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2011年第2回定例会-大つきかおり議員(原発事故・液状化・介護保険)

2011年6月9日(水)2011年第2回定例会-大つきかおり議員

  1. 原発事故と自然エネルギーへの転換について
  2. 液状化対策について
  3. 介護保険制度について

議会発言映像=クリック](区議会サイトへ)
日本共産党江東区議団を代表し、大綱三点について区長に質問を行います。
第一は、原発事故問題と自然エネルギーへの転換についてです。
福島第一原発の事故は、いまだ深刻な状況が続いています。江東区にも一〇〇〇人近くの方が避難されていますが、避難を余儀なくされた被災者の皆さんは、いつになったら故郷に帰れるのか、農業が続けられるのかなど、大きな不安と深い苦しみの中で過ごしておられます。
 日本共産党はこの間、政府に対し、原発事故の危機的な事態の収束にあらゆる力を注ぐとともに東京電力や政府が保有する情報や必要なデータを開示することなどを求めてきました。
 政府や東京電力の説明が二転三転するなど、被災者・国民の中には不審や不安が広がっています。
 区長は、被災者・国民への正確な情報をすみやかに提供するとともに、わかりやすい説明を国の責任でしっかりと行うよう求めるべきではないでしょうか。伺います。
 日本共産党は、30年以上前から原発の危険性を指摘し、福島第一原発についても、チリ地震級の津波が来れば冷却設備が機能しなくなり、重大事故に陥る危険性があることをくり返し指摘し、改善を求めてきました。
 しかし、東京電力と歴代政府は「安全神話」にどっぷりつかり、対策を怠り、地震発生後も海水注入が遅れるなど、適切な対応を図らなかったため、被害をいっそう広げる結果となりました。
 今回の事態は、「想定を超えた」自然災害による不可抗力の事故などではなく、明らかな「人災」ではないでしょうか。区長の認識をうかがいます。
 そもそも現在の原発技術は、未完成で極めて危険なものです。原子炉は、莫大な量の放射線物質を内部にかかえていますが、どんな事態が起きてもそれを内部に閉じ込めておく完全な技術は存在していません。ひとたび大量の放射性物質が外部に放出されれば、もはやそれを抑える手段が存在せず、被害は広範囲で将来にわたって深刻な影響を及ぼす可能性があり、地域社会全体の存続そのものを危うくする危険をもつものです。こうした危険なものを、世界有数の地震・津波国である日本に集中的に建設することは、危険きわまりないものです。
いまこそ、原発依存から脱却し、原発ゼロ、自然エネルギーへの転換のための期限を切ったプログラムを策定するよう求めるべきではないでしょうか。うかがいます。
 資源エネルギー庁の資料では、太陽光、風力、バイオマスエネルギーの潜在量は、現在の日本の総電力供給量9千kW/時の13倍、12兆kW/時にも及ぶなど、自然エネルギーは大きな可能性をもっています。
 太陽光だけでなく、あらゆる自然エネルギーの飛躍的な活用の促進に向け、知恵と力を最大限に発揮するよう政府に求めるべきではありませんか。伺います。
 江東区では、地球温暖化対策として、「みどり・温暖化対策基金」を活用し、太陽光発電システムや省エネ設備を導入する区民への補助を実施していますが、今後、自然エネルギーの活用を促進するための支援制度へと拡充すべきではないでしょうか。また、区として既存の公共施設への太陽光発電や小型の風力発電の設置を積極的に行うべきだと思いますが、伺います。
 次に、福島第一原発事故による放射能汚染問題について伺います。
 放射能汚染への不安が区民の中にも大きく広がっています。
この間、「江東区内の土壌から高い放射線が検出された」とのマスコミ報道が行われ、私たちのところにも「子どもへの影響が心配」「区も調査してほしい」などの声が相次いで寄せられています。
 区は、補正予算で、区内を5ブロックに分け、それぞれ1ヶ所で土壌の放射線量の測定を行うとしていますが、それでは不十分です。区内すべての小・中学校の校庭、保育所や幼稚園の園庭や公園などの土壌の調査を行うとともに、学校プールの水や給食食材の放射線量についても調査し、結果を公表すべきだと思いますが、伺います。
 大気の放射線測定について区長は「問題なのは土壌だ」「土壌調査の結果から推定できる」と答弁していますが、福島第一原発はいまだ終息しておらず、予断を許さない状況です。大気についても区独自に放射線量を測定するモニタリングポストを設置すべきではないでしょうか。伺います。
 日本共産党都議団が専門家の協力も得て、都内全域128ヶ所で大気中の放射線量の測定を独自に実施したところ、地域間の偏りがあること、東部地域での放射線量が高いという結果が示されました。
 都は補正予算でモニタリングポストの増設を盛り込みましたが、可能な限りメッシュを細かくして、大気中の放射線量の測定を行うよう求めるべきだと思いますが、伺います。
 都の下水道局は5月12日、江東区の東部スラッジプラントなど、都内3カ所の下水処理施設で3月下旬に採取した汚泥焼却灰から、1㎏あたり10万ベクレル~17万ベクレルという高濃度の放射性物質が検出されていたことを明らかにしました。国の指針では、1㎏当たり10万ベクレルをこえる脱水汚泥については、焼却・減融等の処理を行った上で、適切な保管を行うことが望ましいとしています。しかし都は一部すでにセメントなど建設資材に再利用したと報道されています。また、区内の市民団体の調査では、東部スラッジプラント周辺から高い放射線が検出され、汚泥焼却灰の飛散による「二次被ばく」の可能性が指摘されています。
 3月の時点で高濃度の放射線が検出されていたにもかかわらず、なぜ都の公表が遅れたのか、区はどのような説明を受けたのか、伺います。また今後、下水汚泥の放射能汚染について、適切な対応を行うよう都に求めるべきだと思いますが、伺います。
 子どもの基準放射線被ばく量の見直しも切実です。文部科学省は、福島県の保護者や国民の強い批判を受けて、学校での児童・生徒の放射線被ばく量の上限を、今年度については、年間1ミリシーベルト以下に抑えることを目指すとしたものの、年間20ミリシーベルトという基準そのものは変更しない考えです。子どもは放射線に対する感受性が高いうえ、残りの人生も長く、発がんリスクも高くなります。子どもの被ばく線量は可能な限り低くすることが必要です。
 政府に対し、子どもの年間被ばく線量の基準の見直しを行うよう求めるべきではないですか。伺います。
 第二に、液状化対策について伺います。
 3月11日の大地震によって、江東区内でも各所で液状化現象が発生しました。新木場では大量の砂が噴き出し、道路が陥没、事業所建物にも被害が発生しています。辰巳団地では、上下水道管が壊れて使えなくなり、地盤沈下で住宅の下に大きな穴が開き、1階の階段も損壊。保育園や小学校にも被害が発生しています。塩浜では、住宅が傾き、3軒が「半壊」と認定、豊洲新市場予定地でも90カ所の液状化が確認されています。
 区は、区内の液状化現象について、区道については道路管理者として、発生状況の把握を行っていますが、民間住宅や事業所については罹災証明の発行申請が行われたものしか把握していません。豊洲や枝川など臨海部では、建物への被害がなくても、敷地内で液状化が発生しています。再発防止の観点から、都有地や民有地も含めて、区内の液状化の発生状況をきちんと調査すべきではないですか。伺います。
 東京都は地震の際の「液状化予測図」を作成、公表していますが、液状化しにくい地域とされていた場所でも今回の地震で、大規模な液状化が発生するなど、予測とは、必ずしも一致していません。都は来年度、予測図の見直しを行うとしていますが、新木場や辰巳など、大規模な液状化が発生した地域については東京都と一緒に、地盤調査を行い原因の究明に取り組むとともに、再発防止対策を実施するよう求めます。伺います。
 液状化によって傾いてしまった家を直すには多額の費用が必要で、被災者の生活再建には、大変な困難が伴います。
 政府は、今回の液状化被害の実態をふまえ、被災者生活再建支援法の適応に関わる住宅被害の判定基準を見直し、支援の拡充を行いましたが、市町村で10軒以上の全壊認定がなければ適応されないため、江東区の被災者は、この支援法の対象となりません。
 深刻な液状化が発生した浦安市では、独自の支援を検討するとし、千葉県でも、県単独で助成を行うとしています。
 江東区も、液状化被害住民・中小業者に対し、独自の助成を実施するとともに、都に対しても助成を行うよう求めるべきではないですか。伺います。
 最後に、介護保険制度について伺います。
 介護保険制度改定案が今国会に提案されています。今回の改定案には、公的介護保険のあり方を左右する重大な問題点が含まれています。
第一に、軽度者への更なる給付の削減の仕組みが作られる問題です。
 今回の改定案に新たに盛り込まれた「介護予防・日常生活支援総合事業」は、「要支援」と認定された利用者を市町村の判断で、介護給付の対象から外し、「総合事業」に移すことができるとしています。
 この事業は、市町村の介護給付費の3%以内に制限され、介護保険での訪問・通所サービスなどにある内容や職員の資格、利用料などについての全国一律の基準がないため、市町村が事業費の上限を超えないよう専門のホームヘルパーではなく、ボランティアに任せるなど、安上がりな方法を選べば、劣悪なサービスしか受けられなくなったり、高い利用料を払わなければならなくなる可能性が指摘されています。
 介護保険料を払わせ、「要支援」と認定しながら、「総合事業」に移し、給付対象から外すのは、介護が必要な人たちの権利を奪うことになるのではないでしょうか。区の認識を伺います。
第二の問題は、介護療養病床の新設を認めず、引き続き廃止の方針を掲げている事です。
 介護療養病床は医療と介護の両方を必要とする人、特に認知症の人にとって、不可欠の施設です。江東区にも介護療養病床が60床ありますが、老老介護の増加、特養ホームの不足、介護のために家族が仕事をやめざるをえないという状況の中で、療養病床を廃止すれば、高齢者の居場所を奪うとともに、家族の介護負担をいっそう深刻なものにするのではないでしょうか。伺います。
第三は、介護職が行う医療行為についてです。
 今回の法案では、介護職員によるたんの吸引などの医療行為が認められることとなりました。しかし、具体的な医療行為の範囲については、省令にゆだねられており、命にもかかわる問題が、法改正なしに拡大される危険性があります。また、介護職員にとっても研修や実際の医療行為の実施は大変な負担となるもので、本来であれば医療体制の充実こそ必要ではないですか。見解を伺います。
 そもそも介護保険制度は「介護の社会化」を目的としていたにもかかわらず、改定されるたびに、給付の削減が行われ、高い保険料負担の一方で、必要なサービスが受けられないという状況がますます深刻となっています。
 この間、多くの国民、介護関係者が「保険あって介護なし」という事態を改善するため、高すぎる保険料・利用料の引き下げ、機械的な認定制度の見直し、特別養護老人ホームなど介護施設の増設、介護従事者の待遇改善と国庫負担の引き上げを求めてきました。
 今回の改正案は、国民・関係者の願いとは程遠いものであるとともに、いま、多くの介護関係者が被災地支援に力を注ぐ中、十分な周知もされないまま拙速に法案を成立させるべきではありません。国民が真に安心して受けられる介護保険制度への抜本的な改善を求めるべきだと思いますが、伺います。
次に、特別養護老人ホームの増設について伺います。
 江東区の特別養護老人ホームの待機者は、1900人を超え、不足は極めて深刻です。
 東日本大震災でも明らかなように、災害の際には、介護が必要な高齢者の受け入れ先ともなるのが介護施設です。被災地では職員が、自らも被災しながら、懸命な介護が行われていますが、日頃から介護施設が不足しているうえ、もともとの人員基準でも人手が足りない状況の中で、避難所での生活が難しい高齢者の受け入れは、極めて困難な状況です。
 日頃から、必要な介護施設を整えておくことは、いざ災害となったときにも区民の命を守るため、大きな力を発揮するのではないでしょうか。区の認識を伺います。
 「このままでは共倒れです」「何とか特養ホームに入れないでしょうか」など特養ホームの増設を求める区民の声は切実です。しかし、現状では、26年度に1カ所の計画しかありません。深刻な待機者を解消するために、区として緊急増設5カ年計画を策定するとともに、辰巳団地の建替えで発生する空地や新砂などの都有地、農林水産省の所有する塩浜の国有地などを活用し、直ちに増設に取り組むよう求めます。
また、都に、用地費補助の復活を求めるととともに、政府に対し、用地費補助の創設や建設費への補助の引き上げを求めるべきではないでしょうか。伺います。
さらに、利用料の負担軽減と保険料の負担増を招かないために、国庫負担の増額求めるべきではないですか。あわせて伺い、私の質問を終わります。

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