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2008年第2回定例会-すがや俊一議員(介護保険 中小業者 ごみ)

  1. 介護保険制度の改善について
  2. 中小業者への支援強化について
  3. ごみ問題について

 日本共産党江東区議団を代表いたしまして、大綱3点について質問いたします。
 質問の1点目は、介護保険制度の改善についてです。
 政府・与党による社会保障抑制策のもとで、介護報酬の削減を初めとする介護保険制度改定によって、介護現場では、今深刻な事態となっています。
 介護事業者団体の調査によると、事業者の7割以上が「運営が難しくなっている」とし、財団法人介護労働安定センターの調査では、介護施設などの職員が1年間で5人に1人が離職。特に東京23区での離職率が高く、マスコミでも、赤字経営が広がる中で人材確保ができず、一部閉鎖する介護施設も出ていると報道し、介護従事者の低賃金と劣悪な労働条件を招いた介護報酬削減が最大の原因だと指摘しています。
 特別養護老人ホームの夜勤では、1人の職員で20人以上もの入所者を世話するなど、激務にもかかわらず、常勤介護職員の平均月額給与は22万円余、全労働者平均の6割という低さです。さらに、身分が不安定な非正規雇用も増大するなど、まさに介護体制の危機と考えますが、区長の見解を伺います。
 相次ぐ介護報酬削減の結果、厚生労働省による特別養護老人ホームの経営調査でも、年収が平均で2,000万円減収し、都内特別養護老人ホームの施設長も「安心して働き続けることができなければよいサービスはできない。努力に報いる報酬が必要」だと訴えています。介護報酬引き上げとともに、公費による月額3万円の賃金上乗せを国に求めるべきです。伺います。 その際、介護報酬引き上げが介護保険料・利用料の負担増にならないように、国庫負担を現行の25%から30%にふやし、利用料の減免制度を国として拡充するよう求めることが重要だと考えます。区長の答弁を求めます。
 区内の特別養護老人ホームでも、必要な介護職員の確保ができずに入所定員割れが起こるなど、人材確保に向けた緊急対策が必要です。千代田区では、職員確保に向けた賃金助成等の支援を始めています。保険者である区として区内介護施設への調査を行い、必要な支援を行うことを求めます。また、都に対しても、介護施設への人件費補助制度の復活を求めるべきです。伺います。
 2006年の介護保険制度改悪によって、介護予防給付となった軽度要介護者への利用制限も深刻です。江東区介護支援専門員協議会が、平成19年度に実施したケアマネジャーに対するアンケート調査によれば、介護予防給付では、「介護利用者が希望しても必要な介護サービスを制限せざるを得ない」が多数であり、介護の専門家としての裁量権拡大や必要な介護が受けられるよう制度改善を求める声が切実です。区は国に対し、介護給付抑制を改めるよう制度改善を求めると同時に、財政制度等審議会が示した新たな介護給付抑制や利用者負担増の方針は言語道断であり、撤回を求めるべきです。伺います。
 港区や墨田区、渋谷区では、軽度要介護者に区独自の介護支援を実施しています。渋谷区の利用料負担は1時間200円ですが、本区の社会福祉協議会による「ふれあいサービス」での介護利用料は、1時間850円であり、3時間の美容院介助で利用した区民から「負担が重くて利用できない」との声が寄せられています。本区でも独自の介護支援を直ちに講じるよう求めます。伺います。
 介護保険料・利用料負担の軽減拡充も緊急課題です。
 住民税増税に伴う保険料負担増も過酷です。年金158万円でひとり暮らしの80歳になる区民は、平成17年度の年額介護保険料2万9,700円が毎年上がり続け、平成20年度では5万7,000円へと、年金が減る中で約2倍に増大。さらに後期高齢者医療保険料が加わり、「生活が苦しい、保険料の負担を減らしてほしい」などの生活相談が絶えません。
 保険料の激変緩和措置を平成20年度に継続しつつ、さらに低所得者の保険料を2割軽減した区もあります。区として新たな保険料負担軽減の実施を求めます。伺います。
 また、来年は介護保険料の改定となります。約13億円が見込まれる介護給付費準備基金を活用して保険料負担を軽減することを求めます。
 同時に、一部高額所得者への保険料負担適正化など、応能負担の原則による保険料区分の多段階化を図り、低所得者の保険料を軽減することを提案します。伺います。
 社会福祉法人による低所得者への介護利用料負担軽減制度についても、本人負担割合を現行の7.5%から5%へ、区独自に引き下げるよう求めます。あわせて、ケアマネジャーからも要望が出ているデイサービスでの食費補助の実施を求めます。伺います。
  2点目は、中小業者への支援強化について伺います。
 国際的な投機マネーによる原油の先物取引によって、史上かつてない原油高騰が続き、ガソリンなどの石油製品や原材料等が値上がりし、食料品などの諸物価値上がりによる消費低迷も加わるなど、今、中小零細業者の経営が逼迫しています。
 ことし1月から3月期における本区の「中小企業の景況」でも、原材料の高騰を大きく受けた印刷・製本などの製造業を初め、建設業や小売業、サービス業などの景況が一段と悪化し、資金繰りも厳しく、今後もその傾向が強まるとしています。原油高騰と区内中小業者が置かれている現状について、区はどのような認識を持っているのか、伺います。
 「地域経済活性化基本条例」を持つ区として、中小零細業者への支援強化が求められています。しかし、区は、国の原油高騰支援策の利用を紹介する程度で、独自の支援策を行う予定がないと聞いています。足立区では、石油高騰による現状把握調査を実施し、公衆浴場に緊急支援を行いました。港区では、事業者の利息負担を0.1%とする「原油高騰対策緊急特別あっせん融資制度」を始めています。区職員による把握調査を直ちに行い、支援策を検討するべきです。伺います。
 区の出先機関から随意契約で仕事を受注している区内印刷業者からは、インクや紙などの印刷資材が、ことしに入って15%前後も値上がりし、「採算がとれない、発注単価を上げてほしい」との要望が出ています。随意発注を行う庁内各課や出先機関に対し、区は、資材高騰分など必要な財政措置を講じるべきです。
 また、「小規模企業特別資金融資」については、事業者の利子負担1.5%を大幅に引き下げることを求めます。伺います。
 公共工事における建設業者の育成強化も必要です。
 建設業の倒産がふえる中、最近の区内公共工事で、3次下請の区内業者が2次下請業者から2,600万円の不払いを受ける事件が起きています。今回の事件に限らず、2次以下の下請間契約では、契約書ではなく「注文書や請書」などの簡易発注も多く、不払い問題の解決に向けて障害になっており、下請業者を抱える関係団体からは、公共工事での契約等のあり方について改善を求める声が強まっています。下請業者への保護育成を図るためにも、本区の公共工事に携わる末端下請業者までを対象に、「元請・下請契約等に関する実態調査」を行うよう求めます。伺います。
 国分寺市は、「市の調達に関する基本指針」を策定し、公平で公正な入札・契約制度の確立に向けた目標を定め、元請・下請間の適正手続への手だてを講じることを「市の責務」としています。
 本区も「調達に関する指針」を策定し、区発注工事においては、末端下請業者までの「下請契約一覧」と「工事代金支払状況確認表」並びに、末端労働者の氏名と建退共証紙貼付を記載した「建退共証紙貼付実績書」などを、「工事完了届」と同時に元請業者に提出させることを提案いたします。伺います。
 今、建設資材が高騰するもとで、東京都が発注する公共工事の入札契約において「不調」となるケースが急増し、大きな問題となっています。都はその対策として、工事契約後に建設資材が値上がりした場合、その分を工事費に上乗せして支払うことを検討しています。本区でも、都と同様の措置をとるべきと思いますが、伺います。
 地域経済活性化の一環としての観光振興も重要です。
 我が党区議団が視察した帯広市では、平成17年度から市職員などによる2年間の中小企業実態調査を重ねつつ、昨年4月に「中小企業振興基本条例」を改定し、「市長の責務」として中小企業振興のための指針づくりが定められました。
 それにより、市と中小企業者、市民等が協働して4つの専門部会からなる「中小企業振興協議会」を立ち上げ、指針となる「産業振興ビジョン」策定に向けた協議を旺盛に進めています。
 その中の交流部会では、観光振興のビジョンづくりの検討が行われ、観光資源やイベントの開発・拡充、物産・食観光等の推進方向の提案が行われています。
 現在、本区では、江東区中小企業活性化協議会を設置していますが、区民や消費者団体、学識経験者、専門家等を加えるなどの体制整備の充実が必要です。そして、本区特有の門前町や文化財を初め、「水彩都市・江東」にふさわしい観光振興の基本方向と具体案づくりを進めるために、専門部会設置を提案するものです。区の見解を伺います。
 3点目の質問は、ごみ問題についてです。
 ことし5月に区長会は、23区の可燃ごみ処理問題について、2010年度より「負担金制度」を導入することで合意しました。自区内でごみを処理しきれない区が、ごみを引き受けた区に負担金を支払うもので、23区中最大のごみ処理を行う本区には、年間で2億円以上の収入が見込まれています。
 同時に清掃工場を持つ区についても、一定の処理基準を設定し、ごみ焼却量を平準化していくことが盛り込まれるなど、ごみ処理費用や迷惑負担の公平を図るという点では評価するものです。
 一方、今回の負担金制度は、23区が今後10年間に20%のごみ減量を達成すれば、負担金が解消される暫定措置とのことですが、20%のごみ減量を各区が進めていく実行性をどう担保していくのか、伺います。
 本区自ら、20%のごみ減量を早期に達成するなど、先進区としての役割を発揮し、区長会等を通じて各区にごみ減量推進を求めていくことが重要と思いますが、区の方針について伺います。
 また、負担金収入の使途については、予定されている環境対策基金への積み立てだけではなく、ごみの減量対策推進にも積極的に回すべきだと思いますが、区の見解を伺います。
 この間我が党は、廃プラスチックを焼却するサーマルリサイクルは、ごみ減量化に逆行し、未解明の有毒物質排出の危険性などを指摘し、見直すことを繰り返し求めてきました。前回我が党議員の「CO2排出の増大で地球温暖化防止と相反する」とした本会議質問で区は、「廃プラスチック焼却で温室効果ガスはふえるが、埋立地から発生するメタンガスが減り、実質的には微増」だと述べ、推進の立場を変えていません。
 しかし、マスコミの報道では、国立環境研究所の専門家によれば、「廃プラスチック埋め立て中止によるメタンガスの抑制量は研究が不十分であり、相殺効果を示すのは困難」と指摘しています。CO2削減などの地球温暖化防止に逆行するサーマルリサイクルは中止するべきです。伺います。
 地球環境保全に向けて、廃プラスチックなどの資源ごみの分別回収を促進するべきです。23区の取り組みでは、新たに中央区が分別回収を行うなど、13区へと拡大しています。資源ごみの発泡トレーや容器包装プラスチックは、区内全集積所による回収とすることを求め、私の質問を終わります。(拍手)

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