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2008年第2回定例会-大つきかおり議員(高齢者医療 築地市場 保育)

  1. 後期高齢者医療制度について
  2. 豊洲の築地市場移転用地の土壌汚染について
  3. 保育施策の充実について

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱3点について、区長並びに関係理事者に質問を行います。
 第1は、後期高齢者医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度に対する怒りの声が、全国で巻き起こっています。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出され、保険料は年金天引き、そして安上がりの差別医療を押しつけられるなど、こんなひどい制度はありません。
 江東区役所へも4月1日からの1カ月間だけで、7,200件もの苦情、問い合わせが殺到し、高齢者からは「勝手に天引きするのは許せない」「年寄りは早く死ねということか」「だれがこんな制度をつくったのか」などの声が寄せられています。
 区内に住む75歳のご夫婦は、後期高齢者医療制度になって、これまでよりも年間1万4,493円も負担がふやされました。妻の保険料が1万8,900円引かれるようになったためです。夫婦の年金は、月約12万円で、介護保険料と後期高齢者医療保険料を差し引くと手元に残るのはわずか11万円です。これでは生活できないので、朝5時過ぎに家を出て2人でビルの清掃をして働いているそうです。少ない年金で頑張っている高齢者からも、いや応なしに保険料が取り立てられているのです。
 批判の声を上げているのは、高齢者だけではありません。全都道府県医師会の6割を超える30都府県の医師会が「75歳で線を引くのはおかしい」「患者が十分な医療を受けられなくなる」と反対や見直しの意見を表明するなど、医療関係者からも批判の声が上がっています。
 山崎区長は、「国の周知は遅かった」と述べていますが、政府が説明すればするほど怒りが広がっており、国民の怒りは制度そのものに対するものです。改めて、区長はこの怒りの声をどう受けとめているのか、伺います。
 政府は国民の怒りの前に、早くも制度の見直しを行おうとしています。しかし、制度の根幹をそのままに、いくら小手先の見直しを行っても問題を解決することはできません。
 まず、第1に、命と健康にかかわる問題で、お年寄りを差別するという考え方そのものが間違っているからです。政府は、医療費総額を抑制するために「高齢者にふさわしい医療を提供する」という口実で、検査や治療を受けにくくする定額制や、高齢者を病院から追い出すための「後期高齢者退院調整加算」、延命治療を控えめにするための「後期高齢者終末期相談支援料」を導入しました。いずれも75歳以上の人だけを対象としたものです。医療費削減を目的にして、75歳以上の高齢者を差別することはどんな理由があっても許されないことです。区長の認識を伺います。
 第2に、後期高齢者医療制度は、存続すればするほどあらゆる世代に負担増が押しつけられるからです。後期高齢者医療制度では、保険料は、2年ごとに見直しが行われ、75歳以上の人口がふえれば自動的に値上がりする仕組みとなっています。
 現在、年間7万2,000円の全国平均の保険料は、団塊の世代が75歳になる2025年には、年間16万円、今の2倍以上にもなってしまいます。
 また、政府は、世代間の公平などとあたかも現役世代の負担が減るかのように言っていますが、組合健保や政府管掌健保からの後期高齢者支援金は、これまでの老人保健制度への拠出金より増額されており、現役世代にも負担増が行われております。
 区長はこれまで医療制度を持続するために、この制度改正は不可欠との答弁を行ってきましたが、あらゆる世代に際限ない負担増と医療の切り捨てを求めることが、安心できる医療と言えるのでしょうか。区長の認識を伺います。
 高齢者を差別し、すべての世代に重い負担増と医療の切り捨てを押しつける後期高齢者医療制度は、直ちに撤廃すべきです。区長の見解を伺います。
 日本の医療費はGDP比8%と先進国でも最低水準です。一方で、総医療費に占める患者負担はドイツやフランスなどを大きく上回っています。国民が安心して医療を受けられるようにするためには、高過ぎる窓口負担の引き下げと保険医療の拡充こそ求められています。財源については、この間減税を行ってきた大企業や一部の高額所得者に応分の負担を求めるとともに、むだな道路づくりや軍事費にメスを入れれば、消費税の増税などまったく必要ありません。政府に対し、財政の抜本的な見直しと公的医療制度の拡充を求めるべきです。区長の見解を伺います。
 次に、豊洲の築地市場移転用地の土壌汚染について伺います。
 5月初め、築地市場の移転用地である豊洲の東京ガス跡地で、土壌から環境基準の4万3,000倍、地下水から1万倍ものベンゼンが検出されたことがマスコミ報道で明らかになりました。私ども日本共産党江東区議団は、党都議団とともに、直ちに現地調査を実施しました。
 東京都の専門家会議が、都民の食の安全を求める声に押され、昨年11月から新たに行ってきた4,200カ所の土壌汚染の詳細調査の結果は、発がん性物質であるベンゼンが土壌で4万3,000倍を最高に計35カ所、地下水は561カ所で環境基準を超え、環境基準では検出されてはならない猛毒のシアン化合物は、土壌で860倍を最高に、計90カ所、地下水は966カ所から検出されるなど、汚染箇所が全体の3分の1にも達するという驚くべきものでした。
 東京ガスが一度土壌処理を行っているにもかかわらず、このような想像を絶する汚染が明らかになったことについて、区長はどう受けとめていますか、改めて認識を伺います。
 東京都の専門家会議は、今回の結果を受け、新たな対策を提言しました。しかし、今回の調査では、土壌の深い部分での調査が不十分な上、土壌処理も自然由来とされるヒ素や鉛は対象とされず、環境基準を超えたまま残されることになります。また、地下水も工場排水の基準までしか処理されません。
 専門家会議の調査方法の不十分さを当初から指摘してきた日本環境学会の会長は、「地下の土壌汚染はもっとひどいはず」「地下水はかなり広範囲に汚染されており、汚染が局所的だという専門家会議は、科学的検討が足りない」と批判の声を上げています。
 専門家会議の座長も、「地下水のリスクをゼロにすることは難しい」と述べていますが、土壌をいくら改良しても汚染された地下水が移動することなどによる土壌の再汚染は避けられません。今回の東京都の調査や対策では、汚染が完全に浄化することはできず、生鮮食品を扱う市場の安全が確保される状況にはありません。区長はこうした問題をどう認識しているのですか、見解を伺います。
 東京都は、土壌汚染の対策費用を、これまでの670億円の約2倍、1,300億円を超えると見込んでいます。既に東京都は、豊洲埠頭の護岸整備、用地取得で980億円を投入していますが、今後、汚染された土地を買うために1,650億円もの財政をつぎ込んだ上、土壌処理のためにさらに莫大な費用が必要となるわけです。
 そもそも都が市場の移転に固執する背景には、築地市場が、銀座や汐留に隣接する都心に残された最大の大規模用地であり、石原都知事が進めてきた都市再開発、いわゆる「都市再生」の目玉だと考えているからです。しかし、石原都知事も今回の結果を受け、築地市場跡地へのオリンピックのメディアセンター整備の見直しや築地の現在地での再整備についても検討を行うことを示唆しています。
 また、市場開設の認可を行う農林水産省も、我が党国会議員の質問に対し、豊洲での市場開設を認可しないこともあり得るとの見解を示しています。これまで東京都は、築地の現在地整備は困難としてきましたが、大阪市の中央卸売市場でも営業しながら現在地での再整備を行っており、築地でも十分可能です。
 安全性が確保できない豊洲の東京ガス跡地への築地市場の移転については、江東区長としても受け入れを白紙撤回すべきです。また、東京都に対し移転の撤回を求めるべきです。あわせて区長の見解を伺います。
 最後に、保育施策の充実について伺います。
 この間の政府による雇用の破壊によって、若い世代には高い失業率と不安定な非正規雇用が増加し、家庭を犠牲にする長時間労働、女性がこどもを産んだら働き続けられない職場環境、子育て施設の不足など、依然としてこどもを産み育てることは大変な状況です。安心してこどもを産み育てるためには、政府はもちろんのこと、江東区政の果たす役割は重要です。
 特に江東区では、マンション急増により、子育て施設不足の深刻な状況が続いています。認可保育園を希望しても入れなかったこどもの数は、ことし4月時点で、675人にも及んでいます。認可保育園の整備計画数を抜本的にふやすなど、区民の希望にきちんとこたえた子育て施設の整備を行うべきではありませんか。とりわけ豊洲地区での緊急整備を行うよう求めますが、伺います。
 長時間労働や休みをとりづらいなどの状況から、延長保育や病後児保育の充実も切実な要望です。現在、延長保育は、区立保育園では41園中22園と半分程度しか実施されていません。必要な人的配置を行い、延長保育実施園を直ちにふやすべきではありませんか。伺います。
 また、病後児保育は、現在豊洲で1カ所、実施されているだけです。1日4名が定員のところ、平均2名の利用とのことですが、当日のキャンセルが多いためで、実際には希望してもいっぱいということが少なくありません。また、場所が遠くて利用したくてもできないという声も出されています。病後児保育実施施設の拡充を行うよう求めますが、区長の見解を伺います。
 ことし3月、株式会社が運営する荒川区の認証保育所「じゃんぐる保育園」が、認証保育所制度が発足して以来初めて認証取り消し処分となりました。じゃんぐる保育園では、義務づけられている専任の施設長が長期にわたり不在、開設申請書の職員名簿のうち5人は虚偽申請の疑いがあり、7人の保育士が必要なのに開設時は2人しかおらず、こどもたちは1カ月間近くも散歩に行けなかったそうです。また、調理室も狭く、食事を調理する条件があまりにも不十分な上、開設から1年は100円ショップで購入した塩化ビニルの食器で熱湯消毒もできず、ようやく変わった陶器製の食器も数が十分ではないなど、あまりにひどい状況でした。
 これまで社会福祉法人などが中心に担ってきた保育に、利益を上げることを目的とした株式会社が参入してきたことによって、本来必要な人件費や食材費が削られるなど、今まででは考えられないような事態が起こっています。
 今回の事態は、勇気ある元職員の告発によって明らかになりましたが、江東区でも亀戸の認証保育所で施設長が基準どおり配置されないまま運営されていたなど、都の検査では、都内の企業立の認証保育所の約半分で何らかの問題が指摘されています。
 認証保育所の指導、監督は都の責任ですが、年1回で、とても十分とは言えません。区もことしから人的配置の状況など直接、調査や指導を行っているとのことですが、検査項目をふやし、区としても保育の質を確保すべきではないですか。伺います。
 政府は今、保育分野の規制緩和を一層推し進めるため、保護者が認可保育園に直接申し込む直接契約制の導入や、認可保育園の全国一律の最低基準の廃止などの検討を始めています。しかし、直接契約制度の導入は、保育料の負担増や保育に欠けるこどもの保育が保障されなくなるおそれがあります。
 また、国基準の廃止により、こどもの生活と成長の場にふさわしい施設と質、安定した運営ができなくなることが懸念されます。いずれも、これまでの保育に対する国と自治体の責任を大幅に後退させるものです。政府に対し、導入を行わないよう求めるべきではありませんか。区長の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)

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