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2009年第2回定例会-大つきかおり議員(介護保険 高齢者 教育 住宅)

  1. 介護保険制度について
  2. 高齢者の医療制度について
  3. 教育問題について
  4. 住宅問題について

 日本共産党江東区議団を代表し、大綱4点について質問を行います。
 まず初めに、介護保険制度についてです。
 介護保険制度の改正で、ことし4月から新しい介護認定制度が導入されましたが、利用者、家族、介護関係者からは、「実態を無視した認定がふえる」、「必要なサービスが受けられなくなる」など、批判の声が続出しています。
 厚生労働省は、介護認定制度の改正は「全国的なばらつきをなくすため」と、この間説明してきました。ところが、その本当のねらいが介護給付費を削減するためだったことが、厚生労働省の内部文書で明らかになりました。
 この内部文書では、「要介護2、要介護3と認定される者が著しく増加しているから、制度改正で要介護認定者を適正な分布に戻すことが必要だ」とか、「介護報酬引き上げのために財源確保が必要」と述べ、そのための方策として要介護認定の適正化を挙げています。つまり、利用者の状態にふさわしい認定を行うのではなく、認定者の割合をあらかじめ決め、その割合に分かれるように判定の仕組みを調整し、介護給付費を抑制しようというのです。
 この事実が明るみになり、国民の強い批判にさらされた厚生労働省は、「新しい認定方法で、これまでと違う判定が出ても申請すればこれまでの要介護度とする」という経過措置を実施せざるを得なくなりました。区長は、介護認定制度の改正が介護給付費を削減するためだったというこの事実についてどのように思われますか、見解を伺います。
 介護給付費削減がねらいの新たな介護認定制度では、利用者の状態からかけ離れた認定をふやすだけです。新たな介護認定制度は直ちに中止し、コンピューターによる認定を廃止し、現場の介護専門家の判断で介護を提供する制度へと変えるなど、認定のあり方を抜本的に見直すよう政府に求めるべきではありませんか、伺います。
 介護労働者の労働条件改善を求める世論に押され、4月から介護報酬が3%引き上げられました。しかし、事業者からは、「焼け石に水」、「この間の赤字の補てんにもならない」と批判の声が上がっており、介護労働者の処遇改善にはほど遠い、全く不十分な状況です。
 こうした中、政府は新たに平成21年度の補正予算で、介護職員の賃金を引き上げるため総額4,000億円を事業者に交付することになりました。しかし、これも3年間の時限措置で、マスコミからも「対症療法にしかならない」との批判の声が上がっています。3年間という時限措置ではなく、恒久的な対策として実施することを政府に求めるべきではないですか、見解を伺います。
 江東区では、今年度から介護事業者への助成制度を実施することになりました。23区では、品川区が、介護職員を新規雇用した事業所に1人当たり100万円を助成。加えて、ホームヘルパー2級の資格を取得させるための費用として1人当たり10万円を補助するなど、雇用対策と組み合わせた施策を実施し、介護職員の確保に大きな効果を上げています。ほかにも練馬区や大田区で同様の施策を実施しています。本区でも、人件費や資格取得費用に対しても助成するなど、支援の拡充を行うよう求めますが、見解を伺います。
 今回、介護報酬が引き上げられたことにより、介護サービスの利用料も上がり、サービスを利用する人の自己負担が増加しています。さらに深刻なのは、介護サービスの限度額を据え置いたことによって、利用限度額いっぱいで生活を支えてきた人は、利用限度額を超えた分を全額自己負担するか、負担できなければサービスを減らさなければなりません。
 国も利用料の減額制度の拡充を打ち出しましたが、事業者の負担がある現在の減免制度では、経営状況が厳しい事業者にとっては負担となるばかりです。全額国の負担で利用料の減免を実施するとともに、利用限度額についても引き上げを求めるべきだと思いますが、あわせて見解を伺います。
 ことし3月、群馬県渋川市の無届け高齢者入所施設で発生した火災で、入所者10名が亡くなるという痛ましい事件が起こりました。今回の事件の背景には、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどが圧倒的に不足しているということがあります。
 江東区でも、茨城県や埼玉県など、8つの無届け有料老人ホームに17名の高齢の生活保護受給者が入居しています。生活保護世帯など、低所得者の場合、劣悪な住環境の施設であっても、そこに頼らざるを得ないというのが実態です。
 現在、江東区の特別養護老人ホームの待機者は1,500名を超え、不足は極めて深刻です。在宅での介護が困難な低所得者の受け皿が不足しているという状況を解決するためにも、区の責任で直ちに特別養護老人ホームの増設を行うべきです。
 また、国に対しては、施設整備費補助の復活を求めるとともに、都に用地費補助の復活を求めるべきではありませんか、あわせて伺います。
 第2に、高齢者の医療制度について伺います。
 昨年4月から実施された後期高齢者医療制度は、高齢者を75歳という年齢で差別するものだとして、全国に怒りの声が広がっています。
 政府は昨年、国民の厳しい声を受けて、制度の見直しを表明せざるを得なくなり、検討会を設置しましたが、結局、3月にまとめられた最終報告で、具体的に見直したのは「後期高齢者」と「終末期医療」という名称だけで、国民の批判が最も強かった、高齢者を年齢で差別し、受けられる医療も制限していこうとする制度の根幹には一切手がつけられませんでした。
 後期高齢者医療制度では、保険料は2年ごとに見直しが行われ、高齢者人口や医療費の伸びが反映される仕組みとなっています。このままでは来年度の保険料はさらに負担増となることは明らかです。また、保険料の負担を抑えようとすれば医療費を抑制せざるを得なくなり、必要な医療を受けられなくなります。
 政府に対し、後期高齢者医療制度を撤廃し、減らされ続けた国庫負担をもとに戻して高齢者の負担を軽減するとともに、年齢や所得による差別のない医療制度を確立するよう求めるべきではないですか、見解を伺います。
 また、当面、来年度保険料が値上がりとならないよう、都に対し、広域連合に対する財政支援の拡充を行うよう求めるべきだと思いますが、伺います。 次に、医療費の窓口負担の軽減対策について伺います。
 ことし4月、東京都日の出町が、「高齢者のご苦労に報いるとともに、地域社会の一員として活躍され、暮らしていただく」として、75歳以上の高齢者の医療費無料化に踏み出しました。
 多くの高齢者は、極めて不十分な年金制度を頼りに生活しています。年をとればだれでも体の故障が出てくるのは当然で、医療費がかさむことになります。しかも、治りにくい慢性疾患が多く、長期にわたる医療費の負担が家計を圧迫しています。
 かつて東京都では、全国に先駆けて高齢者の医療費無料化を実施し、それが全国に広がり、ついには国として高齢者の医療費を無料とする制度が実施されました。しかし、その後、国が医療制度を後退させ、石原都政も、「何がぜいたくかといえば、まず福祉」と言って、寝たきり高齢者への老人福祉手当や高齢者の医療費助成制度など、高齢者福祉を真っ先に切り捨ててきました。今や東京都の高齢者福祉費の割合は、全国第2位から最下位にまで落ち込んでしまっています。
 だれもが安心できる老後を過ごすためにも、医療費の負担軽減は切実です。都として、高齢者の医療費助成を実施するよう求めるべきではありませんか、伺います。
 また、23区でも、千代田区や新宿区が75歳以上の高齢者の入院時の負担を軽減する対策を実施しています。江東区でも、入院医療費の助成制度に踏み出すべきだと思いますが、伺います。
 第3に、教育問題について伺います。
 初めに、少人数学級の実施についてです。
 東京都以外のすべての道府県で少人数学級が実施されるようになってから3年がたちました。東京都は唯一少人数学級を実施しないという異常な事態となっています。区教委はこの現状をどう認識しているのですか、伺います。
 ことし2月、我が党都議団が46道府県すべてから回答を得た少人数学級に関するアンケート調査では、2年前と比べて過半数の25道県で対象学年の拡大や1クラスの人数の上限をより少なくするなど、実施規模を拡大していることが明らかとなりました。
 少人数学級を実施している12県が、その効果について調査、検証を行い、報告書を出していますが、各県の調査で共通しているのが、生活面でも学習面でも効果があると分析していることです。
 例えば山形県や大阪府では、児童の欠席が大きく減少したことが報告されています。また、青森県では、「児童一人ひとりの活躍の場が増し、互いのよさを認め合い、自信をつけてきた児童がふえた」としています。
 学習面でも、大阪府では、全体の8割の学級で学習の到達率が上昇したとしています。
 都は、この間、「こどもたちが切磋琢磨するためには、生活集団として一定規模が必要だ」として、あくまでも40人学級にこだわり、区も都教委の言い分をうのみにし、少人数学級の要求を拒否してきました。
 しかし、この点についても、兵庫県が各学校に対して行ったアンケートでは、少人数にしたら活気が乏しくなったり、競争心が弱くなる傾向が見られるかという問いに対し、97%が問題ないと答えています。全国の実践が東京都の言い分が何の根拠もないことを証明しているのではないですか、区の見解を伺います。
 東京都には、さまざまな立場の違いを超えて、東京都でも30人学級を実現しようという署名が24万筆も寄せられました。東京都でも、直ちに30人学級に踏み出すよう都に求めるべきではないですか、伺います。
 区も、昨年から小1プロブレム対策として、小学校1年生の1学期だけではありますが、小1支援員を配置しています。学校現場からは、通年配置を求める声が上がっています。年間を通しての配置に拡充するよう求めますが、いかがですか。
 次に、教育費の負担軽減についてです。
 貧困と格差の広がりに加え、昨年来の雇用破壊や国内外の経済危機の中、子育て家庭の経済状況も大きく悪化しています。「積立金が払えず、修学旅行に行けない」、「学費が払えずやむなく高校を中退した」など、ここ数年、全国で深刻な事態が広がっています。区はこの現状をどのように認識していますか、伺います。
 日本の教育費は世界でも異常な高さとなっています。国際人権規約では、高校や大学の教育を段階的に無償にすると定めています。そのため欧米のほとんどの国では、高校の学費は無料で、大学でも多くの国で学費を徴収していません。日本は、国際人権規約に加わっていながらこの条項を留保したままで、今や加盟157カ国のうち留保しているのは、日本とマダガスカルの2カ国だけという状況です。
 学費の負担軽減は切実です。政府に対して、高校の授業料減免の拡充とともに、返済不要の奨学資金制度の創設を求めるべきではありませんか。また、東京都に対しても、都立高校の授業料の値下げ、私立学校の授業料軽減補助や授業料免除制度への支援の拡充を求めるとともに、返済不要の奨学資金制度の創設を求めるべきだと思いますが、伺います。
 次に、就学援助の拡充について伺います。
 「義務教育は、これを無償とする」とする憲法の規定にもかかわらず、実際には給食費や学用品、修学旅行費用など、保護者の負担は多額です。江東区では、小学校で約3割、中学校では約4割のこどもたちが就学援助を受けています。経済状況が悪化するもとで、就学援助の拡充が求められているのではないでしょうか。
 江東区は、これまで認定基準の引き上げについて、「近隣区の平均より高い」、「江東区は認定者が多い」などとして拒否してきました。江東区の生活保護の1.18倍という認定基準は、所得額を基準としている22区の中で下から3番目、江東区よりも低いのは足立区と葛飾区だけです。江東区よりも認定者の多い墨田区や荒川区でも、本区より高い認定基準を設定しています。我が党の試算では、1.2倍に引き上げても、今年度で言えば、小学校で774万円余、中学校では669万円余あれば実施できます。しかも、これは全額財調措置されるものです。直ちに基準の引き上げを行うべきではないですか、見解を伺います。
 第4は住宅問題についてです。
 雇用の破壊、経済状況の悪化が深刻になる中、都営住宅への入居希望がますます高まっています。昨年11月の世帯向けでは、平均倍率が35.7倍、ことし2月の単身世帯向けでは57.8倍、高齢者向けに至っては105.8倍にもなるなど、倍率の高さが極めて深刻です。
 ところが、東京都はこの間、都営住宅の新規建設をストップ、そればかりか入居及び明け渡し収入基準の引き下げ、住宅の使用承継の制限で追い出しを強化してきました。区も、昨年の第3回区議会定例会で、「入居基準の改定で、住宅困窮度の高い者に対し、的確に供給することができるから増設の必要性は低い」などと答弁しました。しかし、都営住宅への入居希望がふえているにもかかわらず、対象者を狭め、追い出しを強化することで問題解決を図ろうというのは、本末転倒と言わざるを得ません。「何回申し込んでも当たらない」など、都営住宅への入居を求める声は切実です。都に対し、都営住宅の新規増設を行うよう求めるべきです。伺います。
 また、区として民間賃貸住宅居住者の低所得者に対する家賃補助制度を創設するよう求めますが、見解を伺います。
 次に、辰巳団地の建て替え問題について伺います。
 辰巳団地は、建設から42年がたち、老朽化が深刻な状況です。東京都はこの間、辰巳団地が建て替え対象団地に指定されていることを理由に、計画修繕を一切行ってきませんでした。ベランダの手すりは支柱が腐食し、落下の危険性さえある状況まで放置してきました。住民の再三の要求で、ベランダについてはようやく応急処置が実施されていますが、階段の手すりの塗装もぼろぼろで、手すりが頼りの高齢者が、はげたペンキが手に刺さらないよう軍手をして上りおりをしているとか、排水管も老朽化がひどく、清掃のたびにどこかが壊れ、水漏れが後を絶たないなど、安心して住み続けられない状況が広がっています。区は、この実態をどう認識していますか、伺います。
 東京都は昨年度、建て替えに向けた基本計画策定のための基礎調査を実施しましたが、その後の策定状況や建て替えに向けたスケジュールを一切明らかにしようとしません。区として都に対し、建て替えに向けたスケジュールを早急に明らかにするよう求めるべきではありませんか。また、当面、共用通路、階段の手すりの塗装、排水管の補修など、必要な修繕の実施を都に求めるべきだと思いますが、区の見解を伺います。
 以上、明快な答弁を求め、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

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