カテゴリー: 区議会定例会, 医療・介護・福祉, 子育て・保育・教育 タグ: , , , , , , パーマリンク

2010年第1回定例会-正保みきお議員(国保 高齢者医療・介護 教育)

  1. 国民健康保険について
  2. 高齢者の医療・介護問題について
  3. 教育の問題について伺います。少人数学級について

 日本共産党江東区議団を代表して、大綱3点について質問します。
 第1は、国民健康保険についてです。
 今、貧困と格差が拡大し、雇用破壊と中小企業経営の悪化が進む中で、区民生活の困難は一層深刻になっています。とりわけ国保の加入者は高齢者や自営業者、失業者などが大半を占めているにもかかわらず、保険料の値上げが続き、加入者の負担が増大し、支払いが滞って保険証を受け取れない事態が広がっています。区は、このような国保の実態をどう認識されているのか、伺います。
 特別区長会は、1月15日、来年度の保険料の大幅値上げを了承しました。1人当たりの保険料が平均6,045円もの大幅値上げとなり、ほとんどの世帯で負担が重くなります。毎年のように値上げが繰り返され、国保加入の約8万3,000世帯のうち保険料の滞納世帯が約2万3,500世帯、4世帯に1世帯以上が滞納という深刻な事態です。「督促状が来たが払いたくても払えない」、こういう悲鳴が上がっています。これに追い打ちをかける保険料の値上げはやめるべきです。伺います。
 保険料値上げの要因は、医療費の伸びや診療報酬の引き上げに加え、本来保険料を引き下げる機能を果たすべき前期高齢者交付金を国が過大に見積もって交付したため、来年度、再来年度にその分を精算しなければならないからです。本区の精算金は約49億円余、来年度の保険料には2億3,000万円が上乗せとなりました。国の算定方式に従って東京都の実務指導を受けたにもかかわらず、国の計算間違いで払い過ぎたから返せと言って、その穴埋めを保険者及び被保険者に転嫁すること自体大問題です。区長はなぜ了承してきたのか。国と東京都に対し、被保険者の負担増とならないよう具体的な財政支援を求めてしかるべきです。あわせて伺います。
 また、特別区長会は、保険料の算定方式について、住民税に所得割率を掛けて保険料の所得割額を計算する方式から、所得を基準とした方式へ来年4月から変更することを確認しました。これによって、住民税非課税世帯でも、今後、新たに負担を余儀なくされる世帯や、低所得で障害者などを抱えた扶養家族の多い世帯ほど保険料が値上げされることになります。値上げ世帯への2年間の減額措置を行うとしていますが、この不況のもとでさらなる負担を住民に押しつけてはなりません。賦課方式の変更による保険料の負担増は行うべきではありません。伺います。
 今、医療保険制度の一元化、広域化が議論されています。国保財政逼迫の大きな原因である国庫負担を削減したまま一元化しても、何ら制度の改善にはなりません。一元化を理由に事業主負担が削減・廃止されれば国民の負担はさらに増大します。一元化、広域化に対する見解を伺います。
 削減された国庫負担をもとに戻してこそ公的医療保障を立て直すことができます。国庫負担の増額を国へ求めるべきです。伺います。
 本区では、資格証明書の発行が1,300世帯を超え、短期被保険者証の発行は6,300世帯に上っています。「資格証明書が送られてきたが病院へ行くのを我慢している」など、資格証明書では病院の窓口で治療費の全額を支払わなければならないため、医療を受けることを困難にし、症状の悪化や手おくれとなるケースが起きています。
 本区では、連絡しても応答がない1年以上の滞納者に資格証明書を送付していますが、新宿区や足立区では資格証明書を発行せず短期被保険者証で対応しています。また、渋谷区で5件、北区で28件の資格証明書が発行されていますが、悪質滞納者に対してだけです。連絡しても返事がないからといって機械的、一律に資格証明書を送付すべきではありません。そもそも資格証明書の発行は、保険料の収納率向上に結びつかないことは明らかではありませんか。住民の命と健康を壊すだけの資格証明書の発行はやめるべきです。あわせて伺います。
 また、早急に15歳から18歳の高校生世代のいる滞納世帯に対し、資格証明書でなく正規の保険証を発行すべきです。国に対し、短期被保険者証や資格証明書発行の義務規定を削減するとともに、保険証は無条件で全世帯に発行するよう強く求めるべきです。伺います。
 第2は、高齢者の医療・介護問題について伺います。
 後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者の人口と医療給付費の増加という2つの要因で、保険料が青天井に上がる仕組みとなっています。区は、「75歳以上の高齢者を差別していない」と答弁してきましたが、人口がふえることで保険料を青天井に値上げする医療保険はほかにあるでしょうか。75歳という年齢で区切って囲い込む本制度だけであり、差別そのものではありませんか。あわせて伺います。
 75歳以上の患者が90日を超えて入院すると、病院の収入が激減し、病院追い出しにつながる仕組みなど、受ける医療も差別、制限されています。政府は、本制度の廃止を4年先送りすることを決めました。これに対し、「4年後なんて冗談じゃない。年寄りを何と思っているのか」と、全国各地で廃止の署名が広がっています。本制度は、一日でも長く続けばそれだけ被害を広げます。直ちに廃止に踏み出すべきです。見解を伺います。
 東京都後期高齢者医療広域連合は、1月、今後2年間の保険料率について、7.1%に引き上げることを決めました。これによって、8万4,274円から8万8,439円へと、平均4,165円の値上げです。被保険者の42%の人が負担増となり、制度廃止を求める国民の世論を逆なでするものです。政府に対し、早急な制度廃止と負担増を抑える財政支援を求めるべきです。伺います。
 我が党は、後期高齢者医療制度をすぐに廃止し、老人保健制度に戻した上で、75歳以上の医療費の無料化を提案しています。既に東京都日の出町や長野県原村で高齢者の医療費無料化が実施されています。原村の清水村長は、「1人当たりの医療費も県平均を下回っており財政上も有効だ」と語っています。高齢者のだれもが安心して医療にかかれるよう、国と都に75歳以上の高齢者の医療費の無料化を求めるべきです。伺います。
 介護高齢者の生活援助についてです。
 厚生労働省は、昨年12月、介護保険の訪問介護サービスで、掃除や洗濯、調理などの家事を支援する生活援助について、同居家族がいるという理由だけで一律に利用を禁止しないよう、改めて各都道府県に通知しました。
 本区では、一昨年に介護関係者を集めてこの説明会を開催したと聞いていますが、区民から、「母親が寝たきりで24時間介護が必要だが、同居家族がいるとの理由でサービスが制限された」との相談が寄せられるなど、依然として同居家族があるかないかだけで生活援助の提供が判断されているケースがあり、是正が求められます。
 生活援助の対象となるのは、ひとり暮らしで家事が困難な場合、また、同居家族も障害、病気、筋力低下、介護疲れ、仕事などの理由で家事が困難な場合です。改めて周知徹底を求めるものです。伺います。
 介護保険の要介護認定の問題です。
 60歳代の女性から、「要介護3だったが更新の申請で要介護2に軽くなった。今、サービスを目いっぱい利用しており、体の状態も変わっていないのにおかしい」と、認定への疑問を寄せています。
 厚生労働省が1月15日に発表した介護認定見直し後の実態調査結果によれば、介護認定の見直しによって一定の是正が見られる一方で、制度改悪前の3年間と比べると非該当がふえており、改悪以前に戻っていないことがわかりました。政府に対し、介護認定を2009年4月の改悪前に戻すよう求めるべきです。伺います。
 現在の介護保険は、在宅重視と言いながら、コンピューターによる判定が中心の要介護認定であり、高齢者に必要な介護を正しく反映できていません。また、要介護ごとに低い利用限度額があるために、介護保険だけで在宅生活を送ることは困難です。在宅生活を制限する今の要介護認定制度を見直し、ケアマネジャーなど、現場の専門家の判断による適正な介護を提供する制度に改めるよう国に求めるべきと思いますが、伺います。
 第3は、教育の問題について伺います。少人数学級についてです。
 昨年12月、東京都教育委員会は、小学校1、2年生と中学校1年生を担当する先生をふやして、少人数学級ができるようにすることを明らかにしました。ことし4月から先生の配置基準を、1クラス39人、3年間で37人まで引き下げるとしました。これまで数多くの署名や運動が取り組まれ、昨年3月には都民の署名24万筆が都に提出されました。日本共産党は、長年繰り返し30人学級の実施を求めてきましたが、全国でただ一つ実施していなかった東京都で、いよいよ少人数学級が切り開かれたことは大きな一歩です。区は、今回の新たな教員加配について、現場の意向を聞いて具体化すべきと思いますが、伺います。
 区内のある小学校では、4年生が年度当初81人、3学級で編成され、その後1人が転出して現在80人となっています。保護者の方々は、「今、こどもたちは安定しており、心身とも成長する5年生になって1クラス40人の大人数学級では心配。引き続き3学級で編成してほしい」と望んでいます。少人数学級を拡充し、全学年で実施できるよう東京都へ求めるべきです。伺います。
 学力世界一で注目を集めているフィンランドの24人以下学級など、世界では30人以下学級は当たり前の流れです。日本でも全国で少人数学級が実施されるもとで、政府に対し、小中学校の学級編成の標準を40人から30人に引き下げ、国として少人数学級を実施するよう求めるべきです。伺います。
 次に、学力テストについてです。
 新政権は、来年度の全国学力テストの全員参加をやめ、抽出方法に切りかえました。どうしてか。全員参加の学力テストがこどもと学校を競争に追い込み、学校を序列化し、教育現場に無用の混乱とゆがみをもたらしたからです。認識を伺います。
 全員調査の問題点については、川端達夫文部科学大臣も、「個々の学校がテストの成績を上げるために競争するようになる」と懸念を示しましたが、平均点を上げるために全国学力テスト用の想定問題を繰り返しやらせ、その分ほかの授業時間が削られるなどの本末転倒な事態が各地で起きました。
 足立区では、学力テストの成績によって学校の予算配分に差をつけようとしました。結果として、教育内容が学力テストに偏り、ドリル学習が重視され、わかる喜びを感じられる創意工夫した授業ができなくなったと指摘されています。それなのになぜ江東区では、抽出校以外のすべての小中学校で同じ問題を使って区費で学力調査をするのですか。学力テストの全員参加はやめるべきです。伺います。
 就学援助についてです。
 現在、本区における就学援助の認定基準額は、生活保護基準の1.18倍となっていますが、23区では、板橋区が1.26倍、23区平均は1.2倍で、本区の基準は都内最低水準です。区は、「近隣区の平均を上回っている」と言いますが、低い水準に変わりはありません。23区平均に就学援助基準額を引き上げるべきです。伺います。
 文部科学省の調査では、中学生の2人に1人が視力1.0未満という結果が出ており、小学生から眼鏡を必要とするこどもが少なくありません。墨田区では、眼鏡を就学援助の支給対象としており、昨年度は小学生157人、中学生190人が援助を受けています。本区では、眼鏡を支給対象としている自治体が少ないからと拒んでいますが、黒板の字がよく見えない児童・生徒にとって、眼鏡は学習をする上で必要不可欠なものです。経済的な理由で買うことが困難な児童・生徒に対して、就学援助の対象として支給することこそ教育の機会均等を保障し、本区のこどもたちの学力向上に役立つのではありませんか。これは区長の裁量でできることです。答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

コメントは停止中です。