カテゴリー: 予算・財政・行政改革, 区議会定例会, 医療・介護・福祉, 雇用・中小企業 タグ: , , , , , パーマリンク

2009年第1回定例会-すがや俊一議員(中小企業支援 介護保険 区基本構想)

  1. 景気回復と中小企業への支援強化について
  2. 本区の介護保険事業計画について
  3. 新江東区基本構想と組織改正について  

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問いたします。
 質問の1点目は、景気回復と中小企業への支援強化について伺います。
 アメリカ発の経済金融危機が広がり、日本経済も景気が急激に後退する中で、企業倒産が急増しています。政府・与党が景気対策として打ち出した総額4兆8,000億円の第2次補正予算は、7割の国民が反対する1回だけの定額給付金のほか、税金による資本注入拡大など、大銀行、大企業支援が中心であり、内需拡大、景気回復のかなめとなる雇用対策は、総額のわずか3.3%、1,600億円にすぎません。しかも、2009年度の税制関連法案の附則に「消費税増税」を盛り込むなどは、景気を悪化させ、中小企業の経営を一層困難にするものであり、断じて容認できません。
 区長は政府に対し、消費税増税の撤回と食料品の消費税非課税化を求めるなど、経済対策の軸足を大企業中心から家計応援に転換し、内需拡大で景気回復を図るよう求めるべきです。伺います。
 日本経済の9割、雇用の7割を占める中小企業は、今、急激な仕事不足で経営の危機に瀕しています。区内の建設下請業者は、「ことし1月の仕事は3日間だけで2月以降は全く仕事がない、こんなことは初めて」と述べています。区内鉄鋼企業でも、大手自動車企業の突然の「発注どめ」によって納品予定の製品が大量在庫となった上に、生産も激減し、稼働日を週4日、または3日間に減らしています。こうした現状を区長はどう受けとめるのか、見解を伺うとともに、政府に対し、大企業の一方的な「発注どめ」や銀行の貸し渋り、貸しはがしの防止策を初め、中小企業予算の大幅増額、中小企業向けの生活密着型公共事業の拡大と前倒し発注など、緊急要請を行うべきです。都に対しても、中小企業予算の増額、都営住宅建設などの生活密着型公共事業の拡大を要請すべきと思いますが、伺います。
 中小零細企業への支援強化が求められる中で、各区が緊急経済対策として、官公需の拡大や緊急融資の拡充などに踏み出しています。本区でも、我が党提案のプレミアム付区内共通商品券の発行や、新たな「景気対策資金」では、融資限度額と利子補助が改善。また、公共工事では、前払い金限度額引き上げ等による資金繰り支援が実施されますが、さらなる支援策の拡充が必要と考えます。
 1つ目は、景気対策資金の返済期間の延長です。本区は3年間ですが、練馬区で7年、台東区で6年間など、7区が返済期間を5年とし、毎月の返済額の負担軽減に努めています。本区でも延長すべきです。
 また、借りかえ融資制度実施の求めに対して区は、全額補助している保証料の返還が問題だとして実施していませんが、今回の新規融資に際して保証料の清算を行えば実施は可能と考えます。返済負担の軽減へ借りかえ融資の実施を求めます。伺います。
 2つ目は、仕事の発注拡大です。
 公共工事の前倒し発注や分離分割発注の促進を含め、発注拡大に努めるべきです。あわせて、入札制度における総合評価方式を、建築契約においても実施し、「区内下請業者の使用度」や「適正労務単価の確保」などの要件を入れるなど、下請保護と労働者の労働条件改善を図ることを求めます。
 特に仕事不足が深刻な地元小規模事業者に対しては、物品発注や印刷、修繕工事など、仕事発注量の拡大に手だてを尽くすことが緊急に必要です。
 板橋区では、小規模事業者向けの仕事を20%ふやし、支払いも迅速化。また北区でも、学校や保育園、児童館、区民施設などの修繕では、塗装や畳がえ、換気扇の取りつけ、洗面台修理等々の発注をふやしています。本区の随意契約でも、業者登録の促進と仕事の発注量拡大を強く求めるものです。伺います。
 質問の2点目は、介護保険制度について伺います。
 今回の事業計画で政府は、介護従事者の労働条件改善と介護報酬引き上げを求める世論に押され、介護報酬の3%引き上げを決定しました。しかし、その内容が、一定基準を満たす事業所への加算が中心のために、都市部のグループホームなどでは減収となったり、都内特別養護老人ホームでも、「人材確保と賃金引き上げの双方には及ばない」などのマスコミ報道が相次いでいます。
 日本医師会を初め、介護・医療団体は一致して5%以上の引き上げと基本的な介護サービスへの報酬引き上げを要求しています。区長会を通じて、介護報酬引き上げと内容改善を政府に再度要請するべきです。
 また、介護報酬引き上げで保険料や利用料負担がふえることから、国庫負担の大幅増額及び利用料限度額の引き上げと利用料減免が必要です。あわせて政府に要請するよう求めます。伺います。
 ことし4月からの介護認定見直しも問題です。前回本会議で我が党は、介護認定見直しで、「床ずれや火の始末など、生活実態の把握に必要な調査項目が削られ、要介護者の生活が困難になる」と指摘し、国に改善を求めるよう提案しましたが、区は、「推移を見守る」という態度でした。
 今回の認定方式では、現在の介護度より軽度に変更されてしまう人が2割から3割も発生したり、聞き取り調査基準の変更で、寝たきりの人の移動等が「全介助」から「自立」になるなど、軽度への変更者が今まで以上に増加し、介護サービスの利用制限が一層深刻になりかねません。区は、国に対し、今回の介護認定方式の変更中止はもとより、コンピューター判定による機械的認定を廃止し、生活実態が十分反映され、必要な介護サービスが保障されるよう、介護認定の抜本的な見直しを求めるべきです。伺います。
 次に、本区の介護保険事業計画について伺います。
 第4期介護保険料については、保険料基準額の据え置きと保険料区分の多段階化による低所得者の負担軽減が図られました。しかし、年金が目減りし、増税や医療費の負担増で高齢者の生活困窮が広がっています。現行の保険料減免制度の拡充と老齢福祉年金受給者の保険料を免除すべきと思いますが、伺います。
 NHKテレビでの「夫を週2回おふろに入れる介護費用のために、妻は夕食を食べない」など、低所得者に重い利用料負担が問題となっています。本区では、低所得の高齢者が高齢者全体の約6割、5万人近い中で、現行の利用者負担軽減制度の認定数はわずか153人です。しかも補助率は利用者負担分の4分の1という低水準です。補助率を引き上げ、認定基準の緩和で対象者を広げ
るべきです。さらに、デイサービスを利用する低所得者に対し、食事代補助の実施を求めます。伺います。
 介護事業者への支援と施設整備関連について伺います。
 この間、提案してきた特別養護老人ホームなどの人材確保へ区の補助が実施になったことは一歩前進です。しかし、訪問介護での人材不足も深刻であり、自治体に支援を求める声が上がっています。事業所の実態調査を行い、必要な支援を講じるとともに、通所介護施設の送迎車への補助も必要と考えます。 施設整備について国は、特別養護老人ホームの待機者がふえ続けているにもかかわらず、介護基盤整備予算を前年比で38億円削減。また、都では、特別養護老人ホームの土地取得費補助を廃止しています。国と都に対して予算の増額、復活を要求するべきです。伺います。
 質問の3点目は、新江東区基本構想と組織改正について伺います。
 前回策定された旧江東区基本構想から10年、今回、新しく「江東区基本構想」が策定され、江東区が今後20年間に目指すべき方向が示されました。そこで、旧基本構想で区政が推進してきた施策の特徴を簡潔に振り返った上で、新江東区基本構想における区政の果たすべき役割について問うものです。
 まず、旧基本構想の10年間のまちづくりで区は、都が推進する臨海部開発に「臨海部との共生」を掲げて追随、臨海部財政が破綻する中で都有地の切り売りなど、「理念なきまちづくり」に加担してきました。その結果、超高層ビルや大型道路建設などで、CO2やNOXが増大し、ヒートアイランド化を初め、小学生の気管支ぜんそくもふえるなど都市環境が悪化。大型店出店も容認し、区内総売り場面積に占める大型店売り場面積が5割から8割以上へと急増させ、商店街が衰退。住民無視のマンション建設で建築紛争が多発するなど、国や都とともに規制緩和による大企業中心のまちづくりを推し進めてきました。また、福祉・医療では、高齢者や障害者の福祉手当等の廃止や削減、国民健康保険料値上げなど、生活不安、生活苦を拡大。行財政運営でも、民間委託と職員削減で非正規雇用をふやし、官製ワーキングプアを生み出すなど、旧基本構想が実現すべき目標として掲げた「心豊かな生活」や「安心して健やかに暮らすまち」「調和と魅力あるまち」とはかけ離れた、正反対の区政運営だったと言わざるを得ません。
 こうした区政運営を根本から見直し、今回の新基本構想が掲げた施策の大綱では、大企業中心のまちづくり最優先から、区民の暮らし応援を第一とする区政運営が求められています。
 まず、「世界に誇れるまち」で区は、臨海部開発を「躍動感のある新しい市街地」と位置づけ、推進するとしています。国や都に対し、都市再生路線による臨海部開発の中止とともに、CO2等の大幅削減へ、公園整備を中心とした緑化政策に転換するよう求めるべきです。
 住宅政策でも、区民の切実な願いである都営住宅など、公営住宅の整備拡充を掲げることを求めます。
 また、「健全で活力ある地域産業の育成」で区は、「大型店出店は、商店街が飛躍する機会」としていますが、現実無視の姿勢であり、大型店出店の規制強化こそ位置づけるべきです、伺います。
 「ともに支えあい、健康に生き生きと暮らせるまち」においては、区民生活の貧困の広がり、特に高齢者などの生活困窮には触れていません。高齢者などへの経済支援の強化を明記することを求めます。
 行財政運営では、これまでの職員削減や民間委託などは見直し、住民福祉の増進へ自治体本来の役割を果たすべきです。伺います。
 次に、組織改正について伺います。
 区は、新基本構想の策定と地方教育行政の組織及び運営に関する法律改正の趣旨を踏まえた組織改正を行うとし、教育委員会組織の見直しによる放課後対策の一本化とともに、文化・スポーツ、青少年育成を教育委員会から外して区長部局へ移管、そして教育委員会は学校教育に特化することなどが提案されてきましたが、こうした組織改正は問題です。
 放課後対策の一本化は、学童クラブと児童館を子ども生活部から教育委員会に移し、放課後子ども教室のげんきっずへの一本化を推進するためのものです。学童クラブ等とげんきっずは、その目的も役割も異なる事業であり、一本化すべきではありません。学童クラブや児童館は児童福祉の位置づけであり、その所管は子ども生活部が当然です。多くの父母や関係団体からは、一本化ではなく、それぞれの拡充を望む声が上がっています。一本化のための組織改正はやめ、豊洲地域などに学童クラブの新設こそ急ぐべきです。伺います。
 また、文化・スポーツ、青少年の健全育成を区長部局に移管するべきではありません。そもそも教育委員会は、戦前の教育への国家行政介入の反省から、学校教育だけでなく、文化・スポーツ、青少年育成などの社会教育も教育委員会の仕事としてきました。特に青少年の健全育成は、文化・スポーツの普及を含む地域教育の重要課題です。区は、区長部局への移管理由について、即応性や地域の青少年対策の窓口が地域振興課であることとしていますが、それらは教育委員会機能を充実させ、窓口も教育委員会に移せば済むものであり、区長直轄とする理由にはならないと考えます。区の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

コメントは停止中です。