめがありました。
不登校の子ども達も理由が様々ですが、小中あわせて実に330人にもなっています。楽しいはずの学校で絶対あってはならない「いじめ」が起きている、毎日通う学校に一ヶ月以上も行くことができない子ども達がたくさんいる、これはまさに教育の異常事態です。区教育委員会は、この事態をどう考えているのか、まず伺います。
 なぜいじめが起こるのか、なぜ不登校になるのか、道徳心や家庭の問題、先生の問題など色々言われていますが、そのおおもとには学校教育において子どもたちを競争においたて「勝ち組」「負け組」にふるいわける、競争教育がこどもたちに強いストレス・抑圧感を与えているからではないでしょうか。政府の補助金を受けて実施された2003年の全国小中学生の『抑うつ傾向』調査でも平均で13%、中学3年生では30%がうつ病になるリスクをかかえているという欧米と比べても二倍という異常な結果が出されています。「生きていても仕方ないような気がする」「疲れる」など子ども達は心の叫びを訴えています。子ども達ばかりではありません。先生も先生同士を競争させ校長が評価する人事考課制度の中で、チームワークで子ども達の教育に当たる土台を壊されてきています。また子を持つ親の関心も、いやでも競争に勝つことに目が行き、自分の子は「負け組」にしたくないと、何かおかしいと思いながらも、地元の学校をよくしようというより、必死で学校を選択したり、塾通いを進めています。
 いま高校の未履修問題が中学校にまで及んでいることが明らかになってきましたが、この問題も根っこには、過度な競争教育の中で、受験優先が進められている結果です。子ども達に強いストレスをあたえ、学校教育をゆがめている競争と管理の教育を改善することこそ、いま求められていると思います。そこで具体的に伺います。一つは一斉学力テストについてです。
 いま東京都で行なっている一斉学力テストでは、各区の成績が公表されていますが、公表されることにより、下位の区の子ども達は「うちの区は馬鹿な区」と言い、またある子は「自分が足を引っ張りたくない」とテストを休むなど、子どもの心を傷つけています。テスト漬けになってテストでいかによい点数を取るかという対策に追い立てられている学校も生まれています。テストのプレッシャーに加え、授業時間が増えるなどあって子どもたちはイライラしています。自分が解からないところを見つけて学習を深めるテストでなく、競争によってよい点を取ることに追い立てられる一斉テストはやめるべきではありませんか、伺います。
 本区の教育委員会は、「学力テストの学校別結果を公表することは、学校の差別化を生みかねない」として実施していませんが、すでに学校の一部には、学力テストの結果を自主公開しています。自主公開が広がれば学力テストではかれる学力だけが一人歩きし学力テストの成績が高い学校が「いい学校」、成績を公表しない学校は「悪い学校」となりかねません。学校別結果公表は直ちにやめるよう指導すべきと思いますが、伺います。
 つぎに学校選択制について伺います。すでに大規模校と小規模校のかたよりが出ています。区は選択制以外の原因だと、もともとの地域性かのように言っていますが、今年の中学校の選択制結果を見ると、学区の半分以上の子どもたちが他学区を選択している所が五校にもおよび選択制が学校間の格差をいっそう拡大しているのは事実です。こうした中で「特色ある学校づくり」が奨励され学校同士で競うようになれば、今目の前にいる子ども達にとって最善の学校づくりより「選ばれるための」取り組みが重視されてしまい、学校に隠ぺい体質や子ども達への選別意識も生まれかねません。結局学校を選択するのでなく子どもが選択されることにつながるのではないでしょうか。学校間格差を拡大する学校選択制は見なおすべきではありませんか、伺います。
 競争教育の抜本的見直しこそ求められているにもかかわらず、さらに競争と管理の教育を強めようというのが、安倍首相の教育再生プランであり、教育基本法改正案です。法案そのものが重大な問題をかかえ、タウンミーティングでの「やらせ」問題の責任をうやむやにして、慎重審議を求める世論に背を向け、数の力で政府与党が国会のルールも無視して衆議院で強行採決したことは、もっとも反教育的な暴挙であり、絶対に許せません。政府に対し、改正案の撤回を求めるべきと思いますが、見解を伺います。
 人をけおとす競争ではなく、子どもが互いに学びあう、助け合う人間関係をつくる、探究心を育てあう、まさに教育基本法の着実な実践こそ、本当の学力が培われ、思いやりが育つ人格の完成への道だということを強く申しあげて私の質問を終わります。

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