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2023年第1回定例会―正保みきお議員

  • 来年度予算と区財政運営について
  • 子育て・教育について
  • 防災対策について

【正保幹雄議員の質問】
 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。

 冒頭に、先日のトルコ・シリア大地震で亡くなられた方々に心からの弔意を表すとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。また、被害に遭われた方々の早期回復をお祈りいたします。

 大綱の第1は、来年度予算と区財政運営についてです。
 いま、働く人の賃金が減り続けているところに、物価高騰が襲いかかり、区民の暮らしと中小業者は、かつてない危機と困難のもとに置かれています。ところが政府は、電気・ガス料金の抑制など部分的・一時的な対策に終始しています。それどころか、「5年で43兆円の大軍拡」を優先し、物価高騰のさなかに年金削減や医療・介護の負担増を次々と押しつけ、「子育て予算倍増」は看板倒れとなるなど、暮らしの予算を削って軍事費につぎ込む悪政を推し進めています。
 このような中で、本区の来年度予算については、物価高騰で暮らしと経営が大きな打撃をうけ、地域経済の疲弊が深刻になっている時だからこそ、国の悪政の防波堤となって、区民の暮らしと福祉を良くする自治体本来の仕事をすすめることが肝要だと思いますが、見解を伺います。
 本区の来年度予算(案)は、一般会計で2370億円、3つの特別会計を合わせた総予算は3376億円余と過去最大規模となりました。わが党が繰り返し求めてきた18歳までの医療費助成、給付型奨学資金の創設、感震ブレーカー配付、特養ホームの整備、失語症者への意思疎通支援者派遣、学童保育(きっずB登録)の保留児解消対策など一定の前進があるものの、国民健康保険料の大幅値上げ、10月以降の施設使用料の2割値上げ、児童館廃止、学校用務、児童館、きっずクラブ、福祉会館等の民間委託など、負担増と福祉削減、不安定雇用を増幅させる予算案となっています。
 予算案では、教育、高齢者・障害者福祉、中小企業・小規模事業者に対する支援が不十分です。合わせて50億円を投入する子育てクーポンや防災カタログギフトは、1回きり、一時的なものであり、区民の暮らしを継続的に下支えする施策の拡充こそ必要ではないでしょうか。
 過去最高規模となった一般会計予算の総額は、4年前と比べ316億円も増大しているにもかかわらず、教育予算は減少しています。「子育て世帯を強力に支援する」というのなら、教育予算を増やし、また、莫大な基金も活用して、全国でも23区内でも広がっている学校給食の無償化を、ただちに実施すべきではありませんか。伺います。
 高齢者・障害者福祉では、1400人の方が入所を待っている特養ホームと不足するグループホームの増設、ティアラこうとう、文化センターなど公共施設へのヒアリングループ整備、不足しているリフト付き介護タクシーの拡充、28年間1円も上がっていない障害者・難病者への区制度の福祉手当の増額と対象者の拡充を、ただちに行うべきです。合わせて伺います。
 コロナ禍の経済悪化の中で実質無利子・無担保で資金を借りられる「ゼロゼロ融資」は、資金繰りを緩和し、中小企業の倒産を減らしてきました。これから融資の返済のピークを迎えます。ゼロゼロ融資が過剰債務になって返済ができなくなり、倒産する企業が急増する懸念が強まっています。地域経済の主役である区内中小企業をつぶしてはなりません。コロナ対応のゼロゼロ融資をいったん通常の融資から切り離して「別枠債務」とし、新規融資が受けられるよう関係機関に働きかけるべきです。
 また、事務所・店舗の家賃、水光熱費に時機を逸することなく補助をおこない事業継続への支援を行うべきです。合わせて伺います。
これらの財源は、過去最高の区税収入と予算規模、23区の中でもトップレベルの基金残高1712億円、何にでも使える財政調整基金300億円を活用し、コロナ禍と物価高騰から暮らしと営業を継続的に支えていくことを強く求めます。
 区財政運営について伺います。
 区は、「行財政改革」と称して、児童館・幼稚園などの子育て教育施設の廃止、学校用務、学校警備、福祉会館などの民間委託を徹底して推し進め、人口増にもかかわらず正規職員を削減し、安上がりの非正規労働に置き換えてきました。効率化を最優先する民間委託は、委託先の労働者の低賃金と不安定雇用を拡大し、区民サービスの質を低下させています。アウトソーシング方針については、民間委託ありきでなく、直営に戻すことも含め、その必要性、効率性、透明性などを検証し、見直しを行うべきです。また、区が発注する工事や業務委託等に従事する従事者の安定的賃金と雇用を確保するために公契約条例の制定を求めます。合わせて伺います。
 児童館の廃止方針についてです。
 区は、2年前に行財政改革として児童館の廃止方向を打ち出し、今後は乳幼児親子を対象とした子育て支援に重点化し、子ども家庭センターと乳幼児機能が重なる児童館の廃止、児童人口が減少傾向の地域の児童館の存廃を検討するとしました。
 しかし、児童館は、18歳未満のすべての子どもを対象に、子どもの心身の健康と情操を豊かにする機能と役割を担っています。児童館の廃止は、子どもたちから遊びと安心の居場所を奪い、子育て支援に逆行するものです。児童館廃止方針は撤回すべきです。伺います。
 施設使用料についてです。
 施設使用料は、新型コロナ感染症が拡大し始めた2020年3月、一律20%の値上げが行われましたが、現在まで、コロナ禍の影響から値上げ前の料金に据え置かれています。措置が終了すれば、使用料が一気に値上がりし、施設利用者年間延べ480万人に約1億4千万円の負担増となります。利用者から、サークル会費の値上げにつながり、「楽しみにしている趣味の教室やサークル活動ができなくなる」との声が上がっています。値上げ前の料金に改定すべきです。伺います。
 職員定数についてです。
 区職員の削減によって人口1000人当たりの職員数は、23区平均が6.3人であるのに対し、本区は4.9人と23区で一番少ない職員で業務にあたっています。仮に23区平均に換算すると743人の人員不足となります。この10年間で本区の人口は5万5千人増加し、業務量が増大する中で長時間労働が常態化し、メンタル疾患等による長期休業者が少なくありません。各職場から職員組合を通じて人員要求が出されており、保健所・保健相談所からは業務量増による保健師や一般事務の職員増、保育現場から延長保育の充実に必要な保育士や業務量増による恒常的な残業解消のための事務職の増員、生活保護の現場から業務量軽減のための地域担当ケースワーカーの増員、区民部の職場からマイナンバーに伴う業務量増加による増員など、合計210名に及びます。5年間にわたって職員定数を1人も増やさないという定員適正化計画を抜本的に見直し、技能系職員の補充を含め、業務量に見合った適正な職員数とすべきです。伺います。

【理事者答弁】
 正保幹雄議員のご質問にお答えします。来年度予算と区財政運営についてのお尋ねであります。
 まず、区の果たすべき責務についてです。国の予算については、社会保障関連経費の拡充等、暮らしを守る予算となっておりますが、住民に身近である区は、国や都の制度と連携し、コロナ禍や物価高騰など、先行きが見通すことが困難な状況にあっても、区民に安全・安心を届けることが、果たすべき責務と認識しております。
 5年度当初予算では、まさに区民の暮らしを支える取り組みとして、全ての18歳以下のこども一人につき3万円の電子クーポンを支給するほか、関東大震災から100年の節目を迎えるにあたり、自助による防災力の向上を目的とした防災カタログギフトの全戸配付、商店街連合会に対するプレミアム付き区内共通商品券の発行に係る経費の補助などを計業しております。
 また、福祉分野では、引き続き感染症対策をすすめるほか、特別養護老人ホームや障害者入所施設の整備、医療的ケア児の受け入れ施設の拡充など、ハード・ソフト両面において区独自施策の拡充を図っており、多方面にわたり区民を支える対応が出いたものと認識しております。
 次に、継続して下支えする施策の拡充についてです。
 まず、教育予算が4年前より減少とのご指摘ですが、学校施設等ハード事業が大きな要因であり、この間もGIGAスクールの環境整備等、教育施策の充実を図っており、当初予算での割合は23区内でも上位にあります。学校給食無償化の実施にあたっては、財政負担だけでなく、事務管理体制の構築が不可欠であり、その検討も必要なものと認識しております。
 また、高齢者・障害者施策のうち、特養ホームについては、すでに亀戸9丁目における整備事業を進めており、グループホームについては、引き続き、長期計画に基づき着実に整備を進め、障害者グループホームの整備については、既存計画の具体化に向け、様々な方策を講じて整備を進めてまいります。
 さらに、公共施設へのヒアリングループの設置ですが、大規模改修等の時期を捉えて設置を検討するほか、携帯用機器の活用も図ってまいります。
 また、リフト付き福祉タクシーについてですが、事業者からの実績報告では、希望する日時に概ね利用できており、現在のところ、拡充する考えはありません。
 心身障害者福祉手当ですが、今後も、都条例に定める金額等を基本とし、中軽度の障害者等、すでに拡充している方々に対しても引き続き、的確に支給してまいります。
 次に、「ゼロゼロ融資」の保証枠の別枠設置に関する関係機関への働きかけについては、現在の信用保証制度により、適切に運用されているもの認識しており、関係機関等に働きかける考えはありません。
 加えて、区内中小業者に対する家賃・光熱水費の補助については、広範囲の業種を対象とした統一的な支援は、国や都が適切に実施すべきと認識しており、区として実施する考えはありません。
 また、財政調整基金を活用すべきとのお尋ねですが、既に財政調整基金から94億円余を繰り入れ、中小企業への支援に限らず、幅広く施策の充実を図っております。
 次に区財政運営についてです。
 まず、民間委託についてですが、本区では施設の指定管理化等を決定する場合には、直営との比較を含め個々に検証しながら進めており、アウトソーシング基本方針の見直しを行う考えはありません。
 また、労働者の適正な労働条件の確保については、国の労働法制の中で対応すべきとの見解にあるため、現在のところ、公契約条例を制定する考えはありません。
 次に児童館についてですが、利用者ニーズが変化したこと等を受け、令和2年度に「児童館の運営方針」を見直しました。本方針は廃止を前提としたものではなく、利用者の増加が見込める児童館は、今後も区民ニーズに対して役割を果たすとしており、引き続き、適正配置に努めるとともに、地域のこどもの居場所づくりに取り組んでまいります。
 また、施設使用料の値上げについてですが、改定は受益者負担の原則に基づき、決算実績から適正な料金設定を決定したものであり、施設使用料の改定を中止する考えはなく、改定前料金に戻す考えもありませんが、施設使用料等の特例措置は、9月末まで延長いたします。
 次に、職員定数についてですが、本区では、年2回のヒアリングを通じ、業務量に見合った適正な職員配置を行っております。そのため技能系職員の退職不補充の継続を含め、計画を見直す考えはなく、今後とも効果的・効率的な行財政運営のため、定員適正化計画を着実に推進してまいります。

【正保幹雄議員の質問】
 大綱の第2は、子育て・教育について伺います。
 政府の子ども子育て政策で、国民が最も望んでいるのは、重すぎる教育費の負担軽減です。ところが、岸田首相は「異次元の少子化対策」を表明しましたが、教育費の軽減策がありません。国の2002年度に行った意識調査では、「育児を支援する施策として何が重要か」という設問に対して、断トツ1位は「教育費の軽減」です。高い学費、日本独自の大学入学金、若者に数百万円もの借金を背負わせる奨学金、給食費の重い負担などの抜本的な改善が求められています。
 本区の奨学金制度について伺います。
 高校等へ進学する生徒を対象とした本区の奨学金貸付について、わが党は、繰り返し給付型奨学金を求めてきましたが、来年度予算案において貸付型を廃止し、返済不要の給付型が新設されました。私立高校の学資金への給付額は、貸付型の月額2万8千円から給付型では1万円に減額されていますが、これでは十分とは言えず増額すべきです。また、貸付型の返済困難者に対しては債権取立訴訟をせず、返済免除扱いとすべきと思いますが、合わせて伺います。
 日本学生機構の調査によれば、アルバイトをしないと大学に通えない学生が全体の2割に達し、学生の2人に1人が300万円の奨学金を借りている状況にあり、借金を背負って社会人としてのスタートを切ることになります。一方で、非正規雇用の増大などで卒業後の雇用・収入は不安定になっています。区の施策として奨学金返済支援助成や大学生等への返済不要奨学金を新設すべきと思いますが、伺います。
 次に、安心・安全な保育の確保についてです。
 この間、他自治体において保育所での児童虐待や送迎バスへの置き去りなど悲惨な事件が起きました。本区では、保育活動中の職員による児童虐待の発見、各保育施設の虐待対策の確認を目的に、区内270の保育施設と区独自に約6000人の保育士を対象としてアンケート調査を実施中と聞いています。区としても、虐待の早期発見・対応等の体制づくりが必要だと思いますが、今後の取り組みについて、伺います。
 子どもたちの命や安全を守るためにも、発達を保障するためにも、保育士の配置基準の改善が求められています。現在の保育士配置基準は70年以上変わっておらず、いまの実態に合わない基準であり、3・4・5歳ではOECDの調査国・地域で最低です。「子どもたちにもう一人保育士を!実行委員会」が昨年実施した保育施設職員へのアンケート結果によれば、2,648人が回答され、「今の配置基準では、命と安全を守ることができない」と思う場面に、「地震・火災など災害時」と答えた保育士は84%、「お散歩」は60%となっています。保育の長時間化の中で保育士の仕事量は70年前と比べて格段に増えています。スウエーデンでは4~5歳児の子ども18人に保育士3人の基準ですが、日本では4~5歳児に対する保育士の配置基準は子ども30人に対し保育士1人です。 国に対し、子どもたちの安全を守れる人数になるよう保育士の配置基準の引上げと保育士の処遇改善を求めるべきです。また、区独自に上乗せ補助を拡充し、国基準を上回る保育士配置を行うべきと思いますが、合わせて伺います。
 保育園運営費の不正受給と弾力運用問題についてです。
 区内保育施設において、保育士の人数を水増しするなど委託費の不正受給が相次いで起きています。抜き打ち検査の導入など検査体制を強化し、再発防止を図るべきです。伺います。
 株式会社が運営する保育施設では、委託費が保育事業以外に流用され、役員報酬や株主配当に回されるなど、委託費の8割以上を占める保育士の人件費が削減され、保育の質の低下を招いています。東京都の調査では、2018年度の社会福祉法人の運営費に占める人件費支出の割合は7割、株式会社は5割にとどまっています。国に対し、委託費の弾力運用の見直しを求めるとともに、区としても委託費に占める人件費比率の引き上げを図るべきと思いますが、伺います。

【理事者答弁】
 次に、子育て・教育の支援についてのご質問にお答えいたします。
 まず、奨学金制度についてです。
 現行の貸付制度を利用された方への返済の免除等については、これまで返済をされた方との公平性等の観点から困難であり、現時点で実施する考えはありません。また、新たな給付型奨学資金における給付額については、生計上の理由から高校の修学が困難な生徒の教育機会の確保という制度の趣旨から、国の「子供の学習費調査」における公立高校にかかる費用をもとに、修学旅行等の行事費、部活動費や家庭内教育費など広く対象として積算しており、私立高校進学者への増額は考えておりません。
 さらに、大学生等への給付型奨学金についてですが、令和2年4月から国において返済不要の給付型奨学資金の制度を開始しており、今後対象の拡大も検討されていることから、区において実施する考えはありません。
 次に、安全・安心な保育の確保についてですが、保育施設内における虐待事案の報道をうけ、保育活動中の職員による児童虐待の発見、各保育施設の虐待対策の確認など現状を把握することを目的に区内保育施設に勤務する職員に対しアンケートを実施致しました。現在、集計・分析を行っているところでありますが、回答内容に応じて、随時職員や保育施設へのヒアリングを行うなど適正な保育運営の確保に向けた対応を実施しております。
 また、調査結果を踏まえ、万が一不適切な保育が発生した際の迅速な解決をするための内部通報制度確立の指導、職員や保育施設への虐待防止に向けた意識啓発、保育施設への巡回訪問など、虐待防止に向けた取り組みの充実を引き続き図ってまいります。
 次に、保育士の配置基準についてです。
 まず、配置基準の引き上げと保育士の処遇改善を国に求めることについては、本区では国基準よりも手厚い職員の配置に誘導する形で、私立保育所等に対して補助金を支給するとともに、保育士の処遇改善については、保育士等の賃金改善を図るため、国の公定価格における処遇改善加算に加えて、都の保育士等キャリアアップ補助による支援を行っており、国に要望することは考えておりませんが、こどもたちの安全を第一に取り組みを推進してまいります。
 また、区の上乗せ措置の拡充については、先ほどご答弁した職員の配置に関する現行の誘導措置を継続し、保育の質の向上に資する職員の加配に応じた補助金の交付を引き続き実施してまいります。
 次に、補助金の不正受給についてですが、保育運営事業者による補助金の不正受給事案が発生していることから、専門人材を活用した「補助金等特別調査」の実施及び毎年実施している保育施設への一般検査における複数の書類などによる確認や「適正な職員配置」を重点検査項目にするなどの検査手法の見直しを含めた検査の強化を図っているところであります。
 今後も、補助金が適正に活用され、安全・安心な保育運営が確保されるよう、保育施設に対する不定期な巡回訪問や社会保険労務士による労務関係検査の実施など検査を実施する職員の専門性の向上も含めた更なる検査体制の強化を行ってまいります。
次に、保育所運営費の弾力運用問題についてです。
 まず、弾力運用の見直しを国に求めることについてですが、運用については国の通知に基づいて行っており、現時点で見直しを求めることは考えておりません。区としましては、引き続き、指導検査時に、適切な運用がなされているかを確認してまいります。
 また、運営費に占める人件費の比率の引き上げを図ることについてですが、先ほどご答弁した国の制度等を通じて、各事業者において、適正に保育士等の賃金改善が図られているものと認識しており、区独自の支援を行うことは考えておりません。

【正保幹雄議員の質問】
 大綱の第3は、防災対策について伺います。

 いつ起きてもおかしくないマグニチュード7クラスの大地震や激甚化する大規模風水害に備え、区民の生命と安全を守る防災対策の強化が求められています。
 東京都は昨年9月、東京都震災対策条例に基づき、「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」の結果を公表しました。
 この中で、本区では、建物倒壊と火災の総合危険度4以上が18町丁目に上り、来年度予算案において不燃化特区及び火災危険度の高い地域を対象に地震発生時の電気火災を低減する感震ブレーカーの無償配布と分電盤への設置にも費助成を行います。わが党が求めてきたもので評価しますが、都の新たな地震被害想定では、感震ブレーカー設置率を現状の8.3%から25%に引き上げた場合、焼失棟数、死者数が約7割減少するとされていることからも、設置率の引上げ目標をしっかり設定して事業を継続的に実施していくべきと思いますが、伺います。
 区は、「必要なら区役所や図書館にある」と言って頑なに拒否していた各種水害ハザードマップを全戸配布しました。これを配布だけに終わらせないで、防災講話のほかにも計画的な区民説明会やマップを使った防災訓練を行うなど、周知・徹底を図るべきと思いますが、伺います。
 また、防災備蓄用ラジオは、災害時の情報収集の手段の一つとして有効である一方、レインボータウンFM885の「放送が聞こえない」「取扱いが分からない」などの声が寄せられています。レインボータウンFMの災害情報臨時放送のブースが防災センターに設置が検討されていますが、中継アンテナを増設して難聴地域を解消するとともに、当該ラジオを使った防災訓練を行うべきと思いますが、合わせて伺います。
 福祉避難所についてです。
 法改正により福祉避難所への直接避難が可能となりましたが、実際の受け入れ体制が整っていないのが現状です。文化センター等の自主避難施設は、洋式トイレやエレベーター、備蓄物資も配備されており、災害時に避難してくる高齢者等のケアに対応する専門的な職員を配置するなど、福祉的な避難所としても役割が発揮できるよう体制整備を図るべきと思いますが、伺います。
 救命ボートの配備についてです。
 現在、本区には、潮見、東大島、新木場の防災倉庫と冬木艇庫の4ヵ所に、合計32隻の救命ボートが配備されていると聞いています。大規模水害の際、小・中学校等の拠点避難所に避難した区民が、長期間の浸水時に移動手段を確保するため、災害用救助ボートを各拠点避難所に配備し、荒川の洪水氾濫、東京湾の高潮氾濫など大規模水害に備えるべきと思いますが、伺います。
 近年の大規模災害などを経験し、自治体職員の不足による対応の遅れが全国各地で大きな問題となっています。本区では、災害があったときに現場へ急行する土木職員が、退職しても補充されず、この15年間で47人から13人に激減しています。これでは、区民の安全は守れません。災害時に、区民の命の安全・安心に直結する分野の職員を削減から増員へ転換すべきです。答弁を求めます。

【理事者答弁】
 次に、防災対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、感震ブレーカーの設置率についてですが、東京都による新たな首都直下地震等の被害想定において、感震ブレーカーの設置の有効性が示されたことから、令和5年度に、火災危険度の高い地域において、簡易型の感震ブレーカー等の設置を促進することとしたところです。都が示した設置率25パーセントについては、区としても認識しており、より多くのご家庭に設置いただけるよう、対象地域での説明会や取り付けの代行を実施し、設置率の向上に努める考えであります。
 なお、事業の継続については、普及状況等を踏まえた検討が必要であると考えております。
 次に、ハザードマップを使った防災訓練についてです。まず、地域でのハザードマップの説明会についてですが、現在、町会・自治会など地域団体等の要望に応じて、ハザードマップを活用した講話を行っており、好評を得ているところです。引き続き防災講話を活用し、積極的にハザードマップによる浸水危険度の周知を図ってまいります。
 また、ハザードマップを活用した防災訓練については、災害協力隊が実施する自主防災訓練や要配慮者利用施設における避難訓練での活用を促進してまいります。
 次に、防災備蓄用ラジオを使った防災訓練についてです。まず、防災訓練でのラジオの活用については、ハザードマップ同様、災害協力隊による自主防災訓練や要配慮者利用施設の避難訓練での活用を促進するとともに、次年度に防災センターに設置するレインボータウンFMの臨時放送ブースを活用した一斉放送訓練による活用を検討しているところです。
 また、中継アンテナの増設についてですが、放送が聞き取りづらい地域があることは認識しておりますが、中継アンテナの設置は、設置先における電波の干渉が課題であり、周波数の変更の可能性や、調査・設置にかかるコスト等から、増設の予定はありません。このため、区ホームページや安全安心メール、防災ツイッターなど、災害情報の複数の収集手段の活用について、区民周知に努めてまいります。
 次に、福祉避難所についてのお尋ねのうち、自主避難施設について、要配慮者の避難受け入れと、福祉専門職の配置など福祉機能を付加した態勢の構築についてですが、福祉避難所や拠点避難所等における避難支援体制の検討と併せて、実効性のある要配慮者の避難受け入れ方策について、検討を進めているところです。
 また、自主避難施設の避難者受け入れ態勢の確立についてですが、限られた人員を各避難所等に効果的に配置する必要があり、自主避難施設については、短期的な避難者受け入れを想定した態勢としております。各避難所等の開設・運営にあたっては、計画に沿った態勢を基本とし、かつ、状況に応じて柔軟に対応することとしております。
 次に、救命ボートの配備についてです。まず、各拠点避難所への配備についてですが、非浸水地域にある防災倉庫への集中的な備蓄が、有効であると認識しており、臨海部の倉庫への備蓄を基本としているところです。また、消防団によるボートの活用についてですが、区としては、消防署・消防団の活用が、水害発生時の対応として現実的なものと考えており、災害協定を締結し、消防団の分団数に応じたボート数を配備しているところです。
 次に、土木職員の退職不補充についてです。首都直下地震や大規模水害の際には、まずは本区土木技術職の総員体制で、区内各所で発生すると想定される道路や橋梁への影響に対する初期対応を行う予定です。また、本区で日常的な維持管理業務に従事している委託事業者や、災害協定締結団体等も、災害時などには区と協力体制を講じ、緊急対応にあたることとしております。
 そのため、行財政改革計画に定める技能系職員の退職不補充の方針を見直す考えはありません。

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