- 介護保険について
- 築地市場の再整備問題について
- 教育について
日本共産党区議団を代表し、大綱3点について質問します。
第1は、介護保険についてです。
介護保険制度が始まって10年がたちました。この間の3度にわたる制度の見直しは、改悪に次ぐ改悪で、「高い保険料は有無を言わさず取られるのに、必要な介護は受けられない」という声が広がるなど、介護保険の存在意義が問われています。
介護施設の不足も深刻で、本区の特別養護老人ホームの待機者は、5月1日現在で1,807人、入所定員の1.4倍です。今後、高齢者人口がさらにふえると見込んでいるのに、区の特別養護老人ホーム建設計画は向こう5年間で1カ所だけ、とても足りません。少なくとも毎年1カ所以上増設すべきです。
また、特別養護老人ホームの増設が保険料や利用料負担の増加を招かないよう、建設経費や運営費に対する国庫補助を国に求めるべきです。あわせて伺います。
小規模多機能型居宅介護施設や認知症高齢者グループホームがつくられ始めましたが、とても需要に間に合いません。建設費や土地確保に要する経費など、初期投資の重さが建設の障害となっています。建設に係る補助引き上げなど、負担軽減策を拡充すべきです。伺います。
次に、介護施設の利用料負担についてです。
月26万円の年金で暮らす夫婦は、夫はがんで長期入院し、認知症が始まった妻は現在認知症高齢者グループホームに入っていますが、およそ17万円の入所費用と認知症治療のための医療費、合わせて月約20万円もかかります。そのためマンションを売ることも考えているといいます。居室料が高過ぎます。認知症高齢者グループホームや介護老人保健施設など、介護施設の居室料に対する負担軽減策を国に求めるべきです。また、それまでの間、区独自の助成を行うべきです。あわせて伺います。
次は、低所得世帯、在宅介護世帯の利用料負担についてです。
70歳の夫婦は手足が不自由で調理も満足にできないのに、介護サービスは週1回の掃除以外、絶対に頼まないといいます。また、挿管での栄養注入など、全介助が必要な親を抱える女性は、利用料負担が重過ぎるため、仕事をやめて自分で介護せざるを得なかった。月1万円でも経済的援助があれば、その分ヘルパーに頼んで働くことができるのにと話しています。利用料負担を減らすため、必要な介護サービスを断ったり退職せざるを得ない現状について、どのように認識しているか、伺います。
区内の65歳以上の高齢者の約6割は、住民税非課税の低所得世帯です。保険料を払えば必要な介護がだれでも受けられるように住民税非課税の低所得世帯の利用料はすべて無料にするよう国に求めるべきです。伺います。
次は軽度者の家事援助の利用制限についてです。
要支援2の生活援助の報酬は1カ月単位で決められるため、1回当たり90分、週3回が事実上の上限です。この規定どおりでは普通の暮らしは成り立たないといいます。 実際ある事業者では、要支援2でひとり暮らし、認知症の症状が進み、一人で買い物ができない利用者のために、週3回の家事援助のうち、1回は事業所の持ち出しで30分延長しています。それでも掃除までは手が回らないといいます。
渋谷区では、こうした高齢者の生活を支えるため、介護保険でのサービスに接続して行う家事援助に、30分100円で1回1時間を限度に独自の支援を行ってきました。今年度から対象も回数も拡充しました。本区でも、当面介護保険と同じ負担で利用できる独自の家事援助を行うべきです。伺います。
また、国に対し、家事援助に対する利用制限の撤廃、軽度者の利用限度額引き上げを緊急に行うよう求めるべきです。伺います。
次は、介護職員の待遇改善についてです。
介護を現場で支える職員の待遇は依然低いままとなっています。賃金引き上げを目的に始まった政府の特別対策も、東京の利用率は71%にとどまっています。期間が3年、対象は介護職員だけとの利用制限が原因です。国の責任で介護報酬の底上げを図るよう求めるべきです。
また、過重な労働の原因となっている現行の3対1の職員配置基準は、勤務実態に合わせ、2対1に改めるよう国に求めるべきです。そして、これらの改善が保険料負担にはね返らないよう、国の負担割合を、現在の25%から制度発足時の50%まで計画的に引き上げるよう求めるべきです。あわせて伺います。
第2は、築地市場の再整備問題についてです。
築地市場の移転予定地は、深刻な土壌と地下水の汚染が明らかになり、さらに都が進めようとしている土壌汚染対策についても、本当に食の安全が守れるか、問われています。 都議会では、現在進めている土壌汚染対策について、「先端技術を活用した工法」と答弁していますが、日本環境学会顧問の畑明郎教授は、「この工法は東京ガスの対策工事で実施され、失敗したものだ」と指摘しています。科学者の間でも評価が全く分かれています。
ところが、区長は、「どの科学者の言うことが正しくて、また信じていいのかわからない」と言いながら、「我が国の最先端技術を最適に組み合わせ、安全性や確実性が十分に担保されたものであると聞いている」と答えています。汚染処理の適用実験が始まったばかりで何のデータもないときに、区長はいかなる根拠でこの汚染対策が確実だと考えているのですか、伺います。
都は、この実験は、技術会議が定めた技術、工法で確実に無害化できることを確認するためだとしています。そして、3月の中間報告では、「確実に汚染物質を無害化できる」と発表しました。ところが、処理前の土壌に含まれていた汚染物質の計測値を公表しませんでした。実験の正しさを証明するのに欠かせないデータにもかかわらず、情報公開請求に対しても、業者からの報告書に墨を塗って隠してしまいました。
また、共産党都議団の再三の公開要求に対しても、「専門家に相談してから公表する」、「専門家に確認している」と言うばかりで、3カ月以上たった今でも公表も説明もできないでいます。極めて不自然です。区長は、汚染された土壌の確実な処理をするために徹底した対策の履行を求めると言ってきましたが、その対策の信頼性が問われています。区長は中間報告についてどのように認識していますか、伺います。
また、区としても、すべての情報を無条件で速やかに開示するよう都に求めるべきです。伺います。
次は、有楽町層以下の土壌と地下水汚染調査についてです。
都は、有楽町層を不透水層だとした上で、この地層以下の調査について、「ボーリング調査のためにあけた穴を通して汚染が拡大する」、「技術会議でも同じ見解だ」と言って拒否しています。しかし、地質調査専門の事業者によれば、ケーシング掘りというボーリング方法を使えば、有楽町層のような水を含んだ軟弱な地層でも汚染を下に落とさず掘ることができると言います。土壌汚染を確実に除去するためにも、その前提として汚染状況の正確な把握は当然です。都に対し、有楽町層とその下の層についても速やかに調査するよう求めるべきです。伺います。
次は、現地再整備についてです。
築地市場の再整備は食の安全確保が前提です。服部栄養料理研究会の服部津貴子会長は、「市場は安心・安全は当たり前の所になくてはいけない」と述べています。区長はことしの予算審査特別委員会で、現地再整備は「無理だ」と繰り返しましたが、豊洲移転ありきで食の安全を軽視するものと言わなければなりません。深刻な土壌汚染、地下水汚染が明らかな豊洲への移転はやめるべきです。
食品流通の専門家で広島大学名誉教授の三国先生は、昭和63年の基本計画に沿って、取扱量が30%から35%減少していると指摘、技術の進歩を生かし、公開コンペなどで建設計画を募集すれば、築地現在地再整備は可能としています。その具体的提案が、21世紀築地プロジェクトチームや東京魚市場卸協同組合から既に出されているほか、民生党が行った公募にも、一般から45件もの提案が寄せられました。都に対して、公開コンペで建設計画を募集するなど、現地再整備に向けて真剣な検討を求めるべきです。伺います。
最後は教育についてです。
東京都はことし4月から、小学校1年生、中学校1年生を対象に、1クラスのこどもの数が39人を超える場合、少人数学級編成も選択できるとして、教員を加配する措置をとりました。その結果、ことし対象となった都内53の小学校のうち、84.9%の45校が少人数学級とすることを選びました。区内では対象になった3校のうち2校が少人数学級を、1校がティームティーチングを選びました。
現場では、少人数学級にできたことでこどもたちにも目がよく届き、こどもたちも落ち着いていると好評です。都は来年度以降、小学校2年生も対象にし、クラス定員も1人ずつ減らして、3年間実施した後、4年目以降の対応を検討するとしていますが、現場の願いは、一日も早い30人学級の実現です。都に対し、4年目以降も継続して小学校1、2年生のクラス定員の縮小を進め、一日も早く30人学級を実現するよう求めるべきです。伺います。
また、現場からは、歓迎する声とともに、3年生になって再び40人の大人数学級に戻されたときのことを心配する声も聞かれました。都に対し、3年生以上に進級しても2年生のときと同じ学級編成ができるよう求めるべきです。伺います。
区教育委員会は、人口増に伴う教室の不足を理由に、少人数学級の実施は困難としてきました。しかし、私が調べたところ、仮に今年度、区内全小学校の全学年で一斉に35人学級を実施したとしても、教室が不足するのは、第三大島小学校、第一大島小学校、豊洲小学校の3校6教室でした。学年進行に合わせて3年生以上の学年に少人数学級を拡大するのは再来年度以降のことです。今から必要な対策をとるべきではありませんか、伺います。
東京都の措置により、30人学級へ向かう動きは確かなものとなりました。教室が足りないから30人学級ができないとの言いわけは通りません。本区でも、将来の30人学級を見通した施設整備に取り組むべきです。
また、政府に対し、一日も早く国の制度として30人学級を実施するよう求めるべきです。あわせて伺います。
次は、就学援助についてです。
不況のもとで広がる格差と貧困の影響はこどもたちにも及んでいます。教職員の集会では、夏休み中の昼食は、親がお金を置いていってくれないので水で我慢したという子、臨海学校に行きたくてもお金が用意できず行けないという子など、深刻な実態が報告されました。お金がなくて学校行事への参加をあきらめるなど、決してあってはなりません。
今年度本区では、移動教室費や修学旅行費に係る就学援助の限度引き上げなどの改善が行われました。一歩前進です。しかし、臨海学校や林間学校に係る就学援助の限度額は据え置きとされました。また、補助対象も交通費、見学料のみとされているために、実際にかかった金額との間に1万円を超える大きな開きが出たりしています。
臨海学校や林間学校は希望制とはいえ、全小学校で実施され、学校行事として定着しています。お金の心配なくすべてのこどもが参加できるよう、補助対象の拡大と限度額の引き上げを行うべきです。伺います。
また、後で支給されることがわかっていても、事前に全額負担することが困難なために臨海学校などに参加できないというのでは、制度の役目が果たせません。板橋区では、支度金として参加費の一部を事前に支給しています。本区でも、行事終了後となっている支給時期を参加費納入日と改めるなど、保護者の負担を軽減するよう求めます。
また、現在、都内最低水準となっている本区の就学援助対象の基準を、少なくとも23区平均に直ちに引き上げるべきです。伺います。
以上で、私の質問を終わります。(拍手)