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2011年第2回定例会-斉藤信行議員(大震災・防災・雇用・中小企業)

IMG_6533.JPG2011年6月8日(水)2011年第2回定例会-斉藤信行議員

  1. 東日本大震災と江東区の防災対策について
  2. 津波・水害対策について
  3. 今回の震災にかかわる中小企業支援と職員の雇用について

議会発言映像=クリック](区議会サイトへ)
私は日本共産党江東区議団を代表し、区長に大綱三点について伺います。
先ず第一は、東日本大震災と江東区の防災対策について伺います。
東日本大地震の発生から3カ月近くになります。巨大地震と大津波による甚大な被害、更に福島原発事故で戦後未曽有の災害となっています。
わが党は地震発生後、直ちに全国的に救援募金に取り組み、6億5千万円余の募金を岩手、宮城、福島の3県と81の自治体や農協、漁協に直接届け、現場の声を聞いてきました。そして「大震災・原発災害にあたっての提言」を政府に提出し、現地にもボランティアを派遣するなど、救援と復興に住民と共に取り組んでいるところです。
提言では、「一人ひとりの被害者が破壊された生活の基盤を回復して再出発できるよう国が責任をもってやること」二つ目は、「復興計画をつくるにあたっては、住民合意を重視して財政支援を国の責任で行う」という二つの原則を基本にして具体化したものです。
経団連などは、「震災復興特区」を指定し、農水産業の「企業的経営を行う」「株式会社の参入や漁港の集約化」など、上からの押し付け計画に農漁民から強い批判の声が上がっています。
江東区も物資や義援金、人材の派遣など支援を行っていますが、今後、復興にあたってどのような復興理念で支援を行っていくべきと思うか先ず伺います。
次に未曾有の大災害の教訓を本区の防災対策に生かす点であります。
今回の地震は、マグニチュード9、震度7、そして巨大津波は、大きな被害をもたらしました。本区の地域防災計画の地震規模は、東京湾北部の直下型地震マグニチュード6・9及び7を想定した防災計画となっています。
 東日本大震災のマグニチュード9、震度7を想定し、海溝型地震も加えた防災計画と被害想定に抜本的に見直すべき思うが伺います。
次に本区の被災者支援について伺います。
激しい揺れは、住宅などに大きな被害を及ぼしました。
マンションの内外壁の亀裂やコンクリートの落下、給水装置の倒壊による水浸でマンション全室が居住不能になるなど、罹災証明の発行は現在まで340件と、復旧に多額の個人負担を要します。群馬県の太田市や福島県の二本松市などは、住宅復旧資金の助成を行っています。本区も住宅復旧費用の助成を実施すべきです。伺います。
次に耐震補強工事への助成について伺います。
木造住宅の耐震補強工事は、年間に一ケタ台と進んでいません。
本区の木造住宅で、耐震補強工事が必要な住宅は1万2千戸以上、マンションも300棟近く耐震工事が必要と聞いています。
木造住宅の耐震補強工事への助成は150万円ですが、新宿並みの300万円に引き上げ、寝室や避難通路の玄関など部分的な補強工事にも助成をすべきです。また旧耐震の鉄筋・鉄骨3階建住宅は助成の対象となっていません。対象に加えるべきです。マンションへの助成額も国・都・区が連携して引き上げるべきです。合わせて伺います。
次に公共住宅などの耐震補強工事についてです。
南砂公社住宅では、耐震補強工事の未実施の号棟が大きな被害が出ました。
本区の都営、公社、UR賃貸住宅の耐震改修は、都営住宅で72%にとどまり、耐震診断さえしていない所が239棟。公社住宅は塩浜、東雲など4団地。UR住宅は、北砂5丁目、豊洲、大島など5団地もあります。
こうした住宅の耐震補強工事を早急に実施するよう関係機関に求めるべきです。また民間の病院や福祉施設の耐震化も急ぐよう支援すべきです。合わせて伺います。
次に橋梁の耐震化についてです。
本区は河川が多く、橋の落下は避難に重大な支障をもたらします。橋梁の落下防止は都道が遅れ、区内41橋のうち21橋が、今後の対策の見通しさえない状態です。区道上の橋梁改修の前倒しを行う共に、都道上の耐震化を急ぐよう都へ求めるべきです。合わせて伺います。
次に学校などの避難所の備蓄物資について伺います。
寒い中、学校に避難した人達から「毛布が足りない」「ペットボトルの水がない」など指摘されました。南砂小学校では避難者が一時400名以上に達し、南砂中学校でも100名近く避難し、毛布が不足するなどの事態になりました。今回は断水や停電が無かったものの、水道や電気の寸断を考えた場合、ペットボトルの飲料水や毛布、非常食などの増強、非常用発電機の配備など備蓄物資の再点検と拡充をすべきです。伺います。
また保育園や福祉施設では身を守る最低限のヘルメットや防災ずきん、飲料水や子ども用食料もない状態でした。子ども達の命を守る装備や水、食料などを備えるべきです。伺います。
次に帰宅困難者について伺います。
帰宅困難者の避難所として東陽小学校など、駅近くの6カ所を指定しました。しかし指定以外の学校にも避難し、一夜を明かした人もいます。自治体として帰宅困難者対策を充実することは当然ですが、企業にも社会的責任があります。
江東区は昼間人口が増加して企業の対策は不可欠です。東京都震災対策条例第10条では、事業者は防災計画を作成して「従業員、周辺住民の安全を確保する責務」を負っています。従業員の帰宅困難の対策にも責任があります。しかし都や区は、区内事業所の防災計画の作成状況を殆どつかんでいません。区内事業所の防災計画を把握して、作成していない所への指導を強めるべきです。伺います。
次に災害弱者の避難対策についてです。
今回の地震で一人暮らしや高齢者は恐怖で、自宅に帰れず避難所で一夜を明かした人も少なくありません。障害者、要介護者など恐怖におびえながら避難できない人もいました。区は、災害弱者の防災カルテづくりを、災害協力隊などを中心に行っていますが、あまり進んでいません。
災害弱者の避難支援体制を区が中心となり、地域の災害協力隊、自治会、町会、包括支援センター、更に消防、警察などと連携して進めるべきと思うが伺います。
次に防災無線(同報無線)についてです。
3月11日、15時30分、防災無線放送で「津波警報が発令されました、ご注意ください」との声が流されました。その後、「臨海部にお住まいの方は、高い所へ避難してください」との警報が流されました。しかし殆どの区民が「聞いていない」「聞こえなかった」と言っています。大きな津波なら生死にかかわる問題です。また「節電の協力」を呼びかける放送が流されましたが何を言っているのかわからず、区役所に問い合わせの電話が殺到して電話がつながらない事態になりました。防災センター建設の際、「デジタル信号に変わるから難聴地域は解消される」と区は言ってきましが、今回のような事態となっています。「区は20カ所の増設を行い、難聴地域を解消する」としていますが、徹底した調査と津波も想定し、海岸近くや荒川河川敷や沿岸にも良く聞こえるようにすべきです。伺います。
次に避難所における職員の救援体制についてです。
避難所の小中学校では、発災時の対応が統一されず受け入れ体制が不十分だったと指摘されています。
学校現業職員である用務、警備、給食を組み込んだ避難体制になっておらず、学校を熟知している現業職員を組み込んだ体制にすべきです。また職員向けの非常時災害マニュアルを見直し、発災時に具体的行動がとれるような「指針」を策定すべきです。伺います。
次に福島原発事故の避難者の雇用支援などについて伺います。
本区には300世帯以上が東雲公務員宿舎や都営住宅また親せきを頼りに避難し来ています。
本区は、震災避難者を対象に臨時職員として50人程度、募集するとしていますが半分にも満たない応募状況です。時給930円と安く、避難者は、着の身、着のままで避難し、貯金の多くを使い不安を抱いています。正規職員並みの賃金に引き上げ、避難者全てに知らせ、募集人数を拡大するなど働く場所の提供をすべきです。また洗濯機もないなど様々な不安を抱えて生活しています。仕事、住居、医療など避難者の要望に応えた支援を関係機関と連携して充実すべきです。伺います。
第二の質問は、津波・水害対策について伺います。
東京都は、「関東大震災と同じ規模の地震が起きても東京湾に押し寄せる津波の高さは、1・2メートル」と想定しています。東京湾は、入口が狭く奥が広がっていることから津波の波高が低減されるとして、「東京湾には津波は来ない」と誤解している人もいます。
江東区は、過去の歴史で高潮・津波に何回も襲われています。1792年・寛政3年には、深川・洲崎一帯を高潮・津波が襲い多くの犠牲者が出ています。また大正2年、砂村、月島、築地などを襲った高潮・大津波は死者・行方不明1,300人以上も出ています。洲崎神社や平久橋西詰に「津波警告の碑」が建てられ、都の有形文化財に指定されています。南砂二丁目には「波除地蔵尊」が建てられ後世に津波・高潮の怖さを伝えています。
今回の地震で多摩川、隅田川、荒川に津波が遡上し、荒川では河口から35キロ地点の埼玉県志木市、秋ガ瀬取水堰まで到達したと観測されています。
晴海では1・5メートルの津波が確認され、1・2メートルの想定を超えました。石原知事は4月11日、「大島近辺を震源とする地震が起こったら、とんでもない津波が来る」と発言しています。1・2メートルとする今の津波の想定を抜本的に見直し、その対策が必要です。
大田区は10メートルの津波を想定し、対策を見直すとしています。
本区も東京湾の防潮堤のかさ上げや老朽化した堤防の改修など臨港5区と共同して都に対策を求めるべきと思うが伺います。
 避難体制も重要です。本区の洪水ハザードマップは、荒川のはん濫を仮定し、「危険が迫ったら南側の地盤が高い場所へ避難してください」「公共建物の3階以上へ一時避難してください」となっています。避難地区に指定している南側とは、東京湾に面した豊洲、辰巳、若洲、有明など津波が最も心配される地域です。荒川の氾濫だけでなく、津波の襲来も想定したものに抜本的に見直し、避難地区、避難場所の再検討や水害用物資の拡充などすべきと思うが伺います。
宮城県内の5市町で、遠くに逃げようと車ごと波に飲み込まれる中、近くの津波避難ビルへ避難して助かった人が、少なくとも9,700人に及ぶと言われています。
大阪市は、今回の東日本大津波を教訓に津波避難ビルを大幅に増やす方針を決めました。30万人超の避難先の確保を市有施設250カ所のほか、民間も津波避難ビルに指定するとしています。
わが党は、以前からマンションや事業所ビルなどに避難できるよう求めて来ました。区は「困難」として来ましたが区長は、「オートロックの解除などを求めるマンション管理組合と協定を結びたい」と表明しました。
政府は、平成17年「津波避難ビル等に係るガイドライン」を作成しその指針を示しています。
本区も公共施設はもちろん高層マンション、事務所ビルなどに協力を求め「津波避難ビル」に指定し地域住民への避難の周知に取り組むべきと思うが伺います。
第三の質問は、今回の震災にかかわる中小企業支援と職員の雇用について伺います。
東日本大震災は、日本経済にも大きな影響をおよぼしています。5月、内閣府が発表した1~3月期の国内総生産の速報値は、年率で3・7%減少し、震災失業率は11万人を超えています。
区内の中小企業でも「東北で生産している瓦の材料がなく工事が進まない」「仕事がなく一カ月も休んでいる」などの所も出ています。区は「災害復旧特別資金融資」を実施し、その後、経営に支障をきたしている間接被害も100%保証の対象にしました。しかし仕事が減り景気も落ち込む中、「借金があるためやめるにやめられない」など深刻になっています。
融資の返済期間を6年から10年へ延長し、限度額の引き上げなど拡充すべきです。またわが党が仕事起こしと地域経済活性化の一助として繰り返し要求してきた住宅リフォーム助成をいまこそ実施すべきです。合わせて伺います。
次に区職員の雇用について伺います。
今回の地震で49カ所の避難所に約200人近い職員が派遣されました。
3月11日は、徹夜で避難者への対応をするなど「良くやってくれた」と避難者から感謝の声が聞かれました。
東北の被災地でも自治体の職員は、自ら被災し家族を失って住民の救援、復興に奮闘しています。公務員は、「全体の奉仕者として公共の利益のため、全ての人々に奉仕する」その任務と役割があるからです。
こうした公務員の役割を否定するかのように、「公務員は少なければ少ないほど良い」と言う風潮の中、本区も職員を削減し続けて来ました。
 23区の中で人口1、000人当たり本区の職員数は6人と23区平均8・3人より大幅に下回り最低クラスとなっています。
そもそも日本の公務員の数は、国際的に見ても欧米先進国の中で最も少ない国となっています。
災害時には、区長を先頭に災害対策本部を設置して職員が迅速に対応しなければなりません。しかし職員を減らし続け、「即応体制ができるのか」との不安と疑問の声が出されています。
有明小中学校は用務員を外部委託し、区の職員が学校に一人もいません。用務など現業職員を配置すべきです。伺います。
区職員の年齢構成も40歳以下が38%と少なく、後継者づくりの点でも若い層を大幅に採用する必要があります。更に区内に居住する職員が42%と半分にも満たなく、幹部職員は97人中、区内はわずか18人となっています。夜間や休日に災害が発生し、交通手段が寸断されたら対策本部の設置や即応体制も出来ません。職員の区内居住者を増やし、また発災時に緊急に対応できるよう防災職員寮の設置などをすべきです。合わせて伺います。
通常の業務でさえ生活保護のケースワーカーや保健師、課税課や土木など人員が不足しています。アルバイトや非常勤職員など安上がりと不安定労働に置き換え、ワーキングプア―をつくりだしてきました。
本来の公務労働、「全体の奉仕者」である正規職員を人口増に見合って増やすべきです。この事を最後にお伺いして私の質問を終わります。

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