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2007年第4回定例会-そえや良夫議員(介護保険 子どもの放課後 中小企業)

  1. 介護保険制度の改善について
  2. 子どもの放課後対策について
  3. 中小企業対策と江東さざんかカード事業について

 第1は、介護保険制度の改善についてです。
 軽度要介護者の家事援助に一律に上限が設けられたことで、高齢者の自立どころか、閉じこもり状態をひどくしています。また、訪問介護において、「外出介助は通院以外認めない」など都の勝手な規制強化で、一緒に買い物することもできなくなりました。現場で働くヘルパーは、「会社の時間管理も厳しくなり、希望の料理をつくってあげられないなど、人間らしい介護ができない」と告発します。家事援助などの充実は、引きこもりをなくす効果もあり、認知症の予防や孤独死を減らす上でも重要です。墨田区などでは、病院帰りの買い物について、「合理的な理由があれば」などの条件つきで認めています。本区でも「病院帰りの買い物」を訪問介護の一部と認めるべきです。伺います。
 介護の現場で広がる深刻な事態に、渋谷区では、「昨年の介護保険法改正による給付抑制が区民に影響を与えている。不都合な部分を区の施策で修正したい」として、要支援2の利用者に対し、1時間半に制限されていた家事援助の時間を2時間から2時間半まで上乗せするなど、5種類の独自の追加サービスを来年1月から実施すると決めました。 本区でも軽度要介護者に対する区独自の家事援助サービスを実施すべきです。また、国に対し、一律の制限を改めるよう求めるべきです。伺います。
 次は、日中独居高齢者の問題についてです。
 同居家族がいる要介護高齢者への生活援助について、政府答弁は、「家族が健康であって家事ができる状態でも、仕事などで日中、要介護高齢者がひとりとなる場合は介護保険給付の対象になる」と明快です。さらに、「自治体が一律に規制することは好ましくない。介護保険の仕組み上からも、現場のケアマネジャーが妥当と認めたものは支給する」と答えています。区は前定例会で、我が党の議員の質問に、「正確な理解が進むよう周知に努める」と答えています。それは政府答弁と同じ立場で行うものと理解しますが、確認を求めます。
 また、豊島区では、同居家族がいても生活援助ができることを事業所に文書で示しています。本区でも文書で示すべきです。あわせて伺います。
 また、軽度要介護者に対する給付の抑制は、介護の支え手にも大きな打撃となりました。東京都社会福祉協議会が行ったアンケート調査では、昨年4月以降、経営が厳しくなったとする事業所が84%に上り、ヘルパーの労働環境の切り下げで乗り切ろうとしていると指摘しています。また、直行直帰の登録型のヘルパーは、移動時間が労働時間として認められないため、4割が収入減になりました。ケアマネジャーも利用者と役所の板挟みになり追い詰められる、高い専門性の割に給与が低いなどの理由でやめていくといいます。介護を支える専門職としての人材確保と育成を進めるためにも、国に対し、介護従事者の処遇改善を図るよう直ちに求めるべきです。伺います。
 次は、地域包括支援センターの強化についてです。
 地域包括支援センターは、高齢者虐待の防止や高齢者についての多様なニーズや相談受付、困難を抱えるケアマネジャーの相談など、高齢者支援の中核組織として設置されました。しかし、本区の地域包括支援センターでは、1人で月70件から80件もの介護予防ケアプランの作成に追われ、他の業務を圧迫しています。こうした事態に区は、「事業者に職員の増員を要請する」としていますが、人員増に見合う補助がなければ、事業者は給与支払いに必要な収入を上げるため、結局、1件当たり4,000円の予防プラン作成に追われるだけです。増員を求めるならば、それにふさわしい補助金の増額を行うべきです。伺います。
 また、地域包括支援センターは、主任ケアマネジャー、社会福祉士、看護師の配置が義務づけられ、介護、医療、福祉などの連携をとり、地域の高齢者のあらゆる相談にこたえ、生活を総合的に支える拠点とされています。介護疲れによる虐待や、ひとり暮らし高齢者がふえているもとで、地域で要介護高齢者が孤立することなく住み続けられるよう、地域包括支援センターの拡充は急務です。少なくとも出張所ごとに1カ所となるよう緊急に整備するとともに、より身近なところで相談できるよう、さらに増設すべきです。その際、全体の中核となる区直営の基幹型地域包括支援センターを設置すべきです。あわせて伺います。
 第2に、子どもの放課後対策について伺います。
 学童クラブについて、働く親たちは、「学童保育でなければ安心して預けられない、安心して働けない」と学童保育の制度化や設置、拡充を長年求めてきました。こうした親たちの願いが実り、1997年の児童福祉法改正で法制化されました。さらに、ことし10月、家庭にかわる毎日の生活の場を保障するため、育成室の広さの最低基準などを定めたガイドラインも策定されました。これは、放課後子ども教室が育成室など特定の施設も持たず、すべての子どもを対象に放課後の居場所を確保するとしているのに比べ、その目的も、内容の違いも明らかです。放課後子ども教室を学童クラブのかわりにすることはできません。認識を伺います。
 今、本区では、人口急増と働く女性の増加で、学童クラブへの入会希望者がふえ続け、4月の年度当初から定員いっぱいで、年度途中の加入申請にこたえられないというクラブがいくつもあります。また、保護者や職員から詰め込みと指摘されるほどのぎゅうぎゅう詰めで、あるクラブでは、昼寝の際、隣の子どもと体がくっついて落ち着いて休めないからと廊下で寝た子もいたといいます。区は育成室の広さを1人当たり1.5平方メートルとしてきましたが、厚生労働省のガイドライン「おおむね1.65平方メートル以上」に足りません。育成室が「子どもたちが休息し、静養もできる生活の場」としての役割を果たせるよう、早急に現在の基準を見直すべきです。伺います。
 また、自分が通う小学校区にクラブがなく、別の学校に設置されたクラブに通わなければならない子どもがいます。移動の距離と時間が長くなり、事件・事故に巻き込まれる危険が増加します。子どもたちに安全な放課後を保障し、また、落ちついた人間関係を育てられるよう、学童クラブを速やかに増設すべきです。伺います。
 次に、放課後子ども教室についてです。
 子どもをめぐる痛ましい事件などが繰り返される中、放課後の安全・安心な子どもの居場所確保は、日中、親が家にいる家庭でも切実な要求です。こうした親の要求を受け、本区では、げんきっず八名川を他に先がけて運営してきました。子どもたちにも好評と聞いていますが、それには学校の事情や子どものことを知り尽くした専任指導員と他の指導員とのチームワーク、学校長を初めとする教職員や父母、さらに、地域関係者の強力な支援があったとのことです。ところが、10月に開設した2つの放課後子ども教室は、この間の教訓を検討もせず、短期間に立ち上げました。そのため、現場では、学校の本来業務に対する影響や、雨の日の子どもの居場所はどうなるなど、心配する声が上がっています。
 学校施設を使うならば、設置に当たっては、少なくとも学校関係者と十分な調整を図りながら進めるべきです。伺います。
 また、円滑な運営のために学校ごとに保護者、教職員などによる運営委員会をつくるべきです。あわせて伺います。
 放課後子ども教室も多くの関係者が共同してつくり上げていく事業です。ところが、区は、新たに開設した2つの放課後子ども教室を民間企業に委託しました。受託した株式会社日本保育サービスは、学童保育を今後の大きなビジネスチャンスと位置づけ、株主に30%配当することを基本方針だとしています。将来を担う子どもたちの健全育成にかかわる事業をこのような高利潤追求型の営利企業に丸投げしていいのでしょうか。既に民間委託をした渋谷区では、指導員がくるくる変わるため、子どもとの人間関係をつくれない、子どもがいつ帰ったか気がつかないなど、子どもの安全にかかわる重大な事態も起きています。子どもの健全育成と安全にかかわる事業は公設公営で行うべきで、民間丸投げはやめるべきです。あわせて伺います。
 最後に、中小企業対策と江東さざんかカード事業について伺います。
 中小企業は、その営業活動を通じて地域コミュニティの中心としての役割を果たし、また、消防団や町会活動など、さまざまな地域貢献をしてきました。しかし、今や全売り場面積の8割にも達するほどの大型店の出店や、大企業の中小企業に対する単価切り下げなどの影響で、その経営は長期にわたり大変な状況が続いています。さらに今、原油価格高騰の影響がトラック運送業界を初め各業界にコスト上昇をもたらし、経営を圧迫しています。私たちは、こうした中小企業の実態も示しながら、中小企業振興基本条例を制定し、支援強化を繰り返し求めてきました。区が条例制定の準備を進めていることは新たな前進です。
 ところで、この条例に血が通い、生きた力を発揮するためには、つくる過程で条例を区民自身のものにするための特別の努力が必要です。隣の墨田区では、条例制定に当たって、係長以上の区の職員が町に出て、製造系の9,000の事業所の実態調査を行いました。また、条例に大企業の地域経済に果たすべき責任も明記した千葉県では、県内の各地域に県職員が出向き、中小企業経営者から直接要望を聞く地域勉強会を行いました。こうした中で、中小企業家から「自分たちが参加してつくった条例だから、もっとよいものにしたい」との声が出たといいます。
 ところが、本区では、わずか3回の会議で取りまとめまで終了です。実態調査も、きめ細かく区民から要望を聞く場もありません、このままでは、つくっただけということになりかねません。本区でも区職員を先頭に悉皆調査を行うなど、実態調査にまず力を尽くすべきです。
 また、各地域ごとや業種ごと、消費者団体など幅広い団体、個人との懇談会などを実施すべきです。伺います。
 さらに、できた条例に魂を入れるための継続した努力が必要です。隣の墨田区では、区内の産業人と学識経験者、区職員とで構成する産業振興会議をつくり、施策を進めてきました。その中で、中小企業センターなどがつくられ、技術の向上と製品に対する信頼確保に大きな力を発揮したと報告されています。条例を生かし、実施するための組織を設置するよう求めます。伺います。
 最後に、江東さざんかカード事業と商店街支援について伺います。 区が来年4月実施に向け準備を進めているさざんかカード事業について、まちの中では、「社会貢献の事業というのにおれたちばかりに負担を求めるのはおかしい」「対象者が事実上不特定多数で負担が重過ぎる」との声が圧倒的です。さらに、「既に子ども料金を設定し、割り引きしている」「目玉商品や特売日等を設定して顧客サービスを行っている」「お客とのトラブルが心配」などの声も寄せられています。こうした町の声を無視しての4月実施は、慎重に見直すべきです。伺います。
 商店では、区内共通商品券をもっと普及してほしいとの声が寄せられました。江東区商店街連合会は、プレミアムつきのときだけでなく、通常の発行に当たっても印刷代の補助を求めています。装飾灯への電気代補助引き上げは、売り上げが少なくなっているもとで商店街から歓迎されています。隣の江戸川区では全額補助をしています。こうした商店街の願いに沿った支援策こそ強化すべきです。あわせて伺い、質問を終わります。(拍手)

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