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2009年第4回定例会-赤羽目たみお議員(子どもの貧困 保育 インフルエンザ)

  1. こどもの貧困について
  2. 保育問題について
  3. 新型インフルエンザ対策について

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。

 まず、こどもの貧困について伺います。
 雇用破壊や経済状況の悪化で子育て世帯の所得が下がり、本来こどもが保障されるべき教育や健康、人間関係などが阻害されるということが、こどもの貧困として大きな問題となっています。
 先月20日に政府が発表した調査結果によると、日本のこどもの貧困率は、2006年時点で14.2%、ひとり親家庭の貧困率は54%に達していることがわかりました。今、こどもの7人に1人、母子家庭では過半数が貧困状態に置かれています。
 江東区内でも健康保険に入っていない無保険の高校生や、経済的理由で修学旅行に行けないこども、学校給食費や保育料の滞納者がふえるなど、貧困は広がっています。区長は、こどもの貧困が広がっている現状をどう認識しているのか、伺います。
 こどもの貧困は日本の未来にとって重大な問題につながります。貧困克服に向けた抜本的施策の拡充が求められています。政府は調査結果を受けて、「今後、子ども手当など、数値を改善する政策を打ち出していきたい」と発言しました。しかし、現金給付だけでは問題の根本的解決にはなりません。長時間、低賃金、非正規の働かせ方を改め、安心してこどもを預けられる保育所の整備や、高過ぎる教育費負担を軽減することが必要です。区長は政府に対し、労働者派遣法の改正はもとより、保育予算の充実、給付制奨学金の創設や大学授業料の負担を減らすよう求めるべきです。伺います。
 今、世界では「学費は無償」の方向で進んでいるのに日本は大きくおくれています。「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めた国際人権規約A規約第13条を留保しているのは、今や加盟160カ国中、日本とマダガスカルの2カ国だけという状況です。国際人権規約A規約第13条の留保を撤回し、高い学費を是正するよう政府に求めるべきです。伺います。
 大阪府は、年収350万円以下世帯の生徒の私立高校授業料を来年度から実質無償化することを決めました。関係者から、低所得世帯にとってはありがたいと評価されています。区長は、私立高校の授業料の実質無償化を東京都も行うよう求めるべきです。伺います。
 江東区としてもこどもの貧困克服に力を尽くすべきです。そこでまず、区内の貧困の実態をつかみ、貧困をなくす具体的な目標を立てることが重要と考えます。区独自に貧困状態を調査し、施策に反映させるべきと思いますが、見解を伺います。
 ことし3月に江東区が行った江東区民子育てニーズ調査に、「親自身は年をとっても収入はふえません。児童手当、教育助成金なども利用していますが、日々の赤字を埋めるものにとどまっています。こどもには教育をもっと受けさせたいが、このままでは中卒か高卒で就職となりそうです」など、教育費の負担軽減を求める意見が多数寄せられました。家庭の経済状況でこどもの教育に格差が生じるなどあってはなりません。就学援助の充実や保護者負担の軽減を図るべきです。就学援助の充実について区は、近隣区の平均を上回っている状況であり、認定基準の改定を行う考えはないとしていますが、近隣区の平均値を見るのではなく、こどもの貧困を克服するためにも、困っている家庭のこどものことを考えて認定基準の引き上げを行うよう求めます。伺います。
 区内の保護者から、「3万円から8万円もする中学校の制服代が高くて大変。準備費用も合わせれば10万円近くになる修学旅行は悩みの種」という声が上がっています。葛飾区では、特に入学、卒業の費用がかかると考えられる生徒に対し、特に高い認定基準額を設け、費目認定を行っています。墨田区では眼鏡を、足立区、葛飾区、墨田区では柔道着や剣道の防具など、体育実技用具も援助の対象にしています。江東区としても、費目認定や就学援助の対象を広げるよう求めます。伺います。
 就学援助など、経済的に困難なこどもたちへの支援とともに、全体の公費負担を拡大することが求められています。義務教育無償の原則からいえば、学校で行う授業、実験、実習など、必要な教材や教具の保護者負担はなくさなくてはなりません。府中市では、保護者負担について、「通常家庭にあるもの」などに限定しており、ドリル、ワークテスト、教科用実習材料など、教材や教具は無料となっています。江東区としても、教科用実習材料は公費負担にすることを求めます。

 次に、保育問題について質問します。
 認可保育所に申し込んでも入れない待機児童は全国で2万5,000人を超え、待機児童問題は深刻です。政府は、待機児童問題が解消されないのは現行の保育制度に問題があるとして、都市部に限り、保育所面積の最低基準を緩和する方針を示しました。基準を緩和し、自治体の実情に合わせて決められるようにすれば保育所がつくりやすくなるとしていますが、自治体の財政や土地の確保等が厳しい中で、認可保育所の増設ではなく詰め込みになるのは明らかです。全国2万1,000の認可保育所が加入する全国保育協議会からも、「都会のこどもは狭い環境で我慢しろというのはおかしい。地域によって保障される保育の質が違ってはならない」と厳しい抗議の声が上がっています。
 さらに、政府は、避難用外階段などの設置、耐火上の基準、医務室や園庭の設置などについても、最低基準を緩和し、地方自治体の判断に任せる方向で検討を進めています。
 幼いこどもは地震や火事などの災害時に一人では避難できません。医務室や園庭は、こどもが1日8時間以上生活する保育所に必要不可欠なものです。こうした最低基準の緩和は、こどもの命と健康、安全を脅かし、こどもが健やかに成長・発達する環境を守る国の責任を放棄するもので断じて許されません。区長は、政府が進める最低基準の緩和についてどう認識しているのか、伺います。
 最低基準の緩和と同時に検討が進められている、保護者が直接保育所に申し込む契約方式や、低い設置基準でもよしとする指定制度の導入も、国と自治体の責任を後退させるもので容認できません。最低基準の緩和とあわせて撤回するよう求めるべきです。伺います。
 政府が緩和しようとしている最低基準は、今から61年前に定められた極めて低いもので、2歳児の場合、7畳の部屋にこども6人と保育士1人が入り、ロッカーなども配置した上で、食べる、寝る、遊ぶの生活すべてをそこで営むというレベルです。世界的に比較して
みても、3歳以上児の面積はストックホルムの4分の1、パリの半分以下にすぎません。最低基準の緩和ではなく基準の引き上げが求められています。区長は、保育所面積の拡大など、現在の保育制度の到達点を生かして改善するよう政府に求めるべきです。伺います。
 深刻化する待機児童問題は、保育予算を一般財源化して削減し、保育所整備を怠り、定員を超えたこどもの詰め込みや認可外の保育サービス活用など、安上がりの対策に頼ってきた歴代政府の政治が原因です。区長は、保育予算を拡充し、公的責任で認可保育所の増設を進めるよう政府に求めるべきです。伺います。
 江東区の認可保育所に申し込んでも入れない待機児童は、10月時点で1,300人を超えています。江東区としても、待機児童を解消し安心してこどもを産み、育てられる環境を整えることは急務です。
 先日、豊洲に住む保護者から、「豊洲地域の保育園に預けたいが大激戦のようなのであきらめました。千田に新しくできる保育園なら入りやすいと思うので何とかしてほしい」と相談が寄せられました。認可保育所の整備がおくれ、保護者やこどもに負担や不安を与えていることは重大な問題です。認可保育所に入園希望するこどもすべてが入園できるように、認可保育所の増設を急ぐべきです。伺います。
 区内最多の待機児童を抱える豊洲や東雲に隣接している辰巳地区には、閉鎖されてから手つかずの旧辰巳第一保育園があります。再三再開を求めてきましたが、区は、辰巳地区の保育需要などを理由に拒み続けています。旧辰巳第一保育園は静かなところにあり、南向きで園庭が広く、こどもを保育するには最適の施設です。土地を買ってでも保育所をふやさなくてはならないのに、環境が整っている施設をなぜ活用しないのか。豊かな環境で保育ができ、豊洲地区の待機児童を減らすことにも効果的と考えます。旧辰巳第一保育園の活用を求めます。伺います。

 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 これまで我が党が提案してきた肺炎球菌ワクチンや季節性インフルエンザワクチンの接種費用の助成拡充や、新型インフルエンザワクチンの公費補助などについて一定の評価をしますが、さらなる対策の充実が必要です。
 都内インフルエンザ定点医療機関からの患者報告数が、流行警報基準に達したとして、東京都は先月28日にインフルエンザ流行警報を発令しました。区内では、登園自粛を求める保育園や、学級閉鎖や学年閉鎖をする小中学校が相次ぐなど、特にこどもたちの間で新型インフルエンザの感染が拡大しています。 今後、季節性インフルエンザ患者がふえる時期を迎える中、感染予防や重症化を防ぐ対策を区民と一体となって取り組んでいくことが重要です。そのためには、まず、正確な情報を迅速に区民に提供することは大事なことと考えます。
 先日、区民から、「江東区のホームページには、区立学校の休業状況しか載っていない。保育園などほかの施設の情報も載せてほしい」という声が寄せられました。足立区、杉並区では、区民の感染予防の意識を高めるために、保育園等の感染状況もホームページで公開し、毎日更新しています。
 江東区も、前回区議会定例会の我が党議員の質問に、「区民の感染予防に役立つよう情報提供することは重要」と答えています。区民と一体となって感染予防を進めていくためにも、保育園等の感染拡大の状況を速やかに公にして、区民と情報を共有するべきと思いますが、伺います。
 次に、新型インフルエンザのワクチン接種が、医療従事者や妊婦などに続いて、今月16日からは未就学児に対し始まりました。テレビ、新聞等でワクチンが足りないと報道され、区民の間に混乱と不安が広がっています。政府はワクチンの増産に力を入れていると思いますが、区長は46万区民の代表として、政府にワクチンの増産を求めるべきと思います。伺います。
 江東区の新型インフルエンザ相談センターにも、どこの医療機関に行けば接種してもらえるのかなど、1日に300件を超える相談や問い合わせが殺到しています。現在、保健師4名と臨時職員1名で対応しているということですが、これから先、優先接種対象者の拡大や季節性インフルエンザの流行で、今以上に相談や問い合わせ件数がふえることは必至と考えます。
 区は、民間団体の活用や臨時職員の確保等により対応するとしていますが、区民の命にかかわる大事な問題です。感染防止の第一線の役割を持つ保健所の体制を拡充するためにも、専門知識を持った保健師を増員すべきと考えますが、区の見解を伺います。
 重症化を防ぐためにも、すぐに対応できるよう医療体制を整えることは、江東区にとっても優先的課題だと考えます。江東区は現在、区内2カ所で土曜・休日夜間診療を行っていて、昨年度の患者件数は1万1,710件でした。今年度になってから新型インフルエンザの影響で患者数が激増しています。昨年度と比べて2倍から3倍ふえており、待合室は常にいっぱいで、2時間以上待つ場合もあると伺いました。今後の状況を勘案して、土曜・休日夜間診療の拡充が求められています。区長は、診察に当たる医師の増員や新型インフルエンザ休日診療所の開設を、医師会と相談するよう求めます。また、区内の土曜・休日夜間に診察している医療機関の情報を、区のホームページ等で周知するよう求めます。区長の見解を伺い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

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