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2010年第3回定例会-すがや俊一議員(中小企業 地域主権 子育て)

  1. 日本経済の危機打開と中小企業支援について
  2. 地域主権改革について
  3. 子育て支援について

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問いたします。
 質問の1点目は、日本経済の危機打開と中小企業支援について伺います。
 今、日本経済は、リーマンショックに続き、急激な円高が追い打ちをかけるなど、深刻な経済危機に直面しています。日本経済が先進国の中で最もひどく落ち込んだ原因は、1997年の消費税5%への増税などで景気を大幅後退させ、その後の構造改革路線での大企業応援の規制緩和と雇用破壊、連続した庶民増税と社会保障削減で、格差と貧困を拡大してきたこと。そして、大型公共工事や巨額な軍事予算を温存しつつ、一貫した大企業、大資産家への減税政策を行ってきたことにあります。
 その結果、この15年間で国と地方の債務残高が410兆円から862兆円の2.1倍になり、一方で、国民総生産(GDP)は、15年間で497兆円から475兆円へと縮小し、世界の先進7カ国の中でただ1つ成長のとまった国、雇用者報酬が減少した国になってしまったのです。異常過ぎる大企業利益優先、国民生活犠牲の政治では、経済も財政も共倒れになることを実証しています。
 私たち日本共産党は、深刻な経済危機を立て直すために、大企業応援から国民の暮らし最優先の経済政策に転換する提言をまとめ、政府にその実施を求めています。第1には、人間らしく働くことができる雇用のルールを確立し、正規雇用を促進させることです。第2には、大企業と中小企業の公正な取り引きのルールを確立する。第3には、食料自給率を向上させ、農林水産業を再生する。第4には、社会保障制度の本格的充実を図り、将来不安をなくすことです。そして、第5には、軍事費を削減し、大企業、大資産家への不公平な優遇税制を改めるなど、ルールある経済社会を築いていくことです。
 区長は、深刻な日本の経済危機の原因について、どう認識しているのか、また、どうやって打開すべきと考えているのか、見解を伺います。
 今、日本を襲っている円高やデフレを克服するためにも、為替投機の国際的規制とともに、正規雇用の促進と賃金引き上げ、中小企業の支援強化で内需を拡大することが緊急に必要です。政府は、新たな経済対策、円高対応を打ち出す中で、菅首相も、「一にも二にも、三にも雇用だ」と強調していますが、継続審議の労働者派遣法改正には一切触れません。
 政府の改正労働者派遣法案は、製造業や登録型派遣の原則禁止を打ち出していますが、常用型派遣や専門業務は禁止の例外にするなど、抜け穴だらけです。区長は政府に対し、改正労働者派遣法の抜け穴をふさぐ抜本改正を要請すべきです。伺います。
 本区も、住民サービス向上と経済成長の両面から雇用対策の見直しが必要です。区は、行革路線のもとで正規職員を削減して非正規雇用に置きかえ、年収200万円以下の官製ワーキングプアをふやし続けてきました。今でも法定人員に満たない福祉事務所ケースワーカーの緊急増員など、正規職員の採用を促進すべきです。
 また、緊急雇用創出事業についても、雇用期間の延長や対象事業の拡大、賃金引き上げを図るために予算の増額など、政府に改善を求めるべきです。伺います。
 賃金水準の引き上げもデフレ克服には重要です。富士通総研など財界系シンクタンクも、「最低賃金の引き上げは最大の成長戦略」と主張しています。最低賃金の全国平均額は時給713円で、先進国では最低水準です。区長は政府に対し、最低賃金を全国一律1,000円以上とすること。また、中小企業が最低賃金を払えるように支援強化を図ることも緊急要求するべきです。伺います。
 また、東京都の最低賃金は、ことし30円引き上げ821円になりますが、それでも生活保護水準以下です。1,000円以上とすることを強く求めるべきです。同時に、本区非正規職員の賃金水準も引き上げることを求めますが、あわせて伺います。
 次に、本区の中小企業支援の拡充について伺います。
 区内中小業者の現状は、区の景況調査でも依然として厳しい事態が続いています。地域経済活性化基本条例を制定した区として、区内中小業者への支援強化が切実に求められています。しかし、区の長期計画には中小業者の支援が重要施策から外されています。条例の位置づけを高め、重要施策にすることが必要です。そのためにも本区の中小企業活性化協議会の役割は重要と考えます。
 同趣旨の条例を持つ北海道帯広市では、施策展開を図るために中小業者の実態把握調査を実施し、中小企業振興協議会のもとに4つの専門部会を設置して、施策の検討、立案を活発に行っています。本区の協議会は年3回程度の会議開催であり、意見交換や連絡調整にとどまっています。本区も実態調査を直ちに実施し、参加団体をふやして、専門部会を設置し、区に対して政策提言ができるよう、協議会の機能を高めるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 「40年近く営業しているが、異常なほど仕事がない」など、区内業者の仕事不足はかつてない深刻な事態となっています。区としてさらなる緊急支援が必要と考えます。何よりも官公需の発注量をきめ細かくふやすことが必要です。庁内はもとより、学校や保育園など、出先機関からの小規模修繕や印刷、物品などの発注を緊急措置としてふやすこと。そして、新規小規模事業者への受注機会拡大へ小規模事業者登録制度に切りかえること。さらに、仕事の受注機会の拡大に向け、地域経済への波及効果が大きい住宅リフォームへの直接支援を直ちに実施すべきです。伺います。
 入札制度の改善で地域経済の活性化を促進させることも重要です。今年度40件となっている簡易型総合評価方式の発注件数をふやすと同時に、区内下請業者の利用割合を評価点に加えるなど、地域貢献度を拡充するよう求めます。
 また、区の指導によって、区内建設産業の健全化を図ることも必要です。区発注工事における下請業者や現場労働者の実態調査を実施し、元請・下請間の契約適正化と労働者の労働条件改善へ、文書指導だけではなく、履行をチェックする制度の確立を求めます。こうした施策展開を一層発展させるためにも、「公契約条例」の制定に向け、関係諸団体を含めた庁内検討会を設置するよう求めます。伺います。
 また、区内業者からは、区の景気対策資金の改善、負担軽減を求める声も上がっています。利子負担のさらなる軽減や現行3年間の返済期間を、最低でも5年以上に引き上げるとともに、実施期間についても、来年度への延長を検討するよう求めます。伺います。
 質問の2点目は、地域主権改革について伺います。
 政府は、「地域主権」という名のもとに、保育所などの福祉施設における国の最低基準をなくして地方の条例任せにし、国の責任を放棄する地域主権改革一括法をさきの通常国会に提出し、継続審議にしています。こうしたもとで菅内閣は、地域主権改革をさらに推進するとして、地域主権戦略大綱をことし6月に閣議決定し、来年の通常国会に新たな地域主権改革一括法として提出する予定です。
 この地域主権戦略大綱は、国は防衛や外交などを担い、社会保障や教育などの住民サービスは自治体に担わせるとし、憲法に基づく社会保障などの国の最低基準を定めた「義務付け・枠付け」を一層取り払い、自治体に委任するとしています。そして、福祉や義務教育費の国庫負担金や補助金を廃止し、一括交付金化して自治体の裁量任せにするとしています。ところが、一括交付金化については、2割から3割削減の方向が示され、全国知事会などから、「交付金の9割が福祉と教育費で占められ、裁量の拡大どころではない」、さらには、「国の財源捻出の手段になりかねない」などの声が上がっています。
 区は、これまで地域主権改革について、「地域の自主性を高めるもので歓迎すべき」と答弁してきましたが、財源保障もない一括交付金化が自主性を高めるものではないことは明らかです。見解を伺います。
 しかも、地域主権戦略大綱には、この改革が進展すれば、自治体間の住民サービスに格差を生じるが、それをどうするかは住民の選択と自己責任だと明記しています。国の社会保障や教育に対する責任を投げ出して自治体任せにする。その結果として生じる自治体間の住民サービスの格差は、住民の自己責任にすることが区が主張する歓迎すべきものなのか、区長の見解を問うものです。伺います。
 さらに、地域主権戦略大綱は、地方消費税の充実として消費税増税を掲げていますが、在日米軍への年間3,000億円以上もの思いやり予算を初め、320億円もの政党助成金などの無駄遣いを改めることこそ先決です。住民生活破壊の消費税増税を容認するのか、区長の見解を伺います。
 また、地域主権戦略大綱は、財界、経団連が打ち出した「成長戦略2010」の中で、新たな利潤確保の場として求めている道州制の導入を据え、自治体の大再編を推進すること。地方自治法を改定し、地方議会については、議会と首長が対立した場合の解決策が必要などとして、首長の権限を強めて議会の形骸化を図るなど、容認できません。区長の見解を伺うとともに、政府に対し地域主権戦略大綱の撤回を求めるべきです。伺います。
 住民生活の困窮が広がる中、今、地方自治体として必要なことは、国の社会保障増進義務を定めた憲法第25条に基づき、極めて低い国の最低基準を先進主要国並みに引き上げるよう政府に求めること。そして、自治体に対し、地方交付金を初め、国庫負担金や補助金を大幅にふやし、住民福祉の向上に向けた裁量権、住民自治を豊かに保障させるよう政府に強く求めることです。伺います。
 質問の3点目は、子育て支援について伺います。
 政府は、子育て支援策として、「子ども・子育て新システム」をことし6月に発表し、来年の通常国会に法案を提出するとしています。この新システムは、旧自公政権が取りまとめた新たな保育の仕組みを引き継ぐもので、児童福祉法が定める「保育に欠ける」要件を取り払い、国と自治体の保育の実施義務をなくすものです。幼稚園と保育所、認定こども園を一体化して「こども園」とし、さらなる規制緩和で営利企業の参入を一層促進させる。そして、入所については、自治体を通じて行う現行制度を変え、保育所を含め、こども園と保護者の直接契約にして、施設探しは本人の自己責任とすること。また、新システムでの自治体の仕事は、保育の必要量を決める要保育度認定と利用限度に応じた保育給付の支払いが基本となります。
 利用料負担も応益負担を導入し、認定した必要量を超える保育サービスは全額自己負担、利用料が払えなければ保育が受けられず、退所になりかねないものです。保育を必要としながら保育度の低い人やお金がない人ほど排除される危険が大きくなるなど、到底許されるものではありません。新システムに対する区の見解を伺います。
 公的保育制度を根本から解体する新システムに対し、こどもの権利保障の観点が全くないとして、保育団体などから批判と撤回を求める声が上がり、福岡市議会でも反対の意見書が採択されています。保護者、区民の願いは、国と自治体の責任で公的保育を保障すること。待機児童解消は、国と自治体が責任を持って認可保育所を整備することです。区は政府に対し、新システムの中止を求め、公立保育所整備への補助金復活を初め、国有地の優先利用と民間用地確保への補助を求めるべきです。伺います。
 次に、児童虐待の対策強化について伺います。
 児童虐待防止法が制定されて10年、その後2度にわたる法改正にもかかわらず、全国でふえ続け、昨年度の虐待件数は4万4,000件、10年間で2.5倍に達し、江戸川区での小学1年生死亡事件など、今では1週間に1人のこどもが虐待で亡くなっています。
 児童虐待は区内でも増加し続け、昨年度429件、4年間で2倍、そのうち命の危険がある墨田児童相談所扱いが20件に達しています。
 こうした児童虐待の背景には、構造改革路線による雇用破壊と生活困窮の拡大、家族の社会的孤立や親の精神的・人格的未成熟、ひとり親家庭の増加などが重なり合い、親のストレスとなって生じると専門家が指摘しています。
 現在、区では、南砂子ども家庭支援センター内の職員4人と区庁舎の子育て支援担当の職員4人から成る2カ所の相談窓口、それと連携する1つの要保護児童対策地域協議会で、虐待予防と早期発見・早期対応を図るとしています。
 江戸川区は、今年度より職員を8人から15人に増員して、相談支援体制を強化いたしました。また、世田谷区では、5つの地域に分けて、それぞれ相談窓口と要保護児童支援地域協議会を設置し、虐待への対応と予防に向けた地域ネットの拡充に努めています。
 本区においても、ふえ続ける児童虐待に対応するために正規職員の増員とともに、相談窓口及び地域協議会を出張所ごとに配置するなど、支援体制の拡充を求めます。伺います。
 また、墨田児童相談所などでの職員不足は深刻です。相談を受ける児童福祉司1人が抱える事件数は100件から150件、イギリスの1人20件と比べ、極めて異常であり、児童福祉司からは、「自分の体が3人欲しい」との声が上がっています。区として都に対し、職員体制の強化とともに、今、不足しているこどもの一時保護所などの増設を求めるべきです。伺います。
 同時に、虐待要因を減らすためにも、区は政府に対し、ひとり親など、子育て世帯への経済的支援の充実を初め、雇用対策や社会保障の拡充、施設整備に必要な予算の増額を求めることを提案し、私の質問を終わります。(拍手)

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