- 教育について
- 市場化テストと窓口業務について
- オリンピック東京招致と有明北地区について
- 都営・区営住宅の使用承継問題について
私は、日本共産党江東区議団を代表し、区長並びに関係理事者に四点について質問します。
先ず第一は、教育基本法と学校の改修、改築等について伺います。
先の通常国会で継続審議となっていた教育基本法の改定が、26日からはじまる臨時国会で大きな焦点となります。いま全国各地で幅広い人たちが、改悪反対に立ち上がっています。東京大学の調査でも、全国の公立小中学校の校長の66%が、反対しています。
日本教育学会の歴代4会長や歴代事務局長7氏によるアピールでも、「なぜいま改正の必要があるのか」「憲法改正を先取りするものでないか」など、批判の声が上がっています。新聞の社説でも、「教育は、人格の完成をめざし、平和な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し・・」という教育基本法の第一条を引用し、「教育の使命としてこれ以上のものがどこにあるというのだろうか」と述べています。
本区の小中学校の教育目標を見ても、「日本国憲法及び教育基本法に基づき、人間尊重の精神を貴重とし・・・」と掲げ、殆どの学校が「人間尊重の精神」「真理と平和」など、憲法や教育基本法の理念に基づき教育目標を掲げています。
区教育委員会は、こうした立場で学校を指導して来たのではないでしょうか。改めて教育基本法に対する区教委の認識を伺います。
教育基本法の改悪法案は、「国を愛する態度」などを義務づけ、憲法の思想・良心・内心の自由を侵害するものとなっています。また第10条の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に直接責任を負って行われるべきもの」という条項を削除し、国家権力が教育内容と方法に無制限に介入できるものとなっています。
第二回定例会で、わが党の「教育への国家介入について」の質問に対し区教委は、「学習指導要領に沿った教育をしているから不当な支配にあたらない」などと、法改悪への本質を避け、学習指導要領に問題をすりかえて国家介入を容認する答弁をしています。また国会で問題になった通知表で「愛国心」をABCで、評価している問題でも、首相や文部科学大臣の「ABCをつけるなんて、とんでもない」という答弁に、各自治体が相次いで是正しています。区教委は、「評価項目は、総括的なものであり、一部の文言のみでおこなわれているものでない」などと、愛国心の通知表を事実上、肯定するかの答弁を行っています。これは、内心の自由を保障した憲法に反するとんでもない認識と答弁です。改めてこの二点について、区教委の見解を伺います。
子どもたちをめぐる状況は、いじめや不登校、学校間格差など、さまざまな問題が起きています。これは、歴代政府や文部省が、教育基本法から大きく逸脱して、競争教育や管理主義教育などを押し付けてきた結果です。
国際的な学力調査で、連続的に「世界一」となっているフィンランドの教育改革は、競争主義を教育から一掃し、国による教科書検定を廃止し、学校と教師が自主的に選ぶようにしたことや20人程度の少人数学級など、教育条件の整備や義務教育はもとより大学まで無償とし、教育の機会均等を保障するなど、国際的な成果を様々な国から汲み取る努力を行ってきたそうです。その中でも日本の教育基本法が参考にされ「人格の完成」をめざす教育が、生かされたと聞きます。
まさに教育基本法に沿った教育こそ求められているのではないでしょうか。 区教委の見解を伺うと共に政府に対し、法案の撤回と教育基本法を守るよう求めるべきと思うが合わせて伺います。 次に学校選択制について伺います
学校選択制がさまざまな弊害を生んでいます。地域とのつながりの希薄化やPTAへの参加や協力が薄い、大規模校と小規模校による生徒数の偏り、通学上の安全対策、学校間格差などを生んでいます。入学児童の少ない学校の生徒は「何で来てくれないの」「僕達は悪いことはしていないのに」と言う気持ちにさえなっています。また「統廃合の対象になるのではないか」と言う不安の声さえ上がっています。校選選択性は、見直しが必要になっていると考えます。
区教委はこうした現状をどう認識し、今後どうしていくつもりか伺います。
次に学校の改修・改築について伺います。
旧南砂西小学校は、昭和49年に建設され、旧耐震基準で建てられています。耐震補強工事の代替校として使用されている学校が、地震の不安に置かれているようでは問題です。地域の避難所にもなっており、地域住民や生徒を地震災害から守る上でも、早急な耐震工事が必要と考えます。伺います。
これまで深川八中、二砂中、深川三中などの代替校として使用されてきました。学校が変わる度に問題が起きています。地域のスポーツ団体が「体育館を使えなくなった」とか、学校の周囲を大勢で走り、曲がり角で高齢者と「何度もぶつかりそうになった」とか、片側3.5メートルの車道にスクールバスの列ができ、交通の妨げになる」など、地域住民から苦情が寄せられ改善を求めてきました。今後も次々と代替校舎として活用して行けば、同じ事が繰り返されかねません。地域住民の生活習慣などを配慮し、使用する学校に適切な指導を行うべきと思うが伺います。
今年から全ての中学校の普通教室にクーラーが設置され、喜ばれています。来年度は、小学校に設置されますが、理科室や図工室など特別教室には、設置されていません。「暑くて授業ができない、特別教室にもつけてほしい」との要望が強く出されています。特別教室にも来年度、同時に設置すべきと思うが伺います。また雨漏りやトイレの悪臭など、依然として改修工事が必要な学校が少なくありません。各学校から出されている修繕や改修要望に早急に応えるべきです。更に5砂小や2大中など、老朽化した校舎の改築が必要になっています。こうした学校の改築計画を立てるべきと思うが伺います。
次に市場化テスト法と本区の窓口業務について伺います。
先の通常国会で、国と自治体に「民間開放」を義務づけた「行革推進法」と「市場化テスト法」が成立しました。この法律の最大の狙いは、財界の要求に沿って、民間のビジネスチャンスを拡大することにあります。
公共サービスの民間開放を不断に取り組むことを国と自治体の責務とし、「市場化テスト法」では、自治体の競争入札の対象業務を戸籍謄本、納税証明、住民票、戸籍の
附票の写し、印鑑登録など6つの分野の交付の請求受付と引渡しを規定しています。住民がもっとも秘匿したいプイバシー、個人情報が民間事業者に知られ、常に漏洩の危険にさらされことになります。
法務省は、戸籍には「嫡出でない子であることや離婚事項など、他人に知られたくないものがあり、現に不正事案につながる身元調査に使用されるなどの例がある」とし、「慎重にも慎重であるべき」と主張していました。このような住民の高度な情報が民間会社に委ねられ、漏洩やプライバシーの侵害につながれば、行政への信頼を根本的に損なうことになります。高度な個人情報を扱う窓口業務の市場化テストの導入は、すべきでないと思うが、伺います。
本区の窓口業務について伺います。
本区、窓口業務の住民票の写しや戸籍証明の郵便請求に関する業務は、既に日本コンベンションサービス株式会社というところに委託しています。この会社は、人材派遣やイベント企画などをやっている会社と聞いています。年間の委託料は、約2千8百万円余で戸籍や住民票の郵便請求に対し、開封、コンピューターの端末操作、データー出力、申請者の照合、発送などをおこなっています。
平成16年度の郵便請求は、住民票が約8万件、戸籍証明が約5万4千件となっています。戸籍など住民の高度なプライバシーが民間会社に委ねられている事は重大です。しかも仕事をしている10数人の殆どが、委託先の社員ではなく、時給910円のパート労働者です。パートも変わるなど、不安定雇用と同時に、外部から派遣されてきた多数の人に情報がさらされています。
情報漏洩による被害のトップは、「外部委託から」との「セキュリティ協会」の調査結果も出ています。区のアウトソーシング基本方針では、「高度なプライバシー保護が必要なものなど、アウトソーシングをすることができない」としており、また個人情報保護条例の主旨からも外部委託は、二重に反すると思うが伺います。住民の高度なプライバシー業務は、区の職員が直接扱うべきです。合わせて伺います。
次にワンストップ窓口業務と混雑について伺います。
ワンストップ窓口になってから窓口が混雑し、「住民票を取るのに1時間も待たされた」など、苦情が寄せられています。
窓口は、簡単な申請で済む用事やいろいろな申請などで、時間のかかるものが一緒に待たされる事になります。住民票や戸籍、印鑑登録など窓口が分かれていれば、自分が必要な窓口に行くだけで済みます。
ワンストップ窓口は、手続きが一ヶ所で可能となるなど一定のメリットもありますが、4年が経過し弊害も出ている現在、ワンストップ窓口は見直すべきです。また人口増加や高齢化にも拘わらず、住民に身近な出張所を廃止し、職員を削減するなどがサービス低下にもつながっています。
区役所にわざわざ来なくても、出張所で用が済むよう人口増加に見合った出張所の機能を高めるなど、住民サービス向上を図るべきです。混雑緩和と住民サービス向上をどのように行うのか、合わせて伺います。
次にオリンピック東京招致と本区の有明北地区の開発について伺います。
わが党は、スポーツを通じて「諸国民の相互理解を増進し、世界平和と国際親善に貢献する」というオリンピックの目的には賛成です。しかし、2016年の東京招致の目的には多くの問題点があります。
1つは、この計画は突然知事が言い出した独断的なやり方で、都民不在と言わざるを得ません。マスコミも「手詰まり感もあった石原都政をアピールする格好の手段と映る」と、その狙いを指摘しています。
東京招致が決まった直後に、石原知事は、次の知事選に出馬する意向を示すなど選挙を意識した招致運動と見られています。また「アジア初の2度目の五輪を東京で」と言うだけで、「理念なき東京招致」とさえ言われています。しかもアジアへの招致の可能性は薄いと専門家やマスコミからも指摘されています。
二つ目は、オリンピックを梃子に大型開発をすすめ、莫大な財政投資を必要とする問題です。10万人収容の晴海のメーンスタジアムに直接運べる公共交通はありません。大江戸線やゆりかもめを延伸しても輸送力は半分程度、東京駅から地下鉄による大量輸送ルートの可能性もいわれていますが、莫大な費用がかかります。また本区の有明北地区の選手村予定地は、臨海開発事業会計の所有であり、メディアセンターの築地の予定地も市場会計の所有です。有償で買い取らなくてはなりません。また知事が言う羽田空港と築地を結ぶ地下トンネル道路をつくれば更に途方もない財政が必要です。
わが党の都議団の試算では、7兆円もの費用がかかり「コンパクト」とどころか、浪費型オリンピックになりかねません。この財政は誰が負担するのか。福祉や教育、スポーツなど都民の暮らし予算を削減しているもとで、都財政だけでなく、今後の23区の都区財政調整や本区の財政とまちづくりにも大きな影響を与えかねません。このようなオリンピック招致に区長は手放しで喜んでいるわけには行かないと思うが、認識を伺います。
本区の有明北地区の埋立地に突如、「選手村を建設する」とした計画発表は、本区の区民だけでなく、埋め立てに反対してきた都民や地元住民を欺くものです。「有明北地区の埋め立て事業は、居住、業務、商業と多様な機能を配置し、水と緑豊かなまちをつくる」と区長も推進してきました。それが突如、選手村に変更され、18.500人収容の5棟の宿泊棟で、1ベッドあたり16㎡の個室が基本とされています。オリンピック終了後は分譲か賃貸住宅として利用するとしていますが、選手村という性格や個室では限られた利用にならざるをえません。
江東区都市計画マスタープランの方針では、「良質で多様な住宅タイプの供給を促進し・・」「多様な年齢層・所得階層が適度に混在し」として公的住宅や賃貸、分譲など「多様化を図っていく」としています。こうしたまちづくり方針にも反するものです。
有明北地区の選手村構想と本区まちづくりを区長は、どのように考えているのか伺います。有明北地区の埋め立て地の活用は、区民、都民参加で根本から練り直しを求めるべきと思うが、合わせて伺います。
次に都営・区営住宅の使用承継問題と住宅建設について伺います。
国土交通省は昨年12月、住宅局長名で「公営住宅の適正な執行について」という通知を各都道府県知事あてに送付しました。その中で、「使用承継の厳格化」が明記されています。都の都市整備局は、住宅審議会の答申な
ども受けて住宅条例施行規則を今年の8月に改正しました。その内容は、これまで配偶者、一親等親族に使用承継を許可していたものを「配偶者のみとする」とし、「三親等内の高齢者・障害者・病弱者についてはこれまで通り」としたものの、住宅政策を後退させました。平成19年8月から実施するとしていますが、本区は23区で二番目に都営住宅が多い区であり、今回の規則改正は、居住者に大きな影響を与えます。都営住宅の居住者は、さまざまな事情を抱えて生活をしています。「結婚した娘が離婚して子どもを連れて返ってきた」「息子が引きこもりになって困っている」「子どもはフリーターで収入が少なく、出て行くことも出来ない」など深刻です。収入基準を満たしているにも拘わらず、「配偶者のみ」という理由で追い出すのは、公営住宅法の「住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」とう目的に反するものと言わざるを得ません。
区長は都に対し、規則改正の撤回を求めるべきです。また本区の区営住宅の使用承継については、これまで通り維持すべきと思うが合わせて伺います。
都営住宅の制度や政策を後退させる背景には、都営住宅を全くつくらず、「都営住宅に入るには宝くじを当てるようなものだ」と言われるように、戸数の絶対的不足があります。空き家募集に279倍もの申し込みが殺到するなど、高齢者、低所得者が増加している中で、公営住宅の建設は切実な要求となっています。区長は、都に対し都営住宅を建設するよう強く求めるべきです。また都営住宅以外に暮らす高齢者、低所得者は夫婦の片方が死亡して年金収入が激減し、家賃も払えない状態の人が増えています。低所得者の高齢者が安心して住み続けられるよう家賃補助を創設すべきと思うが合わせてお伺いして私の質問を終わります。